【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1427話 紅葉加入

「紅葉ちゃん。君は、どうしたい?」

「え……?」

 彼女は驚く。
 だが、俺はさらに続けた。

「君の本当の気持ちを聞かせてくれ」

「……私の、気持ち……」

 紅葉は考える。
 そして、ゆっくりと口を開いた。

「私は……村には戻りたくありません。できれば、高志様に付いていきたいです……」

「そうか……」

 俺は小さくうなずく。
 そして、少年の方を向いた。

「だそうだ」

「な、なんだと!? 紅葉、今までの恩を忘れたのか!?」

「ひっ……」

「おっと、そこまでにしておけ。援助に対して見返りを求めるのは当然だが、あまりカッコよくはないぞ」

 少年が紅葉に詰め寄ろうとしたため、俺は背中に彼女を庇う。
 そして、刀を抜いた。

「て、てめぇ! 何の罪もない、俺に刀を向けるつもりか!?」

 少年が言う。
 彼は……12歳ぐらいか?
 度胸はさほどないらしく、俺の刀を見て動揺している。
 そんな彼に対して、俺は静かに答えた。

「別に、罪の有無は関係ないな」

「なんだと!?」

 少年の表情が怒りに染まる。
 だが、俺は構わず刀を突き刺した!

「がはっ!?」

 少年の腹に刀が突き刺さる。
 俺は刀を捻り、傷口を抉った。
 少年は悶え苦しむ。
 そして、その場に倒れた。

「……ふぅ」

「え? ま、まさか殺してしまうなんて……」

 紅葉は震えながら言う。
 俺はそんな彼女に笑いかけた。

「心配いらないさ」

「……え?」

「峰打ちだ」

「いや、もろに刺さってましたけど!?」

 紅葉がツッコむ。
 確かに、思い切り刺さっていたな。

「殺してはいないってことさ。俺が彼を突き刺したことには、事情がある」

 俺は言う。
 そして、少年に治療魔法をかけた。

「彼には闇の瘴気が取り憑いていた。俺の刀でそれを祓ってあげたんだ」

「闇の瘴気……ですか?」

「ああ。放っておけば、彼はさらなる暴走状態になっていただろう」

 俺はそう説明する。
 そして、少年を担いで歩き始めた。

「あの、高志様? どこに行かれるのですか?」

「ん? ああ、村に行くんだ。さすがに放っておくわけにはいかないからな」

「でも……その……」

「紅葉ちゃん、俺を信じてくれ。決して悪いようにはしないから」

「は、はい」

 少女はうなずく。
 そんな少女に、俺は言った。

「俺が瘴気を祓ったことで、これから少年の暴走状態は緩和されるはずだ。しかし、根本的解決にはなってない」

「根本的……ですか?」

「ああ。君の村は食料不足なのだろう? そして、君は村での立場が低い。違うか?」

「は、はい……。その通りです」

 少女はうなずく。
 俺はさらに続けた。

「闇の瘴気は、そこらの魔物から伝染することもある。一時的に少年が大人しくなっても、いずれまた君に迫ってくる可能性は高い。村での環境がそれを後押ししてしまう」

「そんな……」

 少女の顔が暗くなる。
 そんな少女に、俺は微笑みかけた。

「だから、問おう。気絶しているこの少年を村に返したあと……君さえよければ、俺と共に来てくれないか?」

「えっ……?」

「俺は城下町に向かおうと思っている。道案内は欲しいところだったんだ」

「えっと、その……」

 少女は返答に困っているようだ。
 そんな彼女に、俺は言った。

「もちろん、無理にとは言わない。だが、俺は君を見捨てたくない。だから、できれば一緒に来てほしいんだ」

「高志様……」

 少女の顔が明るくなる。
 彼女は満面の笑顔を俺に向けた。

「はい! 私を、高志様の旅に連れて行ってください!!」

 こうして、俺は新たな仲間を手に入れたのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品