【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1425話 スライム

「はぁ、はぁ……。ここまで来れば……」

 私は森の中を走る。
 森は危険なところだ。
 大人でも入っちゃいけないと言われている場所もある。
 山菜採りや小動物の狩りをする時も、行動範囲は限られていた。

「これからどうしよう……」

 私は、そのまま少し開けた場所に出た。
 そこには泉があった。

「……きれい」

 私は思わずつぶやく。
 森にこんな場所があったなんて……。
 泉の水面は、キラキラと輝いている。

「お母さんもいっしょに来たかったな……。うぅ、お母さん……」

 私は思わず涙ぐむ。
 そんな時だった。
 ゴポッ……!

「きゃっ!」

 私は思わず、飛び上がってしまう。
 泉の水面が膨れ上がったのだ。
 バシャアッ!
 そして、何かが泉の中から飛び出してきた!

「な……なに!?」

 それは、魔物だった。
 スライム状の魔物が、泉の中から現れたのだ。

「きゃあああっ!」

 私は叫ぶ。
 慌てて逃げようとして……転んでしまった!
 そんな私に、スライムが襲い掛かる!

「あ、ああっ! そこはダメぇ!!」

 私の服の中に、スライムが入り込んで来る。
 そして、私の胸やお股を這いずり回る。

「いやああっ! やめてぇっ!」

 私は叫ぶが、スライムは離れようとしない。
 私の体を包み込んでいく。

「んんっ……! くぅっ……!!」

 私は必死に抵抗するけど、スライムの勢いが強く、引き離せない。
 それどころか、徐々に服を溶かされ、裸にされていく。

「いやぁ……誰かぁ……!」

 スライムはどんどん私の中に入ってくる。
 そして、ついには顔まで覆いつくした!

「んんーっ! んぐぅっ!!」

 もう息もできない。
 苦しい……。
 誰か助けて……。

「んんーっ! んんーっ!」

 私は必死にもがくが、スライムは離れてくれない。
 もうダメ……。
 私なんかじゃ何もできない……。
 そう思ったときだった。

「……あれ?」

 いつの間にか、体からスライムの感触がなくなっていた。
 私は恐る恐る目を開ける。
 すると、そこには私の前に佇む1人の男の姿があった。

「ふむ……。俺の魔力に驚いて、飛び退いたか。スライムにも多少の知能はあるようだな」

 その男の人が何かをしてくれたみたいだ。
 スライムは私から少し離れたところにいた。
 彼は、スライムに対して静かに刀を構える。
 そして……スライムを一刀両断した!

「あ、あなたは……?」

 私は思わず尋ねる。
 彼は刀を収めた後、静かに答えた。

「俺か? 俺は……高橋高志。流浪の侍だ」

 それが、私と高志様の出会いだった。


***


「初めて見る魔物だったが、特に苦戦するような相手ではなかったな」

 俺は刀を収める。
 スライム状だったので、物理攻撃が効かない可能性もあるかと思っていたのだが……。
 特にそんなことはなく、普通に倒すことができた。

「さて……。さっきも名乗ったが、俺は高橋高志だ。君は?」

 俺は泉に視線を移す。
 すると、そこには少女がうずくまっていた。

「……紅葉です」

「もみじ? ……ああ、紅葉か。きれいな名前だな」

 俺は彼女の名前を呼ぶ。
 少女はうなずいた。
 どうやら、言葉は通じるようだ。

「どうしてこんな森に1人で?」

「それは……」

 少女は言葉に詰まる。
 俺の質問に答えたくなさそうだな……。
 まぁ、人には言えないこともあるか。

「ああ、別に無理に答えなくていいさ。ただ、こんな森に1人でいるのは危険だ。村まで送ってあげようか?」

「む、村には帰りたくありません……」

 少女は言う。
 その表情は暗いものだった。

「ふむ……。何かあったのか?」

「えっと、その……」

 少女の表情がさらに曇る。
 そして、少し経ってから静かに語り始めた。

「……私の村には、村長の息子がいます」

「村長の息子……。そいつは、君の恋人か何かだったり――」

「おらおらっ! こんなところにいたか! 見つけたぞ、紅葉!!」

「む?」

 俺が少女と話していると、そんな声が聞こえてきた。
 声のした方を見ると、そこには一人の少年が立っていたのだった。

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