【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1420話 数十年分の妖力
「イノリにも飛行能力があったんだな。『英霊纏装・並行幻影の術』だって?」
俺の問いに、イノリがこくりとうなずく。
彼女は真剣な表情で話し始めた。
「『英霊纏装・並行幻影の術』は、私の一族に伝わる秘術です。この術を使えるのは、佐京藩の初代藩主から仕えている直系の巫女のみ。その効果は……」
「その効果は?」
俺はごくりと唾を飲み込む。
そんな俺に、イノリが重々しく答えた。
「対象者のあらゆる可能性を演算して幻影を纏い、その者の能力や経験を再現します。……ただし、術の発動には膨大な妖力を必要とします。ざっと数十年分ですね」
「す、数十年か……」
何やらすごそうな術だ。
それを使ってもらえば、桜花藩まで俺を道案内してもらうのも可能か?
だが、さすがに数十年分の妖力とやらを使用してもらうのは酷だな……。
里全体の危機とかならまだしも、俺の道案内のためだけに浪費してもらうのは申し訳ない。
現代日本で言えば、数十年分の貯金を使って海外旅行をするようなものだろうか?
仮に一年あたりの貯金額を百万円とすれば、数十年で数千万円となる。
海外旅行というよりは、豪勢な世界一周旅行とか宇宙旅行とかのレベルだな。
自身や仲間の命を救うためならともかく、出会って間もない他人の道案内程度の目的では使ってもらえないだろう。
「妖力とやらについて、俺は詳しくない。その術に、イノリ以外の妖力は利用できないのか?」
「もちろん、利用していますよ」
「ん? どういうことだ?」
「この術を使えるのは直系の巫女のみですが、妖力の貯蔵だけならば傍系にもできるのです」
イノリが説明する。
そのあたりは、魔力と似たような感じか?
例えば合同魔法なら、みんなの力を合わせて1つの魔法を発動できる。
また、魔石に魔力を貯蔵していざというときに使用する……などといったことも可能だ。
「なら、みんなに協力してもらおうぜ」
我ながらナイスアイディアだ。
みんなで協力すれば、なんとかなることもある。
数十年で貯金した数千万円の費用を捻出するのは大変でも、それを百人で負担すればどうだろう?
一人あたり数十万円ぐらいの負担に抑えられる。
それでも決して軽くはない負担だが、絶対に無理ってほどでもない。
そうだ、里のみんなに治療魔法をかけて回ろうか。
あるいは、『マッサージ術』スキルを活用してみんなの凝りをほぐすのもいい。
協力して妖力を集めよう。
「それなら、数十年分の妖力とやらだって……」
「……のです」
「ん? なんだって?」
俺は聞き返す。
するとイノリは、小さな声でポソリとつぶやいた。
「傍系を含めた巫女全員でコツコツ貯蔵した妖力……その数十年分なのです。決して、私一人の妖力ではありません」
「お、おう……。そうだったか」
思った以上にスケールが大きかった。
巫女が全部で何人いるのかは知らないが……。
仮に百人だとして、合計の負担額は……数十億円レベルか?
とんでもないスケールだな……。
いや、妖力と金銭を単純に比較することはできないけどさ。
「それは……無理そうだな。それほどの妖力を俺なんかのために使ってもらうのは、申し訳ない」
俺はため息をつく。
記憶はあやふやなのだが、俺は彼女たちに危害を加えられた。
その分の補填で、多少の無理は聞いてくれるだろう。
治療魔法やマッサージで貢献することも可能だ。
しかし、さすがに数十億円レベルの負担を強いることはできない。
俺はそのあたりを配慮できる男である。
俺の言葉を聞いたイノリは、なぜか死んだ魚のような目になっていた。
「そもそも、今は貯蔵妖力が空っぽなので無理です」
「空っぽ? 何かに使ったのか?」
巫女一族が数十年かけて貯蔵してきた妖力……。
それが空っぽになっているとは、明らかな非常事態だ。
よほどの大事件があったに違いない。
俺の問いに、イノリがこくりとうなずく。
彼女は真剣な表情で話し始めた。
「『英霊纏装・並行幻影の術』は、私の一族に伝わる秘術です。この術を使えるのは、佐京藩の初代藩主から仕えている直系の巫女のみ。その効果は……」
「その効果は?」
俺はごくりと唾を飲み込む。
そんな俺に、イノリが重々しく答えた。
「対象者のあらゆる可能性を演算して幻影を纏い、その者の能力や経験を再現します。……ただし、術の発動には膨大な妖力を必要とします。ざっと数十年分ですね」
「す、数十年か……」
何やらすごそうな術だ。
それを使ってもらえば、桜花藩まで俺を道案内してもらうのも可能か?
だが、さすがに数十年分の妖力とやらを使用してもらうのは酷だな……。
里全体の危機とかならまだしも、俺の道案内のためだけに浪費してもらうのは申し訳ない。
現代日本で言えば、数十年分の貯金を使って海外旅行をするようなものだろうか?
仮に一年あたりの貯金額を百万円とすれば、数十年で数千万円となる。
海外旅行というよりは、豪勢な世界一周旅行とか宇宙旅行とかのレベルだな。
自身や仲間の命を救うためならともかく、出会って間もない他人の道案内程度の目的では使ってもらえないだろう。
「妖力とやらについて、俺は詳しくない。その術に、イノリ以外の妖力は利用できないのか?」
「もちろん、利用していますよ」
「ん? どういうことだ?」
「この術を使えるのは直系の巫女のみですが、妖力の貯蔵だけならば傍系にもできるのです」
イノリが説明する。
そのあたりは、魔力と似たような感じか?
例えば合同魔法なら、みんなの力を合わせて1つの魔法を発動できる。
また、魔石に魔力を貯蔵していざというときに使用する……などといったことも可能だ。
「なら、みんなに協力してもらおうぜ」
我ながらナイスアイディアだ。
みんなで協力すれば、なんとかなることもある。
数十年で貯金した数千万円の費用を捻出するのは大変でも、それを百人で負担すればどうだろう?
一人あたり数十万円ぐらいの負担に抑えられる。
それでも決して軽くはない負担だが、絶対に無理ってほどでもない。
そうだ、里のみんなに治療魔法をかけて回ろうか。
あるいは、『マッサージ術』スキルを活用してみんなの凝りをほぐすのもいい。
協力して妖力を集めよう。
「それなら、数十年分の妖力とやらだって……」
「……のです」
「ん? なんだって?」
俺は聞き返す。
するとイノリは、小さな声でポソリとつぶやいた。
「傍系を含めた巫女全員でコツコツ貯蔵した妖力……その数十年分なのです。決して、私一人の妖力ではありません」
「お、おう……。そうだったか」
思った以上にスケールが大きかった。
巫女が全部で何人いるのかは知らないが……。
仮に百人だとして、合計の負担額は……数十億円レベルか?
とんでもないスケールだな……。
いや、妖力と金銭を単純に比較することはできないけどさ。
「それは……無理そうだな。それほどの妖力を俺なんかのために使ってもらうのは、申し訳ない」
俺はため息をつく。
記憶はあやふやなのだが、俺は彼女たちに危害を加えられた。
その分の補填で、多少の無理は聞いてくれるだろう。
治療魔法やマッサージで貢献することも可能だ。
しかし、さすがに数十億円レベルの負担を強いることはできない。
俺はそのあたりを配慮できる男である。
俺の言葉を聞いたイノリは、なぜか死んだ魚のような目になっていた。
「そもそも、今は貯蔵妖力が空っぽなので無理です」
「空っぽ? 何かに使ったのか?」
巫女一族が数十年かけて貯蔵してきた妖力……。
それが空っぽになっているとは、明らかな非常事態だ。
よほどの大事件があったに違いない。
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