【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1412話 抱かれ損

「ええっ!? き、記憶喪失なのですか!?」

 カゲロウが驚きの声を上げる。
 俺は、彼女に現状を説明していた。
 俺の記憶は一部失われているらしい。
 その失われた記憶の中には、彼女たちとの因縁も含まれている。
 そのため、俺としては彼女たちに恨みなどはなく、むしろ申し訳なさを感じてしまう。

「ああ、実はそうなんだ」

「そ、そんな……そんなのって……。なら、私は……」

 カゲロウが呆然とした様子でつぶやく。
 そして、彼女はビシッとこちらに指を差した。

「だ、抱かれ損じゃないですか!!」

「落ち着けって……」

 俺は思わず苦笑する。
 カゲロウは全裸のまま、俺に迫ってきた。

「私はてっきり、あなたが怒っていると思って……。里のみんなを守るため、体を犠牲にしたのに…。こんな……こんなのって……」

「だから、落ち着いてくれよ」

 俺はカゲロウの頭をポンポンと叩く。
 確かに、誤解を訂正しないまま美味しくいただいたのは、褒められたことではないだろう。
 だが、後悔はしていない。

「俺は感謝してるんだ」

「え?」

 カゲロウがポカンとした表情になる。
 そんな彼女に、俺は続けて言った。

「失った記憶の中には、大切で特別な思い出もあったはずだ。一刻も早く取り戻さなければならない」

「そ、そうでしょうね……」

「だが、それはそれとして、君のように素敵な女性を抱けて嬉しくもあった。君のような素敵な女性が、俺なんかのために身を差し出して……ってな」

 俺はそう言いながらカゲロウの頭を撫でる。
 すると、彼女は目を見開いたまま固まってしまった。

「あ……はうぅ……」

「ん? どうした?」

「いえ、その……。『素敵な女性』だと言われたのは、初めてだったもので……」

「そうなのか?」

 カゲロウはコクリとうなずく。
 どうやら、彼女は異性との付き合いに慣れていないようだ。

 この『霧隠れの里』には、忍者がたくさん住んでいる。
 だが、その全員が女性。
 いわゆる『くのいち』というやつだ。
 そのような構成になっている詳しい事情は知らない。
 おそらくは秘密保持だとか特殊な妖術の発動条件だとか、そういう事情が絡んでいるのだろう。

「へぇ……。これほどの美人なのにもったいないな」

「そ、そんな……。美人だなんて……」

 カゲロウは耳まで真っ赤にして俯く。
 そして、もじもじと内股を擦り合わせ始めた。
 この感じだと……俺に対してそれほど悪感情は抱いていないようだ。
 彼女に加護を付与できれば、いろいろと捗りそう――ん?

 ……あれ?
 加護?
 ええっと……ああ、そうだ。
 俺にはチートスキル『加護付与』や『ステータス操作』があるのだった。
 すっかり忘れていた。

 俺はウィンドウを開いてみる。
 カゲロウには、既に加護(微)を付与できているようだ。
 そう言えば、加護(微)は自動付与だったな。
 より強力なのは加護(小)。
 しかし残念ながら、現状では加護(小)を付与できるほどの忠義度はない。

 他には、どんな機能があったかな……?
 俺は記憶を取り戻すヒントがないか、ウィンドウを確認していく。

「……ん? 桜花城……?」


ミッション
桜花城を攻め落とし、支配しよう
報酬:加護(大)の解放
   スキルポイント10


「これは……」

 俺はミッションの内容に驚く。
 桜花城という城について、俺は何も知らない。
 だが、一目で分かる。
 かなり不穏当なミッションだ。

「桜花城? 今、桜花城をおっしゃいましたか?」

「ああ。知っているのか? カゲロウ」

「はい。桜花城は――」

「うぅーん……。むにゃむにゃ……」

 カゲロウが説明を始めようとしたとき、別の女性が起き上がった。
 彼女は大きな伸びをしてから周囲を見回す。
 桜花城の件も重要そうだが、彼女とも話をしておくべきだろう。

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