【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1408話 はじめまして?

「ここはどこだ? ……俺は誰だ?」

 俺は思わずつぶやく。
 そして、周囲を見回した。
 ここは……何かの遺跡の中か?

「……そうだ。俺は……高橋高志だ!」

 俺は思わず叫ぶ。
 そう……名前は思い出した。
 しかし、妙な違和感がある。
 俺の名前は……高橋高志。
 それは間違いないはずなのだが……。

「俺は……俺の生きる意味は……」

 俺は思わずつぶやく。
 そして、ふと気付いた。
 少し離れたところに、巫女装束の女性が倒れている。
 どうやら意識を失っているらしい。

「あの女性は……?」

 俺は巫女装束の女性に近付く。
 そして、ゆっくりと抱き起こした。

「うっ……。あ、あなたは……」

「大丈夫か? ここで何が――」

「ひぃっ!? ど、どうして無事なのですか!? あばばばば……」

 女性は俺に気付くと、途端に悲鳴を上げて後ずさりする。
 そして、そのまま地面に頭をこすりつけた。

「せ、切腹しますっ! 今すぐに……。だからどうか、里のみんなは殺さないで……」

「待て待て! そんな物騒な……!」

 俺は慌てて女性を止める。
 どうして切腹なんてする必要があるんだ……。

「君は何者なんだ? ここで何をしていた?」

 俺は気を取り直して女性に尋ねる。
 すると、彼女は震えながらも口を開いた。

「そ、その節は大変な失礼を……。わ、私は地下遺跡を守護する巫女で……名をイノリと申します」

「そうか。俺は高橋高志だ。はじめましてだな」

「はじめまして……? ま、まさか記憶を失っているのですか!?」

「まあ、そうかもしれない」

 俺は頷く。
 自分の名前こそ分かるものの、それ以外の記憶があやふやなのだ。

「そ、そうですか……。しかし、いや、でも……。危険人物であることに変わりはありません……。は、早く里のみんなに連絡を……!」

 イノリが怯えた表情を浮かべている。
 危険人物って、もしかすると俺のことか?
 うーん……。
 困ったな。
 俺は別に危害を加えるつもりはないのだが……。

「待ってくれ。俺の話を――」

「ひぃっ! ごめんなさい、ごめんなさい! やっぱり連絡なんてしません! あばばばばば……」

 イノリはひたすらに謝罪の言葉を繰り返している。
 完全に怯えてしまっているようだ。

「お、落ち着けって。俺は別に君に危害を加えるつもりはない」

 俺は慌てて言うが、彼女は聞く耳を持たない。
 これは困ったな……。
 どうしたものか……。
 こんなときは……。

「君のように可憐な女性に、怯えた表情は似合わない。笑顔が一番だぞ」

 俺はイノリの顎に手を当てて顔を上げさせる。
 そして、優しく微笑みかけた。

「え……? あ……う……」

 俺の突然の行動に驚いたのか、イノリが目を白黒させている。
 手応えありか?
 女性はやはり、愛でるに限るような気がする。

 俺に特定のお相手がいたなら、浮気になってしまうが……。
 どうだったかな?
 よく思い出せない。
 何か大切なことを忘れている気がするが、今はそれよりも目の前の事態への対処を優先したい。

「さぁ、笑ってくれ。俺の愛は無限大だ。君のような美しい女性に、悲しい顔は似合わない」

 俺はイノリの顎に手を当てて上を向かせると、さらに顔を近づけた。
 そして、彼女の瞳をじっと見つめる。

「あ……え……」

 イノリは完全に呆けていた。
 よし、いいぞ!
 ここでさらに畳みかける……!
 そう思った矢先――彼女は気絶してしまった。

「あふっ……」

「あ……あれ? おーい……」

 俺の呼びかけも虚しく、イノリは意識を失ったままだ。
 うーん……。
 困ったな……。
 俺は突然の事態に、思わず頭を掻いたのだった。

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