【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1407話 決着

「やったか!?」

 俺の問いに答える者はいなかった。
 煙が晴れると、そこには満身創痍の幻影たちが膝をついている姿があった。

「お見事……」

「この力……愛する女性の数だけ強くなれるというわけか」

「我らでは勝てぬわけだ」

「本人格よ。我らの力……参考にされたし」

 幻影の数人がそう言う。
 そして、そのまま砂のように崩れ去った。

「……自分で自分をぶっ殺すってのも、嫌なもんだな」

「それは違う。我らはただの精神体だ」

「あくまで貴方の魂を計測し、可能性を演算し再現しただけの存在ですから……」

「我らは……本人格の糧となり、永遠に生き続けるのだ……」

 幻影たちが次々と口を開く。
 彼らの口調は、どこか安らかだった。
 俺は無言で彼らを見つめる。
 そして――彼らはそのまま砂のように崩れ落ちた。

「……」

 俺は何も言えなかった。
 砂のようになった彼らの亡骸は、サラサラと隙間風に乗って消えていく。
 彼らの言葉が真実なら、言わば人工知能のような存在だったのだろうか?
 だが、あの記憶は鮮明で、生々しかった……。
 俺は最後に残った幻影に視線を向ける。

「本人格よ……。本物のマイハニーを泣かせたら……許さないぞ……」

「任せとけ。俺の愛は、魅力的な女性の分だけ存在する。その中でも……この世界で最初に出会ったミティへの愛は、特別さ」

「……任せたぞ。さらばだ……」

 最後の幻影がそう言うと、彼の姿は完全に消え去った。
 これで一件落着と言っていいだろう。
 術者であった巫女イノリの姿が再び現れているが、意識を失っているようだ。
 とりあえずは放置でいい。

「ふぅ……」

 俺は大きく息を吐いた。
 そして、自分の両手をジッと見つめる。

「そうだ……。ミティ……アイリス……。共鳴水晶が示していた方角は……」

 彼女たちの名前を口にすると、愛おしさが込み上げてくる。
 彼女たちの温もりを、俺は確かに感じたのだから……。
 早く合流しないとな……。

「ぐっ……!?」

 不意に、俺は全身に痛みを感じた。
 何か、身体が重い……。
 体の構造が変化していくような……。

「な、何だ……?」

 俺はステータス欄を開いてみる。
 ステータス自体に異常はなかった。
 だが、いつの間にか新たなミッションが追加されている。


ミッション
霧隠れの里の幻影に打ち勝とう
報酬:ハーレム・スタイルのユニークスキル化
   スキルリセットの削除


「な、何だ……これ……」

 俺は思わずつぶやく。
 ハーレム・スタイルのユニークスキル化?
 よく意味が分からない。
 だが……おおよその想像はできる。
 先ほど出した力を、スキルという枠組みに落とし込んでくれるのだろう。

 それは、まぁいい。
 問題は、『スキルリセットの削除』だ。
 一度も使ったことがない機能とはいえ、勝手に削除されるのは困る。

「おい、権限者! 何を勝手なことをしてるんだ! 俺はミッションが追加されたことすら知らなかったぞ! それに、俺はまだミッションの達成処理をしていなかったじゃないか!!」

 俺は虚空に向かって叫ぶ。
 しかし、俺の声はむなしく木霊するだけだった。

「くそっ……。とにかく、ミティたちと合流しないと……あぐぅっ!?」

 俺は全身に走る激痛に思わずうずくまる。
 そして、そのまま地面に倒れ込んでしまった。

「う……ぐ……」

 俺の身体が変化していくのを感じる。
 ミティやアイリスたちに会いたい。
 だが、動けない……。
 そして、俺はそのまま意識を失ったのだった。

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