【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1393話 リーゼロッテ純愛ルート 貴族

 数か月後――

「ええっ!? り、リーゼロッテさんって、お貴族様なんですか!?」

 俺は驚きの声を上げる。
 現在、俺とリーゼロッテさんはラーグの街から出る馬車に乗っていた。
 Bランクパーティの認定を受けた『蒼穹の担い手』は、次なる街へと旅立つことが決まったのだ。
 依頼の段取りの関係で、この馬車に乗っているのは俺とリーゼロッテさんの二人のみ。
 その道中で、リーゼロッテさんが貴族の娘だということを打ち明けられたのである。

「ええ、実はそうなのですわ」

 リーゼロッテさんが言う。
 リーゼロッテさんって、偉い人だったんだな……。

「ご、ごめんなさい! 俺、今まで失礼なことを……」

「お気になさらないで。わたくし、貴族の娘だからといって特別扱いされるのは嫌いですの。今まで通りに接して下さると嬉しいですわ」

「そ、そうですか……」

 俺は安堵の息をつく。
 どうやら、これまでどおりの関係でいられるようだ。

「しかしですよ? リーゼロッテさんが貴族なら、ひょっとして他のパーティメンバーの方々も貴族だったり……」

「いえ、違いますわ。まぁ、貴族とまったくの無関係ではありませんが……」

「無関係ではない……というのは……」

「彼らはわたくしの護衛騎士ですの。パーティリーダーのコーバッツが、筆頭護衛騎士ですわね」

「な、なるほど……」

 俺は納得する。
 貴族の私兵であれば、冒険者としても一流なのも納得だ。

「しかし……どうして俺に打ち明けようと思ったんです?」

 俺は尋ねる。
 隠したいことの一つや二つ、誰にでもあるだろう。
 それをわざわざ教えてくれたのだ。
 何か理由があるのだろうか?

「ふふっ……。実はわたくし、タカシさんのことが大好きなんですの。タカシさんが望むなら、わたくしはタカシさんの妻になってもよろしいと思いまして」

「えぇっ……!?」

 俺は素っ頓狂な声を上げる。
 このお姉さんはいきなり何を言い出すんだ!?

「り、リーゼロッテさん……。あなたは高貴な身分でしょう? 俺なんかと……」

「あら、身分差なんて気にしませんわ。わたくしは長女ですが、兄が二人いますし……。当主を継ぐことはありません。それに、わたくしが好きになったのは、他でもないあなたなんですもの」

 リーゼロッテさんが言う。
 俺はごくりと唾を飲み込んだ。
 彼女の好意は本気らしい。

「ねぇ、タカシさん……。わたくしをお慕いくださいまして……?」

 リーゼロッテさんが耳元で囁く。
 彼女の甘い香りが、俺の鼻腔をくすぐった。

「え、えっと……その……」

 俺は返答に詰まる。
 そんな俺に対し、リーゼロッテさんは妖艶な笑みを浮かべた。
 こんな笑みを見せられたら、俺が返せる答えなんて――

 …………。
 ……いや、待て。
 彼女の企みが分かったぞ。

「リーゼロッテさん、あのですね」

「はい?」

「よだれが垂れてますよ」

「あらあら、失礼しましたわ。タカシさんの創作料理を想像すると……思わず……。……じゅるり……」

 リーゼロッテさんがよだれを拭う。
 そう、彼女は食いしん坊なのだ。
 俺は日本から来た転移者なので、この世界にはない料理の数々を披露していた。
 特にマヨネーズが好評だったな。

「でも、料理だけが狙いではありません。わたくしからタカシさんへの愛は本物ですわ」

「しかしですね……」

「ねぇ、タカシさん……。わたくしと夫婦になりましょう? ラスターレイン伯爵家は継げませんが、分家としてなら貴族の地位を得ることができますわ。タカシさんの水魔法は一流ですし、誰にも文句は言わせません」

「えっと……。その、何というか……」

 俺は返答に困る。
 これはもう、逃げたほうがいいかもしれない。
 そんな俺にリーゼロッテさんが顔を寄せてきた。

「お望みなら、わたくしの胸をいつでも触らせて差し上げますわよ?」

「そ、そんなことで俺は……」

「ご無理なさらないで。わたくし、気付いていますのよ? タカシさんがいつもわたくしの胸を見ていることに……」

「うっ!?」

 俺は動揺する。
 そんなの、バレていないと思っていたのに……。

「ふふっ、いいのです。好きなように見ていてくださいな」

 リーゼロッテさんが胸を突き出すようにして言う。

「うぅ……」

 俺は思わず胸を凝視してしまった。
 ああ……メロンみたいだなぁ……。
 俺はもう、ダメかもしれない……。

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