【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1392話 リーゼロッテ純愛ルート 蒼穹の担い手への加入

「しっかりして下さいまし!」

 女の人の声だ。
 誰だろうか?
 どこかで聞いたことがある声だな……。

「んちゅ……。んむ……」

 誰かの唇の感触が伝わってくる。
 何かの液体が流し込まれてきた。
 全身に感じていた痛みが和らいできたような感じがする。
 俺、死にかけていたのか……?

「ぷはっ……。これで大丈夫なはずですわ」

 女の人の声が聞こえる。
 やはり聞き覚えがある声だ。
 俺はゆっくりと目を開いた。

「俺は……何を……」

「記憶に混濁があるのですわね。でも、もう安心ですわ」

 俺を覗き込んでいる女の人がニッコリと笑う。
 とても綺麗な女性だ。
 年齢は20歳ぐらいだろうか?
 美しい青髪で、どこか神秘的な印象すら受ける。

「あなたは……リーゼロッテさん……?」

 俺はその人物の名前を呼ぶ。
 なぜ彼女がここに……?
 いや、そもそもここはどこだ?

「はい。『蒼穹の担い手』のリーゼロッテですわ。あなたは、クレイジーラビットの猛攻を受けてしまったのですわよ?」

「クレイジーラビット……?」

 俺は首を傾げる。
 だが、少しして思い出した。

 元無職の俺は、この世界に転移してきた。
 転移先は見晴らしのいい草原だったが、残念なことに遭難してしまう。
 俺は飲み水を確保するため、『ステータス操作』を利用して『水魔法』を取得。
 ついでに攻撃にも利用して、何とかラーグの街まで辿り着いた。

 街に到着した俺は、定番の冒険者ギルドに登録。
 水魔法のスキルを伸ばして頭角を現した頃、『蒼穹の担い手』というパーティから西の森への遠征に誘われる。
 だが、俺は魔物の知識が不十分で……。
 危険なクレイジーラビットに攻撃を加えてしまったのだったな。

「申し訳、ありません……」

 俺は謝罪する。
 そんな俺に、リーゼロッテさんは優しく笑いかけてくれた。

「気に病むことはありませんわ。タカシさんおかげで、狩りの効率がよくなっていますから」

「ですが……。俺の水魔法なんて、リーゼロッテさんに比べればまだまだで……。それに、俺がいなければポーションを無駄遣いせずに済んだはずです……」

「ふふっ、随分と謙虚ですのね。ポーションなんて、また買えばよろしいだけですわ」

 リーゼロッテさんが微笑する。
 この人には敵わないな……。
 美人で優しいお姉さんだ。
 いや、実年齢は俺の方が上だと思うが……。
 精神年齢は俺の方が下だし、やはりリーゼロッテさんがお姉さんで間違いない。

「ポーション代は必ずお支払いします」

「あら? そんなの気にしなくてよろしいですわよ?」

 リーゼロッテさんがクスクスと笑う。
 いや……そういうわけにはいかないだろう。

「ご迷惑でなければ、これからもパーティを組ませてください。俺の報酬から、ポーション代を天引きしてもらえれば……」

「それはありがたい申し出ですわ。でも……よろしいんですの? わたくしたちとしては大歓迎ですけれど……。タカシさんほどの才覚があれば、いずれもっと高待遇なパーティから声がかかるはずですわ」

「いえ、俺は……。『蒼穹の担い手』に残りたいんです」

 俺はそう答える。
 このパーティの人たちは、みんないい人だからな。
 俺みたいなやつでも受け入れてくれるし……。

「あら? お上手ですこと」

 リーゼロッテさんがクスクスと笑う。
 俺は本心から言っているんだがな……。

「では、これからもよろしくお願いいたしますわ」

 リーゼロッテさんが手を差し出す。

「ええ、こちらこそ。……うっ!?」

 俺は不意にめまいを覚える。
 先ほどのダメージがまだ残っていたか……。
 ふにっ。
 柔らかい感触が俺を包んだ。

「あらあら、しばらくは静養が必要ですわね。わたくしが野営地までエスコートして差し上げますわ」

 俺はリーゼロッテさんの豊満な体に包まれていた。
 彼女の体温が伝わってくる。
 リーゼロッテさんの温もり、いい匂い、柔らかい胸……。
 ああ……もうこのまま死んでもいいかも……。
 そんな多幸感を味わいながら、俺は意識を手放したのだった――

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