【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1374話 ユナ純愛ルート 赤き大牙への加入

「ねえタカシ……。ちょっと来てくれる?」

「へ?」

 俺は間抜けな声を出す。
 今は……ええっと……。
 そうだ、『赤き大牙』のみんなとホワイトタイガーを倒した日の夜だったな。
 西の森からは出たが、ラーグの街まではまだ距離がある。
 そのため、無理せず野営をしているところだった。

「ボーっとしていたの? い、いいから来てよ」

「……ああ。分かったよ、ユナ」

 俺はEランク冒険者だ。
 特に金が入り用なわけではないが、『異世界転移と言えば冒険者だろ』という安直な考えで冒険者になった。
 右も左も分からない冒険者稼業。
 チートスキル『ステータス操作』で『弓術』などを強化し、安全な距離から狩りをしていた。
 今思えば、効率が悪くて危険な戦い方をしていたと思う。

 そんな俺を見兼ねて導いてくれたのが、Dランクパーティ『赤き大牙』だ。
 偶然、俺が弓で必死に魔物を討伐している姿を見かけたらしい。
 ソロで活動している弓士のEランク冒険者など、そうそういないそうだ。
 普通は前衛がいると……。
 どうしてもソロでやるなら、剣士になるのが普通だと……。
 確かにそうかもしれない。

 そのときの俺は、弓の構え方が初心者丸出し。
 魔物との距離も過剰に取っていた。
 しかし、意外にもその狙いはそこそこ正確で、悪くない。
 弓士としての才能を開花させる前に死んでは可哀想だと、せめて戦い方を教えてやろうとパーティに誘ってくれたのだ。

 その後、俺は『赤き大牙』と共に依頼をこなしたり飲みに行ったりして、絆を深めていった。
 レベルが上がってスキルポイントを得た俺は『弓術』や『視力強化』スキルをドンドン伸ばし、一足飛びに成長していく。
 パーティとしての連携度も上がった。

 そして今日。
 赤き大牙のみで西の森を探索し、ホワイトタイガーに遭遇。
 タンク役のジークが引き付けつつ、弓士の俺とユナが的確に援護し、最後は大剣使いのドレッドの一撃によって仕留めたのだ。

「な、何か用なのか?」

 俺は天幕を出て、ユナと共に少し歩く。
 そして、野営地から少し離れたところで彼女が立ち止まった。

「あの……その……ね」

 ユナが恥ずかしそうに言う。
 俺もドキドキしてきた。
 これは……まさか!?

「その……わ、私ね? タカシのこと……」

 ユナが何か言おうとする。
 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。

「仲間として気に入っているの」

「えっ……?」

「あの……これからも、ずっとうちのパーティにいない? あなたとなら上手くやっていけそうな気がするわ」

「あ、あぁ……。……え?」

 俺は呆けた声を出した。
 一瞬、何を言われたのか分からなかった。
 期待していた告白ではなかったことに、図々しくも少しショックを受けてしまう。

 だが……そうか。
 パーティへの正式勧誘か。
 これはこれで喜ばしいことだ。

 今の俺は、『最低限の一人前になるまでという期限付きでDランクパーティに加入させてもらった、ただの臨時メンバー』である。
 今日のホワイトタイガー戦を含めたこれまでの活躍を見て、正式にパーティに勧誘してくれるつもりになったのだろう。
 俺は、素直に嬉しいと思った。

「ドレッドとジークもあなたのことは高く評価しているわ。前衛2人に弓士2人は、少しだけパーティバランスが悪いけど……。それを補って余りある才能が、あなたにはある。彼らも絶対に歓迎してくれるはずよ」

「うーん……」

 俺は少し悩む。
 だが、答えはすでに決まっていた。

「ありがとう。こちらとしても、本当にありがたい話だ。『赤き大牙』にずっといたい」

「そ、そう? 良かった!」

 ユナが嬉しそうに笑う。
 俺もつられて笑顔になった。
 このパーティに加入するデメリットは、もちろんある。
 特に、俺がこのまま急成長を続けた場合にチートスキル『ステータス操作』などの存在がバレかねないリスクは、無視できないだろう。

 だが、今のところはデメリットを上回るメリットがある。
 パーティを組むことで狩りの柔軟性や安全性が増す点。
 先輩冒険者である3人からいろいろと教えてもらえる点。
 何より、美少女弓士であるユナと共に生きていける点が魅力的だ。
 ここは素直に厚意を受け取ろう。

「これからもよろしく頼む」

「ふふん。こちらこそ、よろしくね」

 俺は右手を出す。
 ユナが握手に応じた。
 2人でしっかりと手を握る。
 ユナの温もりを感じ、俺は彼女をとても愛おしく思ったのだった。

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