【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1373話 タカシ=ラスカル『ヴァース・スタイル』

「ぐっ……! ひ、【ヒール】……!」

 俺は全身傷だらけになりながらも、何とか治療魔法を使う。
 傷を癒やし、体力を回復させた。

「はぁ……はぁ……」

「ほう? 俺のタックルを耐え抜いたか」

 俺の目の前には、岩の鎧を着た男が立っている。
 この男は幻影だ。
 俺は今……『霧隠れの里』の地下遺跡にいる。
 巫女イノリが発動した特殊な術により、並行世界の俺と戦わされているのだ。

「器用貧乏のお前では、これほどの土魔法は発動できまい。……どれ、さらなる高みをみせてやろう。はあああぁっ!!」

 幻影が魔力を解放する。
 すると、彼の岩鎧の周りにさらなる岩が付着し始めた。

「なっ!?」

「硬いだけが、岩鎧の取り柄ではない。いくつもの特性を持った多重構造にすることで、総合的な耐久度が増すのさ。お前程度には難しい話だったかな?」

「こ、この……っ!!」

 幻影の煽りに憤る俺。
 だが、激昂したところで状況が改善するわけではない。
 彼の一層目は、ダイアモンド並みの硬度の鎧だった。
 そして、二層目は――

「これこそが俺の【フェルゼン・アバランチ】だ! この岩石の外郭は、たとえ砕かれようと一瞬で修復される! そしてこの拳は……鉄をも砕くのだ!!」

 そんな言葉と共に、幻影が殴りかかってくる。
 速い!
 いや、これは……!!
 かなり速い!!!

「うおおおおっ!?」

 俺は必死で避けた。
 そうしなければ、死んでいたからだ。
 二重構造の岩鎧……。
 相当な重さがあるはずなのに、それを全く感じさせない素早い動き。
 並大抵の身体能力ではない。

「ほう? 意外に動ける奴だな」

 幻影が笑う。
 そして、さらに魔力を高めた。

「では、俺の第三段階を見せてやろう! こおおぉ……!!」

 幻影の岩鎧がさらに進化する。
 一層目は、ダイアモンド並みに硬い岩。
 二層目は、硬度はほどほどだが、再生機能付きの岩。
 そして、三層目は――

「刮目しろ、これこそが【夜叉粘土闘衣】!! そしてくらえ! 必殺のぉぉーー!!」

「っ!!」

「【ボンバー・ナックル】!!!」

「ぬおおおおおぉっ!?」

 俺は岩鎧の突進を必死に避ける。
 粘土のように柔らかい表層が、彼の動きをサポートしているのか?
 先ほどまでよりもさらに速くなっていた。
 おそらく、ダッシュの際に魔力で粘土を操作しているのだと思われる。
 岩鎧の総質量は増加しているはずなのに、その動きはこれまで以上に的確で素早い。

「お前に勝ち目はないぞ! 俺はタカシ=ラスカル『ヴァース・スタイル』! 浮気者のお前を成敗してやろう!!」

「くっ……! き、近距離では分が悪すぎる……」

 俺は距離を取る。
 遠距離攻撃で仕留めるしかない。
 岩鎧を纏っているとは思えない彼の素早さであっても、逃げに徹した俺に追いつけるほどではないはずだ。

「くらえっ! 【ブランチスピア】!!」

 俺は魔法を放つ。
 植物魔法の『ブランチスピア』だ。
 初級魔法で威力は弱い。
 だが、土魔法に対しては相性が良いのだ。
 これで多少の牽制には――

「甘いぜっ! 【フィンガー・ファイアー・アロー】!!」

「なっ!?」

 また新手の幻影が参戦してきた。
 彼の放った炎の矢は、『ブランチスピア』をあっさり撃ち落とした。
 飛んでいる魔法を射抜くなんて、とんでもない技量の弓術だ。

「くたばれ! 【極技・千本桜】ぁ!!」

「う、うわあぁぁっ!?」

 幻影が千の弓矢を繰り出す。
 俺は全力で回避した。
 だが……。

「ぐうぅ!? がああぁっ!!」

 俺の全身に矢が刺さっていく。
 無数の矢が、俺の全身を蹂躙していった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品