【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1368話 タカシ=リシャス『サンダーシェフ・スタイル』

「――うぐっ!? はぁ、はぁ……」

 俺は飛び起きる。
 今は……幻影との戦闘中だ。
 気をしっかり保つんだ。
 存在しないはずの記憶に惑わされてはいけない。

「どうだ? 素晴らしい人生だと思わないか?」

「…………」

「何とか言ったらどうなんだ! この浮気者のクズが!!」

「ぐおおおおぉっ!?」

 幻影は激昂し、俺を蹴り飛ばす。
 彼の脚力は強い……。
 俺は大きく吹き飛ばされた。
 大ダメージを負いつつ、俺は口を開く。

「俺は……仲間を、世界を……。そして何より愛する女性たちを守らないといけないんだ!!」

「はっ! 愛する女性『たち』だと? くだらん!! 女性1人を真摯に愛せない者に、世界など守れるか!!」

「うるさい! 俺は……俺は負けない!!」

 俺と幻影の戦いは続く。
 彼のスピードは凄まじい。
 戦闘経験は乏しいようで荒削りだが、雷魔法と脚力の合わせ技によりゴリ押しされる。
 だが、それならばそれで有効な対策はある。

「くらえっ! 【パラライズ】!!」

 俺は幻影に雷魔法を放った。
 スピード自慢にはこれが効く。
 攻撃速度が速く、しかも範囲も広めだ。

 かすりさえすれば、多少の麻痺効果を発揮する。
 相手の移動が遅くなれば、再びパラライズを発動して直撃させる。
 そうすれば、相手の移動速度をさらに遅くすることができる。
 必勝パターンだ。

「ふっ……! 甘いな!!」

「何っ!?」

 幻影は、俺のパラライズをあっさりと回避した。
 そして……そのまま俺に向かって突進してくる。

「俺は、タカシ=リシャス『サンダーシェフ・スタイル』! 雷速でたくさんの料理を作ってきたんだ! お前のチンケな雷魔法など、俺には当たらん!!」

「ぐっ……!」

 幻影は俺に猛攻撃を仕掛けてくる。
 とても全ては躱しきれない。
 ならば――

「【ロック・デ・ウォール】!!」

 俺は土魔法で防壁を作る。
 広範囲をカバーする大きくて頑丈な防壁だ。

 幻影のスピードは桁外れに速い。
 だが、雷魔法や蹴りでは強固な防壁を突破することは難しいだろう。
 多少の時間は稼げるはずだ。
 その間に、態勢を立て直して――

「お粗末な土魔法だな。こんなもので、俺たちを止められると思っているとはな」

「な……!?」

 防壁の一部が貫かれた。
 雷魔法や蹴りではない。
 これは……俺と同じ土魔法か?

 俺の土魔法はレベル3だ。
 専門家ではないのだが、『魔力強化』などの補正もあってその強度は鋼鉄にも匹敵する。
 それを、同系統の土魔法で易々と貫くなんて……。

「大地の恵みを意識したことがあるか?」

「なに? どういう意味だ?」

「俺は『大地の恵み』を体現した存在。土魔法を極めし者だ!」

「な……!?」

 幻影は岩の鎧を纏い、俺に向かって突進してくる。
 そして――

「【ブリリアント・パンク】!!」

「げふっ!?」

 俺の腹に強烈なタックルをお見舞いした。
 俺は大きく吹き飛ばされ、大地に転がったのだった。

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