【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1364話 タカシ=シルヴェスタ『セイント・スタイル』

「――ぐっ!? ま、またか……」

 俺は再び我に返る。
 ここは古代遺跡。
 俺は並行世界の幻影と戦っているところだ。

「どうだ? アイリスのみを真摯に愛せば……こんな未来もあり得たんだぞ!!」

「ぐぬっ……」

 俺は歯噛みする。
 アイリスとのラブラブ結婚生活。
 俺の脳内に、幸せな家庭が思い浮かぶ。

 幻影たちは、単純に戦闘能力が高い。
 その上、どういう仕組みか俺に並行世界の記憶まで見せてくる。
 肉体と精神のダメージにより、俺は追い詰められつつあった。

「ふっ……。そろそろ終わりにするか……」

 幻影が身構える。
 俺は、そんな幻影を睨みつけた。

「いや……終わらせない」

 俺は闘気と聖気を全身に漲らせる。
 そして、全力の拳撃を幻影に叩き込んだ。
 だが――

「その程度か?」

「何っ……!?」

 幻影は、俺の攻撃を受けてもビクともしていなかった。
 俺は思わず後ずさる。
 そんな俺に、幻影は告げた。

「この程度の実力でこの俺を倒せるとでも? 聖闘気の出力がまるで足りんな」

「バカな……! なんだその聖闘気の量は!?」

「俺は……タカシ=シルヴェスタ『セイント・スタイル』! 徒手空拳の近接戦闘において、俺の右に出る者はいない!!」

「ぬうっ!?」

「くらえっ! 【聖・砲撃連拳】ん!!」

 幻影の俺は拳の連撃を繰り出す。
 速い!
 凄まじい連撃だ。
 まるでガトリングガンのような拳が、俺を襲う。

「ぐあっ!!」

 俺は吹き飛ばされた。
 そして、壁に叩きつけられる。

「ぐっ……」

「どうだ? これほどの武闘……。お前には到達できない領域だろう」

 幻影の俺は、俺を見下ろしながら言い放つ。
 悔しいが、その通りだ。
 俺には武闘で彼以上の実力はない。
 ミリオンズ内でも、アイリスの方が強かったしな……。

「確かに、まともに武闘で戦っては勝ち目はない……。なら、距離を取るまでだ!」

 俺は即座に体勢を立て直す。
 いろんな女性を救い仲を深めるため、俺は様々なスキルを伸ばしてきた。
 悪く言えば、彼らの言う通り器用貧乏だ。

 鍛冶に特化した『スミス・スタイル』、聖闘気を活かした武闘に特化した『セイント・スタイル』……。
 2人の得意分野で戦ってしまえば、勝ち目はない。
 ならば、剣をしまい、武闘を封印すればいい。
 俺には他の戦闘手段もある。
 器用貧乏とは、言い換えれば多種多様な局面に対応可能ということだ。

「ははっ! 逃がすと思ったか?」

「なにっ!?」

 俺は背後に殺気を感じる。
 幻影の俺が、いつの間にか俺に肉薄していた。
 いくら何でも速すぎる……。
 移動速度だけなら、武闘特化の幻影よりも速いぞ!?

「【術式纏装・雷天霹靂】だ! そしてくらえっ!! 【ワン・オー・セブン・マシンガン】ん!!!」

 幻影のキックが俺に迫る。
 雷属性を帯びた強烈な連撃だ。

「ぐああああああっ!!」

 俺は絶叫する。
 そして、その場に崩れ落ちたのだった。

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