【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1359話 タカシ=バーへイル『スミス・スタイル』

「――はっ!? い、今の記憶は……?」

 俺は我に返る。
 ここは……ヤマト連邦の『霧隠れの里』の地下にある古代遺跡だ。
 里長カゲロウと巫女イノリの連携プレイにより、並行世界の俺の幻影が10人以上召喚された。
 俺はそれらの幻影と戦っていたところである。

「今の記憶はなぁ……! お前が選ばなかった世界だよ!!」

「え?」

「愛しのマイエンジェル・ミティとの幸せな純愛結婚生活を、お前は選ばなかった。その世界だ!」

「な、何ぃ……!?」

 今の記憶は、並行世界における俺とミティだけの結婚生活か!
 確かに、俺はそれを選ばなかった。
 この世界の俺は、ハーレムを築いてしまっている。

「二兎どころか、十兎以上を追っかけ回す浮気者のお前は……この俺に勝てん! 鍛冶系スキルに特化した俺にはなぁ!!」

「くっ!」

「俺は……タカシ=バーへイル『スミス・スタイル』! そしてくらえっ! 【紅剣インフェルノ】ぉお!!」

「ぐわあああ!?」

 俺は、幻影の俺の攻撃をくらってしまう。
 並行世界の俺だけあって、その戦闘能力はかなり高い。
 彼の場合、武器性能の要素が非常に大きいようだ。

 剣を使った攻防では分が悪い。
 火魔法の出力も、おそらくはブーストされているだろう。
 火以外の魔法か、あるいは剣以外の近接戦闘に持ち込もう。
 それならば、なんとかなる。
 俺は紅剣クリムウェルをアイテムボックスに収納するが――

「おっと。敵は一人じゃないぞ?」

「な、なにっ!?」

「やあっ!!」

「ぐはっ!?」

 俺は背後からの攻撃を受けてしまう。
 また別の幻影からの攻撃だ。

「ははは……。身のこなしがお粗末だぞ? 俺!!」

「ぐぬっ!?」

 その2人目の幻影は、素晴らしい格闘技術の持ち主だった。
 回避しても、即座に次の攻撃が飛んでくる。
 それに、高い身体能力によるパワーとスピードも併せ持っている。

「ほら! ほらぁ!!」

「くそっ……! がはっ!?」

 本当に俺の幻影なのか?
 とんでもない格闘センスだ。
 とても真似できない。

「さらに絶望させてあげよう。右手に闘気。左手に聖気……」

 彼は両手に、それぞれ闘気と聖気を集め始める。
 あの技なら知っている。

「舐めるな……! 俺だってそれぐらいできる! ……右手に闘気。左手に聖気。それを混ぜ合わせて――はっ!」

 俺も同じように両手に闘気と聖気を混ぜ合わせ始めた。
 そして、次の瞬間……。

「【聖闘気・二聖の型】」

「【聖闘気・七聖の型】」

「「くらえ!! 【虎天拳】ん!!!」」

 俺と幻影の俺は、同時に技を放つ。
 聖気と闘気をブレンドした、遠距離攻撃弾だ。
 単純な出力なら、チート持ちの俺が負けることはそうそうない。
 俺はそう思った。
 しかし……。

「ぐわああ!?」

 俺の攻撃は弾かれてしまった。
 そして、その隙に幻影の俺が距離を詰めてくる。
 彼の正拳突きが、俺に直撃する。

「ぐふっ! ば、馬鹿なっ……」

 俺は膝をついてしまう。
 そして、またもや俺の脳内に流れ出した。
 存在しないはずの記憶が……。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品