【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1355話 ミティ純愛ルート -1

 ふと気が付くと草原に立っていた。
 天候は晴れ。
 風が涼しげにざわざわと吹いている。

「ここはどこだ……?」

 辺りの様子を探る。
 見覚えのない草原が遠くまで広がっている。

 俺はサザリアナ王国の貴族だ。
 日本から異世界に転移したあと、ミティやアイリスを幸せにするため奮闘して……。
 ……ん?
 ええっと、あれ……?

 ミティ?
 アイリス?
 誰だっけ……?

「いかんな。記憶が混乱しているみたいだ」

 改めて整理しよう。
 俺は無職だ。
 いつも通り、自室でゴロゴロしていたはず。

 さっきの謎の記憶は何だったのだろう?
 どこかで見たアニメやマンガの影響で、夢でも見ていたのだろうか?
 すでに記憶があやふやだ。
 どんな名前の人たちがいたかすら、よく思い出せない。

「さて、これからどうするか……。……ん?」

 視界の隅で何かが点滅している。
 ゲームのアイコンのようなものだ。
 何やら、ステータスやミッションという項目が並んでいた。



 ――とりあえず俺は剣術を強化して、どこかの街を目指すことにした。
 その途中で、魔物に襲われている馬車を発見。
 行商人、冒険者、フードの人の3名がいた。
 俺はすかさず助太刀する。

「あ、危ない!」

「きゃっ」

 馬車に乗っていたフードの人は、女性だった。
 俺は彼女を背中に、魔物を何とか牽制する。

「安心してください。俺があなたを守り抜いてみせます!」

「あ、ありがとうございます」

 俺は女性に笑いかける。
 そのとき――ちょっとした突風でフードが脱げた。

「あっ……」

 俺は絶句する。
 その女性の顔は、とても美しかった。
 それに、可愛かった。

「あ、あなたは……?」

「私は……ミティと申します」

 彼女はそう名乗る。
 この出会いは運命だ!
 俺はそう確信する。
 勢い任せに魔物を討伐した俺は、改めてミティに向き直る。

「あの……私の顔に、何かついてますか?」

「いや……。その……」

 俺は口ごもってしまう。
 ミティの可愛さに見惚れたなんて言えない。

「俺と結婚してください!!」

 俺は勢いで求婚してしまう。
 これが俺とミティの出会いだった。



 ――その後、彼女の身分が奴隷であることを知った。
 価格はなんと……金貨400枚。
 とても払えない。
 だが、その程度の障害で諦められるほど、俺の愛は軽くなかった。

「さぁ、マイエンジェル・ミティ。今日から君は俺のものだ。他の誰にも渡さない」

「は、はい……」

 俺は金貨400枚の借金をして、ミティを購入した。
 異世界に来た即日に、凄まじい額の借金をしたのである。
 身元が怪しい上、前金もない状態だったのでかなり悪い貸し付け条件だった。
 金利は高く、借金を完済するまで街から出てはいけない。
 しかも、返済が滞った場合に俺は奴隷に堕とされてしまう。

 だが、幸いにして俺にはチートがある。
 その効果はまだ検証中だが……。
 たぶんきっと、何とかなるだろう。

「冒険者もいいが、怪我が怖いんだよな」

「は、はぁ……」

「思い切って鍛冶師になってみようか。ミティはドワーフだし」

「それは……」

 ミティが何か言いたそうにしている。
 ドワーフといえば鍛冶が得意だろう。
 そんな彼女に鍛冶をさせれば、きっと良い剣を作ってくれるはずだと思ったのだが……。

「実は、俺には特殊な技術があってね。ミティに鍛冶スキルを与えることができる。そして俺も同じく、鍛冶スキルを習得することが可能だ」

「そ、そんなことが……?」

 驚愕するミティ。
 俺はそんな彼女に、鍛冶術を取得させる。
 これでミティも立派な鍛冶師だ。
 併せて俺も鍛冶術を取得する。

 その後、俺たちは満を持してラーグの街の鍛冶師に弟子入りした。
 そして、着実に実力を伸ばしつつ借金を返済していくのだった。

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