【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1339話 火行に命じて【ミティたちside】

「かくれんぼをしよう」

「かくれんぼ……ですって?」

 ミティが訝しむ。
 カゲロウは続ける。

「そう、かくれんぼさ。ルールは簡単だよ? 今から1分の間に、君たちが隠れるんだ。その後10分後に私が探す。制限時間内に、全員を見つけ出せれば私の勝ちだ。もしも見つけられなければ……君たちの勝ちでいいよ」

 カゲロウは軽い口調で言う。
 まるで、かくれんぼで遊ぶ子どものような口ぶりだ。
 ミティは警戒心を強める。

「その提案を受け入れるメリットがこちらにはありませんね」

 異国の地でのかくれんぼなど、危険なだけだ。
 上手く隠れるにはバラけて行動する必要があるが……そうすると、カゲロウの部下に襲撃されて各個撃破されるリスクがある。
 ミティの返答に、カゲロウが笑う。

「それはそうだろうね。でも……、これは君たちのための提案でもある」

「……どういうことです?」

「簡単なことだよ。この提案を受けなかった場合、里の全戦力で消耗戦を仕掛けることになる。いくら君たちが強くても……異国の地で消耗戦が始まれば、いずれは力尽きるだろう?」

「…………」

 確かに、カゲロウの言葉にも一理ある。
 ミティやアイリスを始めとするミリオンズ一行は、とんでもなく強い。
 リーダーであるタカシが不在であっても、たかが『隠れ里』程度の保有戦力に負けるとは思えない。
 だが、さすがに一蹴はできないだろう。
 いくらかの損害は受けてしまう可能性は高い。
 異国の地で潜入作戦を遂行するにあたり、ミティたちはできるだけ被害を少なくしたいと考えていた。

「いいでしょう。その提案を受け入れます」

「さすがだね。物分かりが良いのは助かるよ。……では、今から1分間だ。1分後に探し始めるから、それまでに隠れるんだよ。いーち……にー……さーん……――ごふっ!?」

 カゲロウは数を数え始める。
 しかし、途中で吐血した。

「き、貴様……」

「失礼しました。無防備でしたので……。別に、『数を数えている鬼役を殴ってはいけない』というルールはありませんよね?」

 カゲロウが睨む先には、ミティがいた。
 彼女はゲームを受けるフリをして、カゲロウに不意打ちをしていたのだ。
 ミティがスッと手を挙げると、他のミリオンズたちも戦闘態勢になる。

「くっ……」

「大人しく降伏するなら、これ以上の追撃は――」

「なんてね。想定の範囲内さ」

「なっ!?」

 カゲロウが不敵な笑みを浮かべる。
 どのような手段かは不明だが、ミティによる腹パンを無効化したらしい。
 カゲロウは余裕の表情で笑う。

「ふふ……。君が私を攻撃してくることは、予測していたよ。さすがにここまで強烈なパンチをためらいなく放ってくるとは思わなかったけどね」

「ちぃっ……!」

「遊戯にかこつけて各個撃破できれば楽だったし、そうでなくてももう少し時間を稼ぎたかったけど……。大きな問題はない。さぁ、今だ!!」

「「承知っ!!」」

 物陰からカゲロウの部下たちが姿を現す。
 先ほど引いた式神使いとは、また別の部下らしい。

「くっ……。用意周到ですね」

「褒め言葉として受け取っておくよ。さぁ、覚悟したまえ。……【火行に命じて汝を爆ぜる】」

 カゲロウが詠唱を始める。
 それに合わせて、周囲の部下たちも詠唱を始めた。

「【火行に命じて汝を爆ぜる】」
「【火行に命じて汝を爆ぜる】」
「【火行に命じて汝を爆ぜる】」
「【火行に命じて汝を爆ぜる】」

「「「――【爆ぜろ】!」」」

 カゲロウの部下たちが一斉に詠唱を完了させる。
 それと同時に、ミティたちの足元が爆発したのだった。

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