【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1335話 勝ち目はゼロ?【ミティたちside】

「くく……。侵入者どもは今頃、『鏡像カウンターアバターズ』と戦っている頃かの」

 屋敷の一室で、1人の少女がつぶやいた。
 少女の名はひみこ。
 ヤマト連邦でも最上位クラスの力を持つ存在であり、連邦南西部の『佐京』においてとりわけ大きな影響力を持つ少女である。

「ひみこ様。その『鏡像カウンターアバターズ』と戦っている者たちですが……今後の対処はいかが致しますか?」

「今後の心配? そんなものは必要ないじゃろう。奴らが仮にとんでもない強者だったとしても……『自分自身』を相手に勝てるはずがない。鏡を相手にじゃん拳をしても、勝ち目はゼロじゃろうて」

「左様ですか。では、奴らのことは放っておくと……」

「うむ……。それに、『霧隠れの里』には『奴』がおるからの。異国の連中は、奴の妖術や呪術に対応できまい。万が一の際にも、どうとでもなるじゃろうて」

 ひみこはニヤリと笑う。
 彼女にとって、この程度の侵入者騒ぎは日常茶飯事。
 特に気にするようなことではなかったらしい。
 彼女は侵入者のことを頭の片隅に追いやり、再び書類仕事に戻るのだった。


*****


「【フィンガー・ファイアーアロー】!」
『【フィンガー・ファイアーアロー】!』

 ユナが大技を発動する。
 だが、相手はそれをあっさりと相殺した。

「くっ……! 埒が明かないわね……」

 ユナが苦々しい表情を浮かべる。
 彼女の鏡像は、本物の能力と全く同じだった。
 それに、魔法を発動しようとするタイミングすら似通っている。
 これでは、戦いに終わりが見えない。

「持久戦になれば私たちが有利です! 私が皆さんを癒やしましょう。――【エリアヒール】!」

『そちらが有利? それはどうでしょうか? 治療魔法は私も使えますよ。――【エリアヒール】!』

 サリエが仲間たちに治療魔法を使う。
 彼女の鏡像も、全く同じ行動をした。

「このままじゃ、MPと体力の無駄ですわね……」

 リーゼロッテがつぶやく。
 彼女は卓越した水魔法使いだ。
 当然、偽物も同じ能力を持っているはずだが……。
 彼女に限っては激しい戦いに至っていないようだ。
 おそらく、彼女のぐうたら――じゃなくて戦闘嫌いな性格は、偽物にもコピーされているのだろう。

「実に厄介でござるな……。自身との戦いは望むところでござるが、今はそれどころではないでござる」

「はい……。そして何よりも厄介なのは、ミティ様やアイリス様が戦いに熱中されていることです。このままでは……」

 蓮華とレインが状況を分析する。
 両者とも加護を得てからやや日が浅いこともあり、ミリオンズの中では総合的な戦闘能力がやや低い。
 そのため、『自身と対等な相手への渇望』は、そこまで大きくないのだ。

「…………」

 ユナがじっと考え込んでいる。
 そして、パンパンと手を叩いた。

「……?」

「ユナ……?」

 ミティやアイリスを始めとした仲間の視線がユナに集まる。
 ひと呼吸置いて、彼女は口を開くのだった。

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