【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1333話 鏡像カウンターアバターズ【ミティたちside】

 タカシが海神ポセイドンの依代を撃破し、ミティたちがヤマト連邦の近海に船を進めている頃――

「ほう……。どうやら、『また』侵入者が来たようじゃな……」

 ヤマト連邦のとある屋敷で、1人の少女が言う。
 彼女は10歳に満たないほどの外見を持ちながらも、どこか威厳を感じさせる佇まいをしていた。
 まるで狐のような耳を持っており、優雅な赤色の着物を着ている。

「我がヤマト連邦に侵入するとは、愚かな異国人よ……」

 少女は嘲笑する。
 その視線の先には……広大な水平線があった。
 特殊な結界魔法が張られている。
 あまりにも広大な範囲ゆえに、侵入者を直接的に阻む効力は持たない。
 だが、侵入者の存在を術者に知らせる効力は持っている。

「はっ! いかが致しましょう? ひみこ様」

 部下らしき男が答える。
 ひみこと呼ばれた少女は、不敵に笑いながら言った。

「放っておけ。この方面からの上陸じゃと、『霧の隠れ里』にぶち当たるはずじゃ」

「『霧の隠れ里』と言いますと……例の……」

「ああ。生半可な奴らじゃ『鏡像カウンターアバターズ』を打倒することはできないじゃろうて。奴らの前では……単純な強さなど、何の意味も持たぬからの」

 ひみこが答える。
 彼女は美しい赤髪をなびかせながら、余裕の表情を浮かべていたのだった。


*****


「なんです? こいつら」

「上陸して早々……変な人たちに囲まれちゃったね」

 ミティとモニカがつぶやく。
 彼女の言う通り、彼女たちは上陸して間もなく妙な集団に取り囲まれていた。
 それも、ただ奇妙なだけではない。
 大きな黒いフードで顔を覆っておりその表情は見えないものの、ただならぬ気配を漂わせていた。

『ふんっ!』

 集団のうち1人が、ミティに向かって巨大なハンマーを振り下ろす。
 見た感じ、ミティと同じく背は高くないのだが……。
 見かけによらない腕力を持っているらしい。

「なっ!?」

 ミティはハンマーを振り回し、攻撃を弾いた。
 普段の彼女なら、そのまま反撃するところだが――

「くっ……!」

 ミティは一旦下がって距離を取った。
 油断できない相手と判断したのだろう。
 実際、この攻防だけでも周囲に大きな衝撃波のようなものが発生している。
 ミティはハンマーを構えながら、ユナやモニカたちに言う。

「どうやらこいつら、ただ者じゃないようです。油断できません」

「そのようね。人数も私たちと同じだし……。上陸して早々、ひと仕事になりそうだわ」

「なるべく静かに倒したいけど、そうも言ってられないかもねぇ。――って、ええっ!?」

「うそっ……!?」

 モニカやマリアが驚きの声をあげる。
 ハンマーでの攻防で発生した衝撃波により、集団の顔を覆っているフードがめくれたからだ。
 その下から現れた顔は――

『侵入者を排除します! 全てはタカシ様のために!!』

『長旅で疲れてるでしょ? 降伏するなら、美味しい料理を作ってあげるよ』

『ふふん。私の火魔法で、骨の髄まで焼き尽くしてあげるわ!』

『わぁい! マリアといっしょに遊ぼうっ!!」

 ミティやモニカたちと同じ顔だった。
 いや、顔だけではない。
 声や体格、そしてほとばしる魔力までもが彼女たちと全く同じ。
 まるで、鏡写しのように……。

「特殊な魔法か何かですか……? 偽物での歓待とは、ずいぶんなご挨拶ですね」

「上等だよ。私の雷魔法で受けて立つ」

「ふふん。私の偽物は……私が倒すわ」

 ミティ、モニカ、ユナが不敵に笑う。
 他の者たちも、戦闘態勢に入っている。
 こうして、彼女たちは謎の集団との交戦を開始するのだった。

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