【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1332話 上陸するべきか否か【ミティたちside】

 時は少しだけ遡る。
 タカシが人魚の里を出発した頃――

「おや……? 皆さん、ようやく島が見えてきましたよ」

「あれがヤマト連邦ってことでいいのかな?」

 サリエとアイリスが話す。
 彼女たちの視線の先には、大きな陸地があった。
 大陸なのか島なのかは不透明だが、方向からするとヤマト連邦の可能性が高い。

「そうでござるな。間違いないでござろう」

 蓮華が答える。
 ヤマト連邦出身の彼女がそう言うなら、間違いないはずだ。

「ど、どうしましょうか? 共鳴水晶によると、タカシさんはまだ時間がかかるようですが……」

「到着を待ってもいいですけれど……。海上での待機も、安全とは言い難いですわね……」

 ニムとリーゼロッテが言葉を交わす。
 ヤマト連邦は鎖国国家だ。
 蓮華や雪月花以外によっては未知の国であり、リーダーのタカシ不在のまま上陸するのはリスクがある。
 しかし一方で、海上で待機するのも安全とは限らない。
 海の魔物が襲撃してくる他、食料や水の問題もある。

「もしよろしければ……私が先行して様子を見てきましょうか?」

 そう提案するレイン。
 彼女は空間魔法の使い手だ。
 上級の『ワープ』を駆使すれば、1人で上陸して様子を見てくることも可能だろう。
 しかし――

「やめておいた方がいいと思うよ~」

「ピピッ! 単独での偵察はリスクが伴うと警告します」

 花が首を振る。
 ティーナも同意した。

「ヤマト連邦は鎖国国家だからね。私たちも詳しいわけではないけど、外からの侵入者には厳しいわよ」

「……うん。出国は『少し面倒』くらいだけど、入国は『とても厳しい』……。特殊な結界魔法の他、海岸沿いに侍や忍者が配置されているから……」

 月と雪も、レインに対して警告した。
 彼女たちもヤマト連邦の出身だ。
 全ての事情に精通しているわけではないが、いくらかの情報は持っている。

「なら……みんなで行くしかないね!」

「なんだか妙な気配も感じるし……その方が安全だと思うよー」

 ドラちゃんとゆーちゃんが言った。
 彼女たちはそれぞれ、ファイアードラゴンと幽霊である。
 2人とも特殊な存在であるためか、勘が鋭い。

「皆さんがそう言われるのであれば……わかりました」

 レインがうなずいた。
 そして彼女は、他のメンバーたちを見渡す。

「どうでしょう? 他の皆さんは……」

「そうですね。タカシ様を置いていくのは気が引けますが……前もって面倒事の芽を摘んでおくのも大事ですし……」

「たぶん大丈夫でしょ。タカシなんだし」

「ふふん。今のうちに内情を探っておきましょう」

「マリア、たくさん観光したいなっ!」

 ミティ、モニカ、ユナ、マリアがそう言う。
 他の者たちも異論はないようだ。

「行きますよ! ヤマト連邦へ!!」

 ミリオンズサブリーダーのミティが宣言する。
 こうして彼女たちは、タカシの到着を待つことなく……ヤマト連邦に上陸するため船を進ませていくのだった。

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