【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1331話 人魚族との別れ
「おお……。遠くに島が見えるな……」
俺はそうつぶやく。
宴会の翌々日に人魚の里を出発し、今はその数日後だ。
空は快晴で波も穏やかである。
「何事もなくここまで来れて良かったよ。これも、エリオット殿下のおかげだな」
俺はそう言って、エリオットを見る。
彼は首を左右に振った。
「何事もなく……ということはないだろう? ナイトメア・ナイト殿が遭遇する魔物のことごとくを一蹴してくれたからこそ、ここまでスムーズに来ることができたのだ」
「それもそうか……。だが、俺1人の力じゃないさ。エリオット殿下はもちろん、兵士たちの力もあった」
俺をここまで連れて来るため、エリオットを始めとした人魚族の男たちが頑張ってくれた。
具体的には、縄や器具などを活用して数人がかりで俺を引っ張りながら泳いでくれたのだ。
寄ってきた有象無象の魔物を倒したのは確かに俺だが……。
ヤマト連邦に向けて迅速かつ正確に進めたのは、彼らのおかげと言っていい。
彼らの協力がなければ、ここまで来ることはできなかっただろう。
俺1人だと魔力や体力を大量に消耗していたはずだ。
「謙虚だな。ナイトメア・ナイト殿は……」
「いや、俺は本当にそう思っているぞ」
「ふふ……。貴殿のような人物に、我が妹は惹かれたのだろうな」
エリオットは微笑む。
宴会の翌日、俺はメルティーネとの婚約をネプトリウス陛下に申し出た。
彼からの内定は得ることに成功した。
正式な発表は友好関係を結んだあとになるが、兄であるエリオットは婚約の事実を知っている。
「さて……。送ってもらうのはここまででいい。ここからは自分で行こうと思う」
「大丈夫か? もっと近くまで送ることも可能だが……」
「これぐらいの距離なら問題ないさ。それに、人魚族をヤマト連邦の件に巻き込むわけにはいかないしな」
俺には重力魔法や水中行動系スキルがある。
数日単位で海上移動を続けるのはさすがに難しいが、数時間ぐらいなら問題ない。
島の周りに妙な気配――おそらくは特殊な結界魔法の気配も感じるし、人魚族にこれ以上付き合ってもらうべきではないだろう。
「そうか……。では、ここでお別れだな」
「ああ」
俺はうなずく。
そして、別れの言葉を告げた。
「それではエリオット殿下、また会おう」
「ああ。貴殿の旅路に海神の加護があらんことを……」
エリオットが祈ってくれる。
そのとき、彼の隣に立っていた兵士が素早く動いた。
「あのっ!」
「むっ!?」
不意の動きに、俺は反応が遅れた。
すぐそばまでの接近を許してしまった。
これが暗殺なら、俺は傷を負っていたことだろう。
だが、その兵士の正体は――
「メルティーネ!? どうしてここに……」
「ギリギリまでいっしょにいたかったんですの」
メルティーネが微笑む。
エリオットに付いてきていた兵士たちの中に紛れ込んでいたらしい。
出発してからこれまでの数日間、気づかなかった。
おそらく、エリオットは知っていたのだろうが……。
俺は彼女の頭を撫でた。
「そうか……。すまなかったな、気付いてやれなくて」
「いいのですのよ。これは私のワガママですから。私……ずっとあなたを待っていますの」
「必ず戻るさ。待っていてくれ、メルティーネ……」
俺はメルティーネを抱き寄せた。
彼女は嬉しそうに微笑む。
そんな俺たちの様子を見ていたエリオットが、口を開いた。
「メルティーネ……。ナイトメア・ナイト殿もこう言ってくれていることだし、そろそろ……」
「……仕方ありませんの」
メルティーネは名残惜しそうに俺から離れる。
そして、俺の目を見た。
「どうか……ご無事で……」
「ああ……行ってくる」
俺はうなずく。
こうして、俺たちはメルティーネたちと別れたのだった。
俺はそうつぶやく。
宴会の翌々日に人魚の里を出発し、今はその数日後だ。
空は快晴で波も穏やかである。
「何事もなくここまで来れて良かったよ。これも、エリオット殿下のおかげだな」
俺はそう言って、エリオットを見る。
彼は首を左右に振った。
「何事もなく……ということはないだろう? ナイトメア・ナイト殿が遭遇する魔物のことごとくを一蹴してくれたからこそ、ここまでスムーズに来ることができたのだ」
「それもそうか……。だが、俺1人の力じゃないさ。エリオット殿下はもちろん、兵士たちの力もあった」
俺をここまで連れて来るため、エリオットを始めとした人魚族の男たちが頑張ってくれた。
具体的には、縄や器具などを活用して数人がかりで俺を引っ張りながら泳いでくれたのだ。
寄ってきた有象無象の魔物を倒したのは確かに俺だが……。
ヤマト連邦に向けて迅速かつ正確に進めたのは、彼らのおかげと言っていい。
彼らの協力がなければ、ここまで来ることはできなかっただろう。
俺1人だと魔力や体力を大量に消耗していたはずだ。
「謙虚だな。ナイトメア・ナイト殿は……」
「いや、俺は本当にそう思っているぞ」
「ふふ……。貴殿のような人物に、我が妹は惹かれたのだろうな」
エリオットは微笑む。
宴会の翌日、俺はメルティーネとの婚約をネプトリウス陛下に申し出た。
彼からの内定は得ることに成功した。
正式な発表は友好関係を結んだあとになるが、兄であるエリオットは婚約の事実を知っている。
「さて……。送ってもらうのはここまででいい。ここからは自分で行こうと思う」
「大丈夫か? もっと近くまで送ることも可能だが……」
「これぐらいの距離なら問題ないさ。それに、人魚族をヤマト連邦の件に巻き込むわけにはいかないしな」
俺には重力魔法や水中行動系スキルがある。
数日単位で海上移動を続けるのはさすがに難しいが、数時間ぐらいなら問題ない。
島の周りに妙な気配――おそらくは特殊な結界魔法の気配も感じるし、人魚族にこれ以上付き合ってもらうべきではないだろう。
「そうか……。では、ここでお別れだな」
「ああ」
俺はうなずく。
そして、別れの言葉を告げた。
「それではエリオット殿下、また会おう」
「ああ。貴殿の旅路に海神の加護があらんことを……」
エリオットが祈ってくれる。
そのとき、彼の隣に立っていた兵士が素早く動いた。
「あのっ!」
「むっ!?」
不意の動きに、俺は反応が遅れた。
すぐそばまでの接近を許してしまった。
これが暗殺なら、俺は傷を負っていたことだろう。
だが、その兵士の正体は――
「メルティーネ!? どうしてここに……」
「ギリギリまでいっしょにいたかったんですの」
メルティーネが微笑む。
エリオットに付いてきていた兵士たちの中に紛れ込んでいたらしい。
出発してからこれまでの数日間、気づかなかった。
おそらく、エリオットは知っていたのだろうが……。
俺は彼女の頭を撫でた。
「そうか……。すまなかったな、気付いてやれなくて」
「いいのですのよ。これは私のワガママですから。私……ずっとあなたを待っていますの」
「必ず戻るさ。待っていてくれ、メルティーネ……」
俺はメルティーネを抱き寄せた。
彼女は嬉しそうに微笑む。
そんな俺たちの様子を見ていたエリオットが、口を開いた。
「メルティーネ……。ナイトメア・ナイト殿もこう言ってくれていることだし、そろそろ……」
「……仕方ありませんの」
メルティーネは名残惜しそうに俺から離れる。
そして、俺の目を見た。
「どうか……ご無事で……」
「ああ……行ってくる」
俺はうなずく。
こうして、俺たちはメルティーネたちと別れたのだった。
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