【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1328話 本当の名前

 俺は『ナイトメア・ナイト』という偽名の件や地上での俺の立ち位置について、メルティーネに説明している。

「先ほども言ったが、実は俺は貴族なんだ。そんな俺がヤマト連邦に向かっている。そして、サザリアナ王国とヤマト連邦は国交を結んでいない……。この意味が分かるか?」

「ええと、つまり……。貴族としてのナイ様は、何かしらの重要で極秘の任務を遂行中ということですの?」

「そういうことだ」

 俺はうなずく。
 メルティーネは納得したようだった。

「分かりましたですの……。ですが、それを私などに教えても?」

「メルティーネには知っておいてほしいんだ。俺は、君のことを愛しているからな」

 俺が言うと、メルティーネは頬を赤くしてうつむく。
 照れているようだ。

「あっ……。あの……わ、私もですの」

 メルティーネは消え入りそうな声で言う。
 とても小さな声だ。
 しかしもちろん、俺は聞き逃さない。
 彼女に対する愛おしさが込み上げてくる。

 メルティーネは、俺の胸に飛び込んで来た。
 俺は彼女を受け止める。
 彼女は小さく震えていた。

「ずっと……不安でしたの」

 俺を見上げるようにして、メルティーネは言う。

「初めて見たとき、ナイ様のことを運命の人だと思いましたの。でも、私が思ったよりも遥かにナイ様はすごい人で……。きっと、ナイ様は私のことなんてすぐに忘れてしまうだろうと……」

「メルティーネ……」

 俺はつぶやく。
 メルティーネは、今までずっと不安に思いながら過ごしてきたのだ。

「そんなことはないさ」

 俺は言う。
 そして、優しく微笑んだ。

「俺にとっても、メルティーネは運命の人だ」

「ナイ様……」

 メルティーネは瞳を潤ませる。
 俺は彼女にキスをした。
 そして、彼女をベッドに寝かせる。

「俺の本当の名を教えておこう。俺の名は『ナイトメア・ナイト』ではない。真の名は……」

「はいですの」

 メルティーネはうなずく。
 彼女の瞳には期待の色が浮かんでいた。
 そんなメルティーネを見下ろしながら、俺は告げる。

「俺の真の名は……『タカシ=ハイブリッジ』だ」

「タカシ様……」

 メルティーネはつぶやく。
 その瞳には、歓喜の色があった。

「嬉しいですの……。本当の名前を教えてくれて」

「ああ」

 俺はうなずく。
 転移前の名前としては、『高橋高志』の方が適切だが……。
 まぁそれはさすがにいいだろう。
 ミティやアイリスにも伝えていないし、そもそもこの世界で元の名を人相手に名乗ったことはない。
 海神ポセイドンのような特殊な存在を相手する場合を除けば、『タカシ=ハイブリッジ』が本名と言って問題はないはずだ。

「愛しているぞ……メルティーネ」

 俺はメルティーネの耳元でささやく。
 そして、彼女の衣服に手をかけた。
 彼女は抵抗しない。
 ――こうして俺たちは結ばれたのだった。

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