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僕の心臓が動いていることと、心があついこと

月影そら

髪の毛を切って、つい眼鏡も忘れたら僕だと気が付かれなかった……

翌日、僕は最近の日課になりつつあるジョギングと筋トレをした。だけど、走る時はジョギングとは言えないようなもうダッシュで走って、すぐに息が切れた。そして、少し休んでまたもうダッシュを繰り返し、いつもとだいたい同じ距離を走った。
筋トレも激しくしたい気分だった。僕は、逆立ちをしてそのまま片手で腕立て伏せをしたり、ベランダの外側から策に足を引っ掻けて、逆さになって腹筋をしたりした。
 鍛錬の場所に切り替わると、またしても小鬼がそこにはいた。今度は五人に増えていた。
「頼む、攻撃してこないでくれ。僕は人間に近く見える君たちを殺したくない」
 言葉が通じるのか通じないのか、小鬼たちは首を傾けたが、すぐに僕を馬鹿にしたように笑いあった。そして、僕に攻撃をしかけてくる。
 僕はまた再び防衛ばかりしてしまう。いっそうのこと、疲れさせて縛り上げることができたらと僕は思った。そして、なんとか元に戻る方法を見つけるのだ。
 しかし、小鬼は一向に疲れる気配を見せてはくれない。なんという体力なのだろう。もう、どのくらいの時間、攻撃をかわしているのか分からなくなってきた。
 一瞬でも気を抜いたら最後、僕は刺される。僕は、必死で小鬼達の攻撃を避けていく。だけど、かなりの時間そうしてやり合っていたせいか、僕の方の疲れが先に見られてきた。そうして、昨日に引き続き、僕はまたしても左肩を切られた。そして、すぐにわき腹の辺りを刺される。
[このままじゃ、殺られる]
 僕は目を閉じた。自分が小鬼を切るところを見たくなかった。そして、意識を集中して、昨日と同じ様に攻撃を開始した。
[僕は結局偽善者だ…自分が死ねばいいじゃないか……]
 目を閉じなくても、背後の相手の動きとか、感じることができるようになっていた。しかし、目を閉じると集中しやすいのか、余計に動きがよく分かる。そうして、僕は小鬼たち五人を全部消滅させた。
 僕は消滅させた後も、目を閉じたままでいた。
「戻してくれ」
 目を閉じたままの僕がそう言っても、僕は自分の家に戻ることができた。僕は自分の家に戻って初めて目を開けた。
 家に戻ってからは、僕はノロノロと学校へ行く支度を始めた。今日は家に閉じこもっていたい気分だったけど、学校を休んだりしたら、下手したらお節介な後藤が家まで来そうな気がした。
僕は学校を休む理由を、後藤に嘘つかなくてはいけなくなる。なんとなく、後藤に嘘をつきたくない気がしたので、僕は学校へと向かった。
 今日は、いつもより少し遅い時間に学校に到着した。僕が教室に入ると、僕を見た何人かが不思議そうな顔をした。僕は不思議に思いながら、席についた。すると、水瀬さくらと、その中の好い友人が僕の席にやってきた。
「あなた、転校生?」
 水瀬の友人、佐々木奈子が僕に言ってくる。続いて水瀬も口を開いた。
「そこは神崎君の席だから、座らないでいてあげて。彼が困ってしまうわ。まず、職員室に行くのがいいと思うのだけど?分からなかったら案内してあげるわ」
 僕は呆気に取られた。僕を神崎翔平として認識してもらってない。そこへでかい挨拶と共に、後藤が入ってきた。
「翔、おはよう」
 更に名指しで僕に挨拶をしてくる。
「え?」
 水瀬と佐々木が驚いた顔をする。後藤はニヤリと笑った。
「ワハハ。おまえら、翔のこと分からなかったんだろ?」
「え?これが神崎なの?」
 佐々木はマジマジと僕の顔を見てくる。そう言えば、僕は昨日も今日も眼鏡すらかけていない。最近忘れがちだ。
「紛れもない、神崎翔平だ!滅茶苦茶男前だろ」
「確かに…」
 僕はこんな状況にあまりに不慣れだ。だって、クラス中の注目が僕に集まっているようだった。
「髪の毛を切ったんだね。凄く良くなったよ。明るい雰囲気になった」
 水瀬がにこやな表情で僕に言ってくる。
「翔に惚れたか、水瀬!」
 水瀬はそれに対して少し声を立てて笑った。
「転校生と間違えてごめんね。あまりに違って見えたから…」
「ああ、そう言えばそうだ。神崎ごめん。メガネもかけてないから、本当に分からなかった」
「いや、別に大丈夫」
 僕はなんとなく自分の頭を触ってみる。そこまで変化があったわけだ。でも、どうやら悪い変化ではないらしいから、少しホッとした。
 更に、授業と授業の合間で、皆が僕をチラチラ見てきていた。僕の気のせいではない。そして、ヒソヒソ話している。だけど、僕には何を話しているのかよく聞こえる。もしかしたら、聴力も上がっているのかもしれない?
好奇の目で見られてはいるものの、嫌なことを言われている様子はなかったから、まあ、いいかと僕は思った。

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