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僕の心臓が動いていることと、心があついこと

月影そら

怪物が増える

「後藤君、この後はどうするの?」
「もうちょっと休ませてもらってもいいか?そうしたら後片付けも手伝うよ」
「それは構わないけど…」
 どうするかと僕は考えを巡らす。だが、周りの目から見て、鍛錬の時、僕がどんな状況になるのか僕には知る由もない。僕が消えたようになるのか、そうでないかすらも。だけど、七時のときは一緒にいない方がいいような気がした。
「それはそうと、なんか、君づけやめようぜ?下の名前呼び捨てにしてくれよ」
「え!それはちょっと…」
「なんで?もう俺ら友達だろ?」
 僕が驚いた顔をしていると、後藤が続けた。
「え?違うのか?俺はもう友達って思っていたけどな。いやーそう思っていたのが、俺だけなんてショックだー」
「さ、悟…って呼べばいいの?」
「なんだよー、呼べんじゃん。神崎は下の名前なんだっけ?」
「翔平」
「じゃあ、翔でいいか」
 後藤はまたワハハと笑った。
不思議な気分になったけど、もう時間がない。
「ごめん、僕ちょっと部屋で着替えてきてもいい?」
「ああ、いいぞ。テレビでも観てていいか?」
「うん。もちろん」
 僕はテレビのリモコンでテレビを点けてから、そのままリモコンを後藤に渡した。そして急いで玄関へ行き、今朝履いた靴を持って部屋に行った。適当な紙の上に靴を置くと、急いで制服を脱いでから、もっと動きやすい服に着替えた。そして靴を履いた瞬間、僕は少し見慣れてきた草原に、再びいた。

 さっき凄い量を食べたばかりだから、腹が膨れていた。少し動きづらいかもと思ったけど、そんなこと言っていられない。
辺りには、同じ怪物が今度は五匹もいた。
 僕は、すぐに剣を出して、ギュッと握った。今回は、風が割と強く吹きわたっていた。
[さあ、どいつから来る…]
 僕は、辺りに神経を張り巡らせた。怪物はグルリと僕を囲んで、まず、僕の真後ろの奴から僕に襲い掛かってきた。だけど、僕はその攻撃を避けた。まだ三回目だけど、だいぶ慣れてきたような気がしていた。
 怪物は僕に避けられると、悔しそうに唸ってきた。僕は息を吸い込んでから、怪物に切りかかっていった。一匹目は、肩の辺りを切りつけた。二匹目は、腰の辺りを切りつけた。三匹目はその胴体を貫いて消滅させた。
[できるなら、一気に消滅させていった方がいい]
 怪物の緑の体液も、できるだけ見たくなかった。だが、僕に切りつけられた二匹は、緑色の体液を流している。
でも、僕は構わずその二匹を目掛けて走りこんだ。そのうちの一匹を刺そうとした際に、後ろから襲われる気配を感じた。まだ無傷の怪物が、僕に襲い掛かってきていた。
僕はその攻撃を避けながら、その無傷の怪物を切りつけた。それは、丁度首の辺りを切りつける形になり、怪物は叫び声もあげずに消え去った。
その怪物が消え去る間際に、首がもげそうな光景を僕の目は捉えた。自分でやっておきながら、僕は一瞬氷ついてしまった。すると、脚に鋭い痛みが走った。
「ギャアー」
 僕は堪らずに、叫び声を上げた。僕の脚にはまだ無傷の、もう一匹の怪物が噛みついていた。僕は脚に噛みつく怪物を、上から剣で貫いた。怪物は僕の脚に噛みついたまま消滅した。
 僕の脚は、ドクドクと激しく脈打っていた。立っているのも痛くて辛かった。こんな脚じゃ、踏み込んでいけないと思った。
それを見た、僕に切りつけられた怪物二匹が、同時に僕に襲い掛かってきた。怪我が一瞬で治ればいいけど、そこまでサービスはしてくれない。はっきりどれくらいで治るかも、まだ分からない。
 僕は歯をグッと食いしばりながら、その二匹の攻撃を足を使って避けた。右脚に激痛が走った。
僕は、歯を食いしばり続けながら踏み出して、その二匹を切りつけた。だけど、致命傷にはならなかったようで、二匹とも体液を流し、息を切らせながらまだそこにいた。
僕は、もう一度歯を食いしばり直して、踏み込んでいった。だけど、もう右脚に痛みを感じなかった。おかげで、強く踏み込めた。僕は一匹を剣で貫き、もう一匹は深く切りつけて、消滅させた。今回の怪物はこれで全部だった。
僕は噛まれたはずの右脚を見た。ズボンは破けているものの、傷口は見当たらない。やはり治っていたのだ。僕は大きく息を吐きだしてから、剣を収めた。しかし、まだ僕の部屋に戻らなかった。
「もしかして、まだ怪物が出てくるのか?」
 僕は再び剣を握る。辺りに意識を集中してみるけど、それらしい気配はしない。
「どうせなら、さっさと出てこいよ」
 僕は今朝までと違う、この状況に不安を覚えて、そう叫んだ。すると、三匹ほどさっきと同じ怪物が、離れたところからやってきた。僕を襲う気満々と行った様子だった。
僕も負けずに走り寄って、剣で斜め上から切りつけた。
一匹目の怪物の腕がもげた。悲痛な呻き声と緑色の体液が辺りに飛び散ったが、まだ消滅しない。僕はそのままクルリと向きを変えながら、襲い掛かってくる残り二匹の怪物たちを、一振りで切りつけた。一匹はその胸の辺りを、もう一匹は腹の辺りを。腹の辺りを切られた霊長類の怪物は、切りつけ方が深かったみたいでそのまま消え去った。
 僕はそのまま休む間もなく、胸を切りつけた怪物の身体を剣で貫いた。そして振り向きざまに最後の一匹を深く切りつけ、新たに出現してきた怪物三匹を消し去った。
 一息も入れずに三匹を消したので、僕の息も上がった。少し息を整えたが、まだ元の部屋に戻らない。
「まだ出てくるっていうのか?」
[いったい、いつ終わる?だけど…]
「よし!それなら今度は五匹出てこい」
 僕がそう叫ぶと、霊長類の怪物が五匹現れてきた。今度は同じ方向からではなく、あっちこっちから現れてきた。そして、僕を囲むように近づいてきてから、一斉に襲い掛かってきた。
「負けるもんか!」
 僕はそう叫びながら、怪物の攻撃をかわしつつ、怪物を切りつけた。
 三匹目を剣で貫いたとほぼ同時に、背後から襲ってきた怪物の胴体に、僕は蹴りを入れて吹っ飛ばした。考えて動いているというより、殆ど反射神経で動いている感じだった。
僕の蹴りで怪物が吹っ飛んだのを見て、それも有効なのだと気が付いた。
 背中には、汗をかいていた。額からも汗が滴ってきた。僕はその汗をグイっと右手で拭った。
「かかってこい」
 僕は、残りの二匹も難なく消滅させた。
「いったいなんだ…初めより、随分怪物の動きが遅く見える。怪物の動きも読める。…よし、十匹出てこい」
 すると一メートルくらい離れた場所に、十匹の霊長類の怪物が一気に現れた。今までで、一番多い数だった。だけど、僕は自分のことを試したくなっていた。
 怪物は次々に襲い掛かってくる。三匹は難なく消滅させる。四匹目を相手している間に、他の二匹に同時に背中と左太ももの辺りを引っ掻かれた。鋭い爪を持っているから、傷は深くついた。
僕はその瞬間、叫び声を上げた。出血と共にドクドクと痛みを感じてくる。しかし、動きを止める訳にはいかなかった。

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