今日も殺し屋営業中

カスマットの人

君の命を

 「本日、正午、○○株式会社取締役会長が、自宅で遺体として発見されました、警視庁の発表で解剖結果から外部に複数の刃物で刺されたような傷跡があることなどから殺人と断定し、捜査を進めているとのことです…」
「今月だけでもう3人目か…」ニュースを見ていると最近の話題は殺人犯についての特集で持ち越しだ、ここ四ヶ月前から続いている連続殺人事件、これだけならそこまで話題にはならないのだが今回は一味違う、なんと犯人は手順が似ているというところや複数の防犯カメラに同じ体格の人が映ってるなど、同一人物の可能性が高いというところや、今までの被害者にはなんの関連性もないことなどから、犯人の考察をするのが世間的に流行っているらしい。まぁ、全く興味無いんだけど…

 オレの名前は、高橋 一声(たかはし いっせい)少し癖のある名前だが、僕はこの名前を嫌だと思ったことはない、友達からの呼び名は"高橋"の"高"と"一声"の"一"で「たかいち」と呼ばれている、今は大学一年生で今年で18歳になる、趣味はゲームで勉強はそれなりに出来ます。多分…

 下校中…
「なあなあ、最近の殺人犯、たかいちは、誰だと思う?」
こいつは昔からの、幼馴染みたいなもんで、長坂 佑っていう、わがままを言うなら女の子だったらいい感じに青春できたと思う。
「うーん…誰だろう?やっぱり、恨みがあるやつ一人一人殺っているとしたら、今まで殺された人達と関係がある人ってなるのかな?」
「俺は、あれだ、殺し屋だと思う」
「殺し屋?殺し屋なんて、映画とかだけだって」
「俺は、いると思うぜ」
「なんだよ、その自信は……ハッ、もしかしてお前が殺し屋だったのか!!」
「ハッハッハッ、よく見破ったな、たかいちよ、ってバカか。」
一人でノリツッコミをした佑はこんな感じでクラスではお笑い担当だ
「じゃあここで、」
「おう、また明日」
「ばいば〜い」

 オレは、日本の首都である東京の新宿でアパートを借りている。駅からそんなに近くはないものの月の家賃がすごく、近いうちにもっと安いアパートに引越そうと思っている。
「ただいまー」てっ誰もいないのに何やってんだか、ああ今日も疲れた、別に部活とかをやっているわけではない、でも中学生の頃は部活が無くなったらどれだけ楽なのだろうかと帰宅部を自慢げに思ったが、いざ部活に入らず、帰宅してみるとそれはそれで疲れが出る、まあ1つ言うなら午後のホームルームで部活嫌だな〜と思わなくて済むことだ、これが利点、とりあえず疲れたし8時くらいまで寝よ…
====
「こちらα1(アルファワン)目的地に到着」
「了解、作戦実行可能次第、実行を許可する」
「了解」
====
キャーーーーーーーーー

はっ!!な、なんだ?
上の階からだよなぁ…聞いた感じ女性の悲鳴だな
窓を開けて上を見てみると、そこには何もなかった、それにしても8月ってだけあって、もう7時頃なのにまだ夕日が見えていた、まあ、さっきの悲鳴は食器でも割ったのだろう、窓を閉めようとしたその時、夕日によって濃い紅に染まっているショートヘアの女性、瞳も紅に輝いていて一瞬目があった気がした、あまりに秒の出来事すぎてよく分からなかった、でも一つ言えるのは凄く可愛かったって事だ、後々考えたらあの子はきっと落ちてきたんじゃなくて正確には自ら落ちたって感じだった、とっさに窓から下を見下ろしたときには、ただコンクリートの地面が見えていた、それにしてもここは4階だぞ、いくらなんでも…
いや、まさか…気のせいだ気のせい、もう一回寝よ…
あと一時間は寝れるな…      

ウーー
パトカーやら救急車のサイレンでオレは目覚めた、もうなんだよ…まともに寝かせてもくれないのかよと、窓から下を見るとアパートの駐車場には、沢山のパトカーが止まっていた、「な、なにごとだ?!」呆気にとられていたら、几の上のスマホが鳴った、どうやら佑からの電話のようだ、
「ど、どうした佑」
「どうした、ってそりゃ俺が聞きたいくらいだよ、お前のアパートの前、警察やら救急車やらが来ているし、」
「アパートの前に、いるの?」
「テレビつけてみ、お前ん家、映ってるから」
何いってんだ、んな訳ねぇだろうって…えっ!?
「マジやん…」
「ほらな」
ニュースの見出しには、某人気女優のBさんの妹、意識不明の重体と大きく書かれていた。ニュースには、意識不明の重体としか書かれてなかったが、これだけ警察が来ているってことは、事故とは思えない、
「おれ、どうすればいいの?!」
「多分、そこまで気にしなくていいけど、取り調べとかあると思うから、じっとしてろ」
「うん、分かった」
「じゃあ俺忙しいから」
「えっ、ちょっ、おーい」
切れた…
しかし困ったもんだな、夕食無いんだけど…買いには…行けないよな…腹減った
====
「な、なに!!目撃されたかも知れない!?」
「はい、大変申し訳ありません。」
黒いスーツを着た男性は、いらだちを隠せず、怒号を上げている
「おい、どうするんだ!人生が掛かってるんだぞ!」
と、そこに黒いスーツを着た大柄の男性が割り込んできた、
「まあ、そんなに怒らんでやってくれ、」
「しかし、このままでは…」
「今更後悔しても遅いだろ、それにこの仕事の基本は、判断力だ、こんな所でと揉めていてもしょうがない」
「その通りでございます、会長、しかしどうすれば」
会長は、ゆったりと黒のソファに腰を掛け冷静な口調で続けた、
「なに、決まっているだろう?」
「了解しました」
「期待しているぞα1」
「はい、お父様」
====
結局、その日は一時間位、かったるい取り調べを受け、あまりにも腹が減っていたため家の中で食料探索をしているとカップラーメンがあったので食べた、多分人生で一番美味かったカップラーメンだ、食い終わった後歯を磨きベットに入った、そういえば結局、殺人事件だったぽいな、上から落ちていった赤の髪の人も気になるな、あの赤髪…キレイだったな…ちなみにこの事は話しがややこしくなるから警察には言ってない。まさか、あれが例の殺し屋何じゃないか?いやいや、まさか…な、この事は…忘れよう、きっとそれがいい、
てっ、もう12時か…あぁ寝みぃ寝るか。ベットに横になると、さっきの外からの騒がしさはなず、驚くほど静かだった、それでもカーテンの隙間からは、外のビルの光やらが、もれていた。

キィィ、突如ベランダの扉がゆっくりと開いた、俺は精神を研ぎ澄ませ、侵入者からの攻撃に備えた、たが一向にこちらに近づいてくる感じはしない、思い切ってベランダ側を少しずつ振り向き、重いまぶたをゆっくりと開けたその瞬間瞳に写ったのは、あの赤髪の少女だった見惚れている場合じゃないが俺はなぜだか見惚れていた。そもそもあんなに精神を研ぎ澄ましていたのに、どうやって足音なしでここまで近づいてきたのだろうか?
「あれ、意外と驚かないのか、それとも怖すぎて失神しちゃった?」
なんだ、この子は…一体何をする気なんだ…
「まあ、何でもいいやここであなたは死ぬんだし恨みは特にないんだけどね。」
死ぬって何の事?死ぬ、オレは死ぬのかそうか…死、ぬ?
「いや、死んでたまるか!!」
オレは、急に"死ぬ"とかいう物騒なワードを聞いて、心の声が、勢い余って大声で出てきた。
「お、喋った、でも残念だけど時間もないからここらで終わりにさせてもらうよ死後は天国だといいね、じゃっ、サ、ヨ、ナ、ラ」
オレは銃を向けられた途端に、一瞬思考が止まり頭の中がま白になった…いやここは冷静に状況を把握しなければ、彼女はハンドガン?いやサイレンサーだな、fpsゲームは、かなりやり込んでいるので銃の知識は無駄にある、まぁその知識もたった一発の銃弾によって無になるんだけどね…これから、死ぬのか?ホントに?死にたくない、その一心で必死で抵抗をしようとしたがありの恐怖に体は支配され息をするのも精一杯だった、無理だ…体は言うことを聞かない、イヤだ死にたくない死にたくない、怖い…さっきまで普通の毎日を送っていたんだぞ、死んでいいのか?だが、いくら心の中で抵抗したって体が動かなきゃ、なんの意味もない、あぁ……死ぬのか、俺はまぶたを閉じ、死を受け入れることにした…結局ろくな人生じゃ無かったな…ごめん…
……? まだか…もう終わったか?…天国にいるのかを確認してみるため、恐る恐る目を開けてみる、そこはいつもの自分の部屋だ、ふかふかなベットの上、さっきの少女は?…辺りを見回す、誰もいない…ただベランダは開いていた…さっきの事が夢じゃないという事を知って鳥肌が立ったがそれよりも今自分が生きていることにとてつもない喜びを覚えた、今までにこれ以上幸せなことがあったろうか、ところで彼女は見逃してくれったて…ことなのかな?
ふぅ、いや怖すぎだよ。顔を洗おうと水道に行こうと立ち上がってやっと気づいた、オレはまた、あの恐怖を思い出し背筋は凍りついた…地面には何故か赤髪のあの子がうつ伏せに倒れ込んでいる、なぜ倒れているかは分からない、勇気を振り絞り恐る恐る顔を覗いてみる、するとすごい苦しそうな顔をしている、はぁはぁと息を切らし胸元を必死に力強く両手で抑えている、今にも死んでしまいそうだ、どうするべきなのか…さっき殺されかけた相手を助けるべきなのだろうか?いや、誰かが言ってた、助けるのに理由はいらないと。それに、"あの時"みたいに誰も死なせないって決めたんだ…

「おい、大丈夫か!?」何度か声を掛けてみたが、相当苦しいらしく、全く呼びかけに反応してくれない、ど、どうすれば…そうだ、とりあえずこういう時は、救急車だ救急車!
「…まっ…て…」
!?「大丈夫そうか?いま救急車呼ぶから待ってろな。」
「ち…ちが…う…そ、うじゃ…くて…ウッ」
彼女は死ぬ寸前って感じで、多分喋るだけで相当苦しいんだと思う、
「別に、今回の件を警察に言おうとか他人に言うとかはしないから、安心して待ってて。」
「な…なんで…たす…くれ…の?…気でも…るっ…たの…かよ」
「何言ってんだよ、こんな苦しがってる美少女を助けない理由なんてないだろ、それに…って!?おい大丈夫か!?」
「ハァハァハァ……ッ」
本格的にまずそうだ。そうだ救急車、急がないと!…
====
「一命はとりとめました」
「ふぅー、良かった」
「高橋さんは、この方の親族ですか?」
「いいえ、そういう訳じゃないんですが…友達みたいなものです」
遠くで声が聞こえる、私はどうなったのだろか?ここは、病院か?
「それじゃあ、この方のお名前は分かりますか?」
「すいません、今日初めてあったもので…すみません」
「そうですが、ではこの方の身元を表せるものなんかは?」
「すみません…」
「あなたが謝る必要はありません、あなたが救急車を呼ばなかったら、恐らく助からなかったと思います、むしろ感謝ですよ」
「いえいえ…そういえば彼女の状態は…」
「恐らく心臓発作です、持病があるかは分かりませんが、病状や検査をする為にしばらく入院が必要です」
入院?それはまずいな…逃げ出さなければ…………動かない…どうするか…
ガラガラ
誰かが部屋に入ってきた、誰だろうか?私は目を半開きに開け見てみた、そこには一人の男性が座っていて本を読んでいる、多分こいつは今日、私が始末しようとしたやつだ、しかし恩人でもあるのか…何故私を救ったのだろうか?それに、美少女って…
====
…んっ…朝か…東からの眩しい日は清々しい朝を迎えてくれた、でも流石に座りながら寝るのはキツイな、今日は土曜日だし、もう少し彼女を見守ったら、家に帰るか…それにしても一体この子は何なのだろうか、やはり例の殺し屋なのだろうか?それにあの銃とても遊びとは思えない、謎は深まるばかりだ…それにしても寝顔も可愛いな。コッコッとトビラから音がなる、来客かな?「どうぞ〜」
ガラガラ、入ってきたのは50代くらいだろうか?まあまあ大柄のスーツ姿の男性が入ってきた、
「あ、君だね一声くん、娘を助けてくれたのは、ほんとに感謝しかないよ、どうお詫びをすればいいか、」
「あ、あなたは?この娘のお父様でしょうか?」
「ごめん、紹介遅れたね私はこの子の父、鬼柱 勇作って名前で、勇作って呼んでもらえればでいいから、」
「勇作さんですか」
「まぁ、正確には本当の親ではないんだけど、もうこの子が3歳くらいの頃から一緒に暮らしているから、もうほとんど本当の家族って感じたけどね、」
「へぇ、そうなんですね、」
そういえば、さっきオレのこと一声って呼んだよな、何故知ってるんだ、病院側にも氏しか告げてないのに…
「あの、何故僕の名前を?」
「高橋一声」
「えっ?」
「〇〇大学1年生、11月22日生まれ、友達からは"たかいち"と呼ばれている」
「えっ…えっえっ」
「住所〇〇-□、電話番号□□□-○○○○-△△△△」
「・・・」
これは、またしてもヤバいんじゃないか?
「大丈夫だ、もう君に害を与える気はサラサラ無い、何せ娘の命の恩人だ、それ位は脇まえている、で?何が欲しい?金か?名誉か?地位か?」
"もう"怖い言葉だ…
「いやいや、そんなもの受け取れませんよ」
「遠慮するものでは無いぞ一声くんよ、ほら何でも」
「これって、要するに口封じって事ですか?」
「それもあるが、普通に感謝の気持ちもある」
何が欲しい…か、急に言われると困る言葉ランキング第一位の、今日の晩御飯何がいい?くらい頭を悩ます質問だ、
「それじゃあ、」
「何でもいいぞ」
「娘さんを…」
「下さい!!」
ふざけて言ったわけじゃない結構ガチだ、
「えっ?」
「はい?」
た、頼むぜ
「一声くん?だ、大丈夫か?いや、まともか?娘を?ただの人殺しだぞ?」
「そこまで言います?」
「え、なぜ娘を?まだまともに喋ったこともないだろう?」
「一目惚れなんです、初めて見たあの時、思ったんです、いつかまた会いたいと…そのいつかがたまたま昨日だっだだけです!!お願いします」
「いや、いいけど、そういう事は娘と相談して後日来てくれないか家にwww」
「なんで笑っているんですか?」
「いや、すごい男だなって思ってね、殺意がん向けで殺しにかかってきた子を助け、そんでもって恋をするなんて、すごいな…一声くん…おっともう時間だ、君とまた会える日を楽しみにしてるよ、それと娘の事は任せたよ、私の名前を出せばちゃんと話を聞いてくれると思うから、じゃあ、また近いうちに。」

ここで、オレは正気に戻った、今なにげにすごいこと言ったな…でもさっきの発言はきっと一生誇りに思うだろうきっと…

つづく
朗読ありがとうございました。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品