何で死ぬのに生きてるのですか〜ネズミに転生した最強闇魔法使い、銀髪の少女のペットになる〜
9.到着、そして入学式へ
『間もなくラリエル魔術学園の上空になりますので、車内の内装と外部映像をリンクさせながら施設の紹介に移りたいと思います』
やっと着いたか……
おー 目を開けると先ほどまでの黒い車内ではなく、辺り一面に青空が広がっている中にソファだけで浮いていて飛んでるのではないかと錯覚するほどの映像が壁から映っていた。
島の周りを◎のように塀で囲まれている中、左側に校舎やグラウンドなどの学校と思われる施設があり、反対側には商業施設と思われる建物が所狭しと密集して立っていた。
「……綺麗」
「ですよね。私も明人様を連れて初めて来たときは驚きました」
『左側に3列に並んでいいる建物がそれぞれ下から中学、高校、大学と並んでいますのでお間違えの無いように。……そしてその上の方にあるドーム状の大きな建物がコロシアムになります。入学式はそちらになりますのでコロシアム周辺に設置されていますドローンポートに着陸いたします』
コロシアム周辺に2000ほどのDのマークの着陸ポイントがあり、そこに無数の黒いドローンが次々と着陸していた。
「あんなに集まると虫みたいで気持ち悪い」
結衣は虫が苦手なのか、しかめっ面をしながらコロシアム周辺に飛び回るドローンを見ていた。
「ですね……っあ、お嬢様、確かに気持ち悪いですが、今の時代には昆虫食が好きな人は大勢いるんですから学園ではそのようなことは言っちゃいけませんよ」
『そして入学式が終わりましたらそれぞれ島中央にある10列に並んでいる中から自分の住む寮の部屋に行って休んでもいいですし、島右側にあります商業地区に行くのもかまいません。ちなみにこの島の砂浜は防壁からろ過された海水が流れ込んでいるのもあって非常に綺麗になっております。なので今の時代では珍しく夏に海で泳ぐ学生もいらっしゃいます。……ではこれよりコロシアム周辺に着陸いたします』
私たちの乗るドローンは見る見るうちに高度が低くなり、比較的コロシアムに近いDポートに着陸した。
「じゃ、秋山行ってくるね!」
「ちょっとお嬢様、虫かご! 虫かご忘れてますよ! 逃げ出しちゃったときに猫でもいたらどうするんですか! 遊び半分で食いちぎられて横たわる姿なんて見たくないですよね!」
『秋山 紬様、この島ではペットに何か危害あると認識したら立体映像装置により高出力の障壁が出るので問題ありません。ペットが逃げ出したとしても今の時代ほとんどすべての場所の映像を記録しておりますので画面を起動し、マップのアプリをタップするだけで位置情報がすぐに出ますので問題にはなりません』
「……そうゆうことじゃないです。はい、お嬢様。ちゃんとネズミは虫かごの中に入れておきましょう」
秋山はそう言い、結衣の手から私を掴み虫かごの中に入れた。
「……秋山大丈夫?」
秋山の雰囲気がいつもと違うのを感じたのか結衣が心配そうに問いかける
「っえ、何がですか? 私は大丈夫ですよ。それよりお嬢様適当でいいのですよ。何か無くても遠慮せず旦那様でも明人様でも私でもいいですから連絡してくださいね」
中々無難な言葉を選んだ。ここで頑張ってくださいと言っても応援していますと言っても、結衣にプレッシャーをかけることになっていただろう。
そして無くても連絡してください。これがすごい、人間何もない時なんて連絡しないのだから。逆に言えば連絡があったということは何かあったということになる。その時のために気づいてないアピールをして連絡のハードルをここで下げているのだ。このメイド……すごい。
「じゃ、私はもう帰りますのでお嬢様気を付けて、行ってらっしゃいませ」
「うん、行ってきます。秋山ばいばい~」
「ばいばいー」
結衣は秋山に向かい手を振り、秋山もまたは振りながらドローンに乗った。
そして黒ドローンはすぐに飛び上がり、次の黒ドローンが着地しに来ていた。
「よし、頑張ろう!」
結衣はそう言いパンパンと顔を叩き。私の入った虫かごを持ってコロシアムに向かい歩き出すのだった。
中に入ると思っていたよりも人は多くなく。皆、あちらこちらと見ることもせず迷いなく目的地を目指しているようだった。
「矢印が出てる……」
結衣もそう言いながらスタスタと中を歩き始めた。
……どうやら私には見えないが結衣には見えている矢印が皆を案内しているから人がスムーズに移動しているのか。
席に着くと2割ぐらいはもう学生が座っているようだった。
「っあ、こんにちわー」
隣の席に座っていた長い黒髪の女の子が結衣に気づき挨拶してきた。右胸の柄は鼠ってことは結衣と同じ学年か
「……こんにちわ」
「私、伊藤 香苗っていうんだ。よろしくねー」
「うん、私は中院 結衣。よろしくね」
そこまで言うと伊藤は驚いた顔をした。
「どうかした?」
「もしかして……日本人?」
「うん」
「なんだ……、てっきり銀髪だったから外国人かと思っちゃった」
「うん? 魔法適性のある人は髪の毛の色がおかしくなったりするらしいの」
「っえ!? そうなの? だったら私も銀髪か金髪に生まれたかったなー。私の家は魔法なんて存在すら疑ってたぐらいの家だったから、10歳の時に連絡あったときは驚いたんだ。中院さんの家はそうゆうの詳しいの?」
「……一応、両親とも魔法使いだったから」
「そっかそっか。……っあ、そのネズミはなに?」
「ペット……」
「へぇ…………」
伊藤がじっと私を見つめる、だが彼女の瞳は私を見てない。まるで計算式の中にある数字のような感覚。
「そっかーペットもつれてきて問題ないもんね。っあもうそろそろ始まるみたいだよ」
「ぇ、全然人集まってないけど……」
「ここのコロシアムは学園全員が入れるように作ったけど、入学式に来るのは大抵は新入生か高校に上がった子とかだけみたいだよ。だから席は空いてて問題ないんだー。ちなみにこれはドローンの中で聞いた」
伊藤ははにかむように言い、そしてコロシアムの中心を見た。
すると中心を囲むように6種類の魔法陣が光り輝きだし、それぞれから火や水、土、風、闇、光などを噴出させ、綺麗に演出をされていた。
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