何で死ぬのに生きてるのですか〜ネズミに転生した最強闇魔法使い、銀髪の少女のペットになる〜
3.彷徨う屍
指が4本
毛の色などは灰色か? 腹のほうはじゃっかん黄色いが……
……目の前にいるネズミと同じ配色と体。
私もネズミになってしまったのか?
なぜ?
今まで私はそんな話を聞いたことがない。
例え、輪廻転生だとしても赤ちゃんから生まれるはずだ
だが、私の体は周りのネズミたちのサイズを見てどう考えても同じくらい。
つまり大人である。
それに先ほどまで全身に感じていた痛みも消えている…………あれは人間だった時による幻肢痛だろうか。まぁ、圧死したのだから残っていても不思議ではないか。
待てよ、痛み・・・・・・こうなった原因はあの魔力圧縮か・・・・・・?
いや、今こうやって考えていても埒が明かない。そういうのは後で考えるとして一体ここはいったいどこなんだ。
部屋の天井は三角になっているのでどこか家の屋根裏かなにかだろう。周囲は暗く物が散乱し、辺りはネズミの糞だらけ。
――影は操作できるのだろうか
私は自分の影に意識を集中させ、影を伸ばす。
影は波紋のように広がり部屋のあちらこちらに転がる物体を覆い、認識出来なくさせた。
良かった……普通に使える。
この屋根裏全体に影が伸びたところで私は異変に気づく。
私の影は人間だったころ草原の地平線までは太陽がなければ伸びたはず。
だがしかし今この屋根裏のサイズで能力の1/20ぐらい……。
この家の屋根の広さはどれほどかは知らないが、落ちているコップの大きさからして普通の民家ぐらいの大きさ、横10mぐらいのサイズ。
それを考慮すると私の影は半径200mぐらいしか伸びなくなってしまったようだ……
それに付近のネズミは私の他に3匹ほどいることも影で分かった。
「キ!? キィー!!」
「キー!」
突然足元が黒に覆われたせいでネズミは驚き、飛び跳ねまわっていた。・・・うるさいな
影を元に戻すと、先ほどまで黒かったところを不思議に思ったのかネズミたちは足元を注意深く鼻をピクピクさせながら眺めていた。
影の操作は距離以外に特に問題ないとして……召喚させてみるか。
闇系統はファイヤーボールとか火炎放射みたいな魔法を扱うことはできない。できたとしても精々、骨を飛ばすぐらいだろう。
だから私は手っ取り早く戦力になる召喚を試してみる。
ここは屋根裏だから昔に死んだネズミのアンデットぐらいは呼び出せると思う。
左目に死体の眼球がない以上ここら辺に魂があるかどうかを確認することはできないけど。
かといってここにいるネズミを殺して眼球を取るとしても衛生的に心配である。特に必要性も感じないし、わざわざ自分の目をえぐり取るのも痛い。
頭の中に魔法陣を思い浮かべ、その図形をそのまま視界の上に重ねる。そうすることで先ほどまで暗かった床に漆黒の魔法陣が浮かび上がり、黒煙を舞い上がらせる。
そして消えた頃には魔法陣の上に1匹、目の焦点が合ってない以外はごく普通のネズミが現れる。
……ふむ、召喚も特に問題なし。
試しにアンデッドネズミの前脚と後ろ脚を操作してみたが、問題なく動くようだ。
消す時は逆に魔法陣を目の奥に戻すよう意識して消す。
魔法陣は床の上から砂埃のように消え、当然召喚されたネズミもまた同じように消える。
……さて、魔法が無事使えることが分かったところで私が今どこにいるのかを確認しなくてはいけない。
ここがバルリ帝国なのかどうかも気になる。
先ほど影を伸ばした時に気が付いたが、屋根の一部が壊れていて外の日差しが入っている。
その穴の場所に行こう。
何年も変化がないまま放置されていたのであろう、所々床が腐り落ち下が見える状態だ。
覗いてみると下は何やら大きい人形が置かれていた。昔は崇拝してたのだろうか。
木材の隙間から屋根裏に差し込む太陽の光模様がが木々の影で揺れ動く。
外を覗くと雲一つない青空、キラキラと太陽が容赦なく降り注ぎあたり一面の木々や地面を照らす。
……森の中?
「ミンミンミンミン」
うるさい音が聞こえる。
……何の音なのだろうかと思っていると近くにあった一本の木に6本足の気持ち悪い虫が引っ付いていた。
何か攻撃してくるのかもしれないと警戒し、身構えたが……特に何もしてこない
ただ鳴く虫なのだろうか
辺りを見渡してみるが木しか見えなく、近くには人工物はない。
……木々が奥に進むほどせり上がっている?
ここは少し陥没しているのだろうか
どうしよう……
まぁ、このままここにいたところ何も情報がない。……外に出てみるか
私はそのまま自分の影の中に入り、壁の中を通って地面付近の壁に影を伸ばし降りる。
とりあえず振り返り、先ほどまでいた家を眺めるがあちこちで木が腐り、穴だらけで今にも倒壊しそうなほどすごく古臭い木造建築の建物だった。
昔に使われてたが今はもう捨てられたのだろう。
そしてふと建物を見ていたら、視界の端に何やら白い箱状の物も持ち運んでいる虫が飛んでいくのが見える。
……あれもまた虫なのだろうか。
特に情報もないので飛んでいる箱の物抱えている白い虫が飛んで行った方に向かって追いかけることにした。
草をかき分けながら必死に追いかけるが白い虫は一向に休む気配も見させないスピードで、森の上を駆け抜けていく。
草や木の根など人間だったころは気にも留めなかったものたちが、今の私にはとても大きい障害物になってしまっている。
必死に走ったが、結局はネズミの疾走。
先程まで見えていた白い虫を見失ってしまった。
もはや目的もなくなり、辺りは木々しか見えず最初の木造の家もどこにあるのかわからない。
途方に暮れ、とりあえず虫が向かっていたほうに歩くがどこまで行っても森。
たまに鳥のさえずりが聞こえるだけだ。
見たこともない木に虫。 ここは私の知っている世界とは違うかも知れない……
……ザァーー…………
水が流れる音が聞こる。
……そういえば随分走り回ったから喉が渇いてきている。
とりあえずその方角は向かってみると木々の間を縫うように小さな川が流れていた。
トコトコと川に近づき水を飲もう頭を近づけたところで私は止まった。
……飲んでも問題ないのだろうか?
まず第一に山から流れる水を飲んでこのネズミの体は生きていけるのだろうか? もしかしたら毒になってしまうかもしれない……
こんなことならあの家のネズミたちから1匹ぐらい毒味役として連れてくるべきだったかもしれないな。
私は川からある程度の距離が離れているところまで行き、土を掘りそこから溢れる水を飲むことにした。
骨を飛ばす魔法陣を頭の中に思い浮かべ、空中に止まらせる。次に目に力を入れ発動に値する魔力を送り込む。
すると魔法陣からは、次から次へと何かしらの動物の骨が飛び出し鋭い轟音を出しながら土に穴を開ける。
……見たことがない大型の骨までも混じっている。ここ付近で死んだ動物の骨だろう。
飛び出しあちらこちらに飛び散った骨は魔法陣を消すと同時に一緒に消え、先ほど開けた穴には濁った水が染み出る。
それでも少し不安だし、まだ水も濁っているので先に少しだけ前足をつけしばらく時間を置いた。
――特に前足のほうの肌に異常も感じない。
とりあえず大丈夫と思い。泥などが沈下し終わって上にある透明な水を少量、口に含み確認した。
うん、特に刺激を感じない。
口に含んだ少量の水を飲み、またしばらく時間を開ける。
流石にずっと川辺にいると骨にあった大型動物が襲ってくるかもしれないので近くの木に根の穴にしばらく身を隠し、休むことにする。
一眠りをし、体に腹痛やら何も異常がないことを確認してから私は開けた穴に溜まった水をゴクゴクと飲みはじめる。
……体が水分を欲しているのが理由かも知れないが水がこんなに美味しいと感じたのは随分久しぶりだ。
さて、水も飲んだことだし。目的もない、とりあえずこの川沿いをそのまま歩いてくだることにするか。
そしてしばらく川沿いを歩いてようやく見晴らしいい崖を見つけ、安堵した。
これでやっと私が今いる場所が分かる。
だがその安堵もすぐに終わった。
そこから見えた光景は衝撃なものだったのだ。
空にはボロ家で見かけて追いかけていた白い虫は1匹どころか大量に空を飛び回り、おまけにその親玉のようなデカい虫まで飛んでおり、おまけに色までも様々。
家もあるが見たこともない素材で建てられ、バルリ帝国の城とは比べ物にならないほど高い細長い建物まで立っていた。色鮮やかな絵が壁で動き回り、賑やかな音まで出していた。
その建物の間に動くものを見つけ、目の魔法陣をズームさせ凝らして見ると人。
……ただ、皆がなぜか何もない空間に向かって指をひらひらとさせていた。 一体何をしているのだろうか?
だが一つ分かったことがある
――ここは明らかに私のいた世界ではない。
だがしかし、人……人がいることだけは助かった。建物もあるようなので知能も高いだろう。これで知的生命体すらいなかったら私はもう1度死ぬところだった。
ふと見ると、私の立っているこの崖の下にも屋敷があり、しかも中々に大きい。
私の世界で貴族が住むような屋敷のようだが、この世界ではどうなのだろうか。
そこに先ほど見た白い虫の1匹が何やら木製の箱のようなものを落としていき、しばらくしたら屋敷の中から使用人と思われる人が出てきてがその箱を拾ってまた入っていった。
この白い虫は使役されて荷物でも届けているのだろうか……
ぐぅ……
腹の音が鳴り、自分が物凄く腹が減り始めていることに気づく。
森の中で虫やら木の実やらはあったが、この世界すら違うネズミの体では何が毒かどうかもわからない……うかつな物は口にしないほうがいいだろうと思っていたが、流石に限界である。
森にある食べれるかわからないものより、人が食べている食べ物の方が安全であろう。
となると、目の前の崖下の屋敷に行くしかないが……
この世界ではネズミはどういった扱いを受けるのか分からない。
神格化でもされない限りキーキー言ったところで食料はもらえないそうにないだろう。
見渡してみるがネズミの像などといったものはあるようには思えない。
――もう忍び込み、食料を調達するしかない。
そう決意して
早急に影の中に入り、崖の中を通って崖下の地面近くに生えていた木の影から外に出た。
そして屋敷の周辺にちょうどよく植えてある花壇の中に隠れた。
……これだけ大きな家ならば食堂ぐらいはあるだろう
そう思い、花壇から飛び降り庭を通って屋敷に向かおうとしたが、突如目の前に光の壁が出現し、私の進む方向に塞がった。
――! 光系統の魔法使いがいたのか?! まさか同じ手で2回も死ぬことになるのか?
そう思ったが、壁は前面にだけ展開されており、後ろには何もされていなかった。
……まさか
壁を回り込もうとしたが、自分に合わせて壁も移動し、どうやってもこの光の壁は私を奥に通らせる気がないようだ。侵入者に対して追い払うだけの魔法なのだろうか。
試しにそこら辺にある石を咥えて壁の方に投げたが、石が当たる瞬間だけその部分の壁が消え、石だけが向こう側に落ちた。
なら私も大丈夫なのだろうかとゆっくりと近づいたが手の毛が壁に触れただけで一瞬にして消炭になる。
影を通って中に入ることもできなくはないが、最悪の場合中で出てきた瞬間光で消炭になる可能性すらあるからそれはできない……
……もう諦めるしかないか
と思っていたところで、屋敷の中から小さい赤髪の女の子と付き添いの人と思われる紙袋を持ったメイドが出てきた。
ヤバい!
庭の花でも見るつもりかもしれないが、私の目の前には今光の壁が出現していて目立っていてすぐに存在がバレてしまう。
暇つぶし感覚で魔法を撃たれて死ぬ可能性だってある。
逃げなくては……
待てよ。
このまま待って、あいつらの反応を見ればこの世界のネズミに対する反応も分かる。
幸いすぐそばに花壇から延びる花の影があるから、もしもの時はすぐに影に入り逃げられる。反応さえわかればこの後の立ち回りに大きな影響を与える。
……待つか。
赤髪の少女はメイドの人と楽しそうに話しながら庭の方に歩いて来た。どうやら私の右前方にあるベンチに向かっているみたい。だが、このまま進めば間違いなく私のことが目に入る。
そしてあと10mというところで赤髪の少女の目と私は目が合った。
そして少女は目を見開いてきょとんとしていた。その隣のメイドは口に手を当てて驚いていた。
「縺�d繝シ繝シ繝シ�√繝阪ぜ繝滂シ�」
少女は叫び声を上げ、メイドに後ろに回り袖につかまりながらこちらを指さしていた。
「縺薙s縺ェ縺ィ縺薙m縺セ縺ァ繝阪ぜ繝溘′譚・繧九→縺ッ迴阪@縺�〒縺吶�」
掴まれたメイドのほうが少しばかり驚いている様子だったが、特に慌てていなかった。
というか、この二人が何を話しているのかすら私には分からない。 私が人間だったころの世界ではある程度の種族の言語は理解できていたはずだから、やはりここは私のいた世界ではないのだろう。
「荳∝コヲ縺�>讖滉シ壹〒縺吶@縲√け繝�く繝シ縺ァ繧ょキョ縺嶺ク翫£縺ヲ縺ソ縺溘i縺�°縺後〒縺吶°�溘繧医¥隕九◆繧牙庄諢帙>縺ァ縺吶h」
「縺九∝庄諢帙>縺九b縺励l縺ェ縺�¢縺ゥ繝サ繝サ繝サ繝サ繝サ繝サ繝阪ぜ繝溘▲縺ヲ闖後′縺�▲縺ア縺�>縺ヲ蜊ア縺ェ縺�s縺ァ縺励g��」
「逶エ謗・隗ヲ繧峨↑縺代l縺ー蝠城。後↑縺�〒縺吶h縲ゅ謚輔£縺ヲ貂。縺帙�縺�>縺ョ縺ァ縺吶h��」
何を話しているのか分からないが、先ほどの少女を見るにネズミはこの世界でもあまり歓迎されるべき生物ではないのは分かった。
そしてメイドは紙袋の中に手を入れ何かを後ろの少女に渡したようだが、
「いい機会ですし、生物を殺すのも社会勉強ですよ。」 とか言って何かを渡しているのかもしれない
この二人を殺すこともできるが、何も分からない現状では騒ぎを大きくする可能性もあるからやめた方がいいだろう。
丁度二人とも注意が離れたし、私はそのすきに飛び出した花壇の中に逃げ。影に入り屋敷を後にした。
毛の色などは灰色か? 腹のほうはじゃっかん黄色いが……
……目の前にいるネズミと同じ配色と体。
私もネズミになってしまったのか?
なぜ?
今まで私はそんな話を聞いたことがない。
例え、輪廻転生だとしても赤ちゃんから生まれるはずだ
だが、私の体は周りのネズミたちのサイズを見てどう考えても同じくらい。
つまり大人である。
それに先ほどまで全身に感じていた痛みも消えている…………あれは人間だった時による幻肢痛だろうか。まぁ、圧死したのだから残っていても不思議ではないか。
待てよ、痛み・・・・・・こうなった原因はあの魔力圧縮か・・・・・・?
いや、今こうやって考えていても埒が明かない。そういうのは後で考えるとして一体ここはいったいどこなんだ。
部屋の天井は三角になっているのでどこか家の屋根裏かなにかだろう。周囲は暗く物が散乱し、辺りはネズミの糞だらけ。
――影は操作できるのだろうか
私は自分の影に意識を集中させ、影を伸ばす。
影は波紋のように広がり部屋のあちらこちらに転がる物体を覆い、認識出来なくさせた。
良かった……普通に使える。
この屋根裏全体に影が伸びたところで私は異変に気づく。
私の影は人間だったころ草原の地平線までは太陽がなければ伸びたはず。
だがしかし今この屋根裏のサイズで能力の1/20ぐらい……。
この家の屋根の広さはどれほどかは知らないが、落ちているコップの大きさからして普通の民家ぐらいの大きさ、横10mぐらいのサイズ。
それを考慮すると私の影は半径200mぐらいしか伸びなくなってしまったようだ……
それに付近のネズミは私の他に3匹ほどいることも影で分かった。
「キ!? キィー!!」
「キー!」
突然足元が黒に覆われたせいでネズミは驚き、飛び跳ねまわっていた。・・・うるさいな
影を元に戻すと、先ほどまで黒かったところを不思議に思ったのかネズミたちは足元を注意深く鼻をピクピクさせながら眺めていた。
影の操作は距離以外に特に問題ないとして……召喚させてみるか。
闇系統はファイヤーボールとか火炎放射みたいな魔法を扱うことはできない。できたとしても精々、骨を飛ばすぐらいだろう。
だから私は手っ取り早く戦力になる召喚を試してみる。
ここは屋根裏だから昔に死んだネズミのアンデットぐらいは呼び出せると思う。
左目に死体の眼球がない以上ここら辺に魂があるかどうかを確認することはできないけど。
かといってここにいるネズミを殺して眼球を取るとしても衛生的に心配である。特に必要性も感じないし、わざわざ自分の目をえぐり取るのも痛い。
頭の中に魔法陣を思い浮かべ、その図形をそのまま視界の上に重ねる。そうすることで先ほどまで暗かった床に漆黒の魔法陣が浮かび上がり、黒煙を舞い上がらせる。
そして消えた頃には魔法陣の上に1匹、目の焦点が合ってない以外はごく普通のネズミが現れる。
……ふむ、召喚も特に問題なし。
試しにアンデッドネズミの前脚と後ろ脚を操作してみたが、問題なく動くようだ。
消す時は逆に魔法陣を目の奥に戻すよう意識して消す。
魔法陣は床の上から砂埃のように消え、当然召喚されたネズミもまた同じように消える。
……さて、魔法が無事使えることが分かったところで私が今どこにいるのかを確認しなくてはいけない。
ここがバルリ帝国なのかどうかも気になる。
先ほど影を伸ばした時に気が付いたが、屋根の一部が壊れていて外の日差しが入っている。
その穴の場所に行こう。
何年も変化がないまま放置されていたのであろう、所々床が腐り落ち下が見える状態だ。
覗いてみると下は何やら大きい人形が置かれていた。昔は崇拝してたのだろうか。
木材の隙間から屋根裏に差し込む太陽の光模様がが木々の影で揺れ動く。
外を覗くと雲一つない青空、キラキラと太陽が容赦なく降り注ぎあたり一面の木々や地面を照らす。
……森の中?
「ミンミンミンミン」
うるさい音が聞こえる。
……何の音なのだろうかと思っていると近くにあった一本の木に6本足の気持ち悪い虫が引っ付いていた。
何か攻撃してくるのかもしれないと警戒し、身構えたが……特に何もしてこない
ただ鳴く虫なのだろうか
辺りを見渡してみるが木しか見えなく、近くには人工物はない。
……木々が奥に進むほどせり上がっている?
ここは少し陥没しているのだろうか
どうしよう……
まぁ、このままここにいたところ何も情報がない。……外に出てみるか
私はそのまま自分の影の中に入り、壁の中を通って地面付近の壁に影を伸ばし降りる。
とりあえず振り返り、先ほどまでいた家を眺めるがあちこちで木が腐り、穴だらけで今にも倒壊しそうなほどすごく古臭い木造建築の建物だった。
昔に使われてたが今はもう捨てられたのだろう。
そしてふと建物を見ていたら、視界の端に何やら白い箱状の物も持ち運んでいる虫が飛んでいくのが見える。
……あれもまた虫なのだろうか。
特に情報もないので飛んでいる箱の物抱えている白い虫が飛んで行った方に向かって追いかけることにした。
草をかき分けながら必死に追いかけるが白い虫は一向に休む気配も見させないスピードで、森の上を駆け抜けていく。
草や木の根など人間だったころは気にも留めなかったものたちが、今の私にはとても大きい障害物になってしまっている。
必死に走ったが、結局はネズミの疾走。
先程まで見えていた白い虫を見失ってしまった。
もはや目的もなくなり、辺りは木々しか見えず最初の木造の家もどこにあるのかわからない。
途方に暮れ、とりあえず虫が向かっていたほうに歩くがどこまで行っても森。
たまに鳥のさえずりが聞こえるだけだ。
見たこともない木に虫。 ここは私の知っている世界とは違うかも知れない……
……ザァーー…………
水が流れる音が聞こる。
……そういえば随分走り回ったから喉が渇いてきている。
とりあえずその方角は向かってみると木々の間を縫うように小さな川が流れていた。
トコトコと川に近づき水を飲もう頭を近づけたところで私は止まった。
……飲んでも問題ないのだろうか?
まず第一に山から流れる水を飲んでこのネズミの体は生きていけるのだろうか? もしかしたら毒になってしまうかもしれない……
こんなことならあの家のネズミたちから1匹ぐらい毒味役として連れてくるべきだったかもしれないな。
私は川からある程度の距離が離れているところまで行き、土を掘りそこから溢れる水を飲むことにした。
骨を飛ばす魔法陣を頭の中に思い浮かべ、空中に止まらせる。次に目に力を入れ発動に値する魔力を送り込む。
すると魔法陣からは、次から次へと何かしらの動物の骨が飛び出し鋭い轟音を出しながら土に穴を開ける。
……見たことがない大型の骨までも混じっている。ここ付近で死んだ動物の骨だろう。
飛び出しあちらこちらに飛び散った骨は魔法陣を消すと同時に一緒に消え、先ほど開けた穴には濁った水が染み出る。
それでも少し不安だし、まだ水も濁っているので先に少しだけ前足をつけしばらく時間を置いた。
――特に前足のほうの肌に異常も感じない。
とりあえず大丈夫と思い。泥などが沈下し終わって上にある透明な水を少量、口に含み確認した。
うん、特に刺激を感じない。
口に含んだ少量の水を飲み、またしばらく時間を開ける。
流石にずっと川辺にいると骨にあった大型動物が襲ってくるかもしれないので近くの木に根の穴にしばらく身を隠し、休むことにする。
一眠りをし、体に腹痛やら何も異常がないことを確認してから私は開けた穴に溜まった水をゴクゴクと飲みはじめる。
……体が水分を欲しているのが理由かも知れないが水がこんなに美味しいと感じたのは随分久しぶりだ。
さて、水も飲んだことだし。目的もない、とりあえずこの川沿いをそのまま歩いてくだることにするか。
そしてしばらく川沿いを歩いてようやく見晴らしいい崖を見つけ、安堵した。
これでやっと私が今いる場所が分かる。
だがその安堵もすぐに終わった。
そこから見えた光景は衝撃なものだったのだ。
空にはボロ家で見かけて追いかけていた白い虫は1匹どころか大量に空を飛び回り、おまけにその親玉のようなデカい虫まで飛んでおり、おまけに色までも様々。
家もあるが見たこともない素材で建てられ、バルリ帝国の城とは比べ物にならないほど高い細長い建物まで立っていた。色鮮やかな絵が壁で動き回り、賑やかな音まで出していた。
その建物の間に動くものを見つけ、目の魔法陣をズームさせ凝らして見ると人。
……ただ、皆がなぜか何もない空間に向かって指をひらひらとさせていた。 一体何をしているのだろうか?
だが一つ分かったことがある
――ここは明らかに私のいた世界ではない。
だがしかし、人……人がいることだけは助かった。建物もあるようなので知能も高いだろう。これで知的生命体すらいなかったら私はもう1度死ぬところだった。
ふと見ると、私の立っているこの崖の下にも屋敷があり、しかも中々に大きい。
私の世界で貴族が住むような屋敷のようだが、この世界ではどうなのだろうか。
そこに先ほど見た白い虫の1匹が何やら木製の箱のようなものを落としていき、しばらくしたら屋敷の中から使用人と思われる人が出てきてがその箱を拾ってまた入っていった。
この白い虫は使役されて荷物でも届けているのだろうか……
ぐぅ……
腹の音が鳴り、自分が物凄く腹が減り始めていることに気づく。
森の中で虫やら木の実やらはあったが、この世界すら違うネズミの体では何が毒かどうかもわからない……うかつな物は口にしないほうがいいだろうと思っていたが、流石に限界である。
森にある食べれるかわからないものより、人が食べている食べ物の方が安全であろう。
となると、目の前の崖下の屋敷に行くしかないが……
この世界ではネズミはどういった扱いを受けるのか分からない。
神格化でもされない限りキーキー言ったところで食料はもらえないそうにないだろう。
見渡してみるがネズミの像などといったものはあるようには思えない。
――もう忍び込み、食料を調達するしかない。
そう決意して
早急に影の中に入り、崖の中を通って崖下の地面近くに生えていた木の影から外に出た。
そして屋敷の周辺にちょうどよく植えてある花壇の中に隠れた。
……これだけ大きな家ならば食堂ぐらいはあるだろう
そう思い、花壇から飛び降り庭を通って屋敷に向かおうとしたが、突如目の前に光の壁が出現し、私の進む方向に塞がった。
――! 光系統の魔法使いがいたのか?! まさか同じ手で2回も死ぬことになるのか?
そう思ったが、壁は前面にだけ展開されており、後ろには何もされていなかった。
……まさか
壁を回り込もうとしたが、自分に合わせて壁も移動し、どうやってもこの光の壁は私を奥に通らせる気がないようだ。侵入者に対して追い払うだけの魔法なのだろうか。
試しにそこら辺にある石を咥えて壁の方に投げたが、石が当たる瞬間だけその部分の壁が消え、石だけが向こう側に落ちた。
なら私も大丈夫なのだろうかとゆっくりと近づいたが手の毛が壁に触れただけで一瞬にして消炭になる。
影を通って中に入ることもできなくはないが、最悪の場合中で出てきた瞬間光で消炭になる可能性すらあるからそれはできない……
……もう諦めるしかないか
と思っていたところで、屋敷の中から小さい赤髪の女の子と付き添いの人と思われる紙袋を持ったメイドが出てきた。
ヤバい!
庭の花でも見るつもりかもしれないが、私の目の前には今光の壁が出現していて目立っていてすぐに存在がバレてしまう。
暇つぶし感覚で魔法を撃たれて死ぬ可能性だってある。
逃げなくては……
待てよ。
このまま待って、あいつらの反応を見ればこの世界のネズミに対する反応も分かる。
幸いすぐそばに花壇から延びる花の影があるから、もしもの時はすぐに影に入り逃げられる。反応さえわかればこの後の立ち回りに大きな影響を与える。
……待つか。
赤髪の少女はメイドの人と楽しそうに話しながら庭の方に歩いて来た。どうやら私の右前方にあるベンチに向かっているみたい。だが、このまま進めば間違いなく私のことが目に入る。
そしてあと10mというところで赤髪の少女の目と私は目が合った。
そして少女は目を見開いてきょとんとしていた。その隣のメイドは口に手を当てて驚いていた。
「縺�d繝シ繝シ繝シ�√繝阪ぜ繝滂シ�」
少女は叫び声を上げ、メイドに後ろに回り袖につかまりながらこちらを指さしていた。
「縺薙s縺ェ縺ィ縺薙m縺セ縺ァ繝阪ぜ繝溘′譚・繧九→縺ッ迴阪@縺�〒縺吶�」
掴まれたメイドのほうが少しばかり驚いている様子だったが、特に慌てていなかった。
というか、この二人が何を話しているのかすら私には分からない。 私が人間だったころの世界ではある程度の種族の言語は理解できていたはずだから、やはりここは私のいた世界ではないのだろう。
「荳∝コヲ縺�>讖滉シ壹〒縺吶@縲√け繝�く繝シ縺ァ繧ょキョ縺嶺ク翫£縺ヲ縺ソ縺溘i縺�°縺後〒縺吶°�溘繧医¥隕九◆繧牙庄諢帙>縺ァ縺吶h」
「縺九∝庄諢帙>縺九b縺励l縺ェ縺�¢縺ゥ繝サ繝サ繝サ繝サ繝サ繝サ繝阪ぜ繝溘▲縺ヲ闖後′縺�▲縺ア縺�>縺ヲ蜊ア縺ェ縺�s縺ァ縺励g��」
「逶エ謗・隗ヲ繧峨↑縺代l縺ー蝠城。後↑縺�〒縺吶h縲ゅ謚輔£縺ヲ貂。縺帙�縺�>縺ョ縺ァ縺吶h��」
何を話しているのか分からないが、先ほどの少女を見るにネズミはこの世界でもあまり歓迎されるべき生物ではないのは分かった。
そしてメイドは紙袋の中に手を入れ何かを後ろの少女に渡したようだが、
「いい機会ですし、生物を殺すのも社会勉強ですよ。」 とか言って何かを渡しているのかもしれない
この二人を殺すこともできるが、何も分からない現状では騒ぎを大きくする可能性もあるからやめた方がいいだろう。
丁度二人とも注意が離れたし、私はそのすきに飛び出した花壇の中に逃げ。影に入り屋敷を後にした。
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