何で死ぬのに生きてるのですか〜ネズミに転生した最強闇魔法使い、銀髪の少女のペットになる〜

にくまも

0.続き無き思い出



 なぜ人は思い出を作るのか……




 バルリ帝国、外れにある農村


 春、生暖かい風が首元を吹いていくのを感じながら私は家で飼育していた鳥の頭が親に切り落とされていくのを眺める。


 今日殺すと知ったときから私の心にはモヤがかかっていた。もちろん食べるためであるのだから仕方がないこと、そのために育ててきたのだからいつかはこうなるとわかってはいたのだ。


 だがヒヨコのころ可愛いと思いながら追いかけ遊んでいた鳥が殺されていくのを見て何も思わない訳がない。




 生臭い鉄の匂いが鼻に触れるたび、心臓がゆっくり握られていくような感覚がする。次々と首が切り落され腹を切り棒に吊るされていく。


 はぁ、はぁ……ッは……


 小さいころに遊んだヒヨコだけで、私の心がこんなにも締め付けられる。


 私の心が脆いのか。それとも皆がこれを乗り越えてなお生きているというわけか……


 ――耐えられない。


 両親の死や友人の死を私は耐えられる自信がない。そうなことになってしまったら私は……体が震え、気温が先程までよりも寒く感じる。


 呼吸も荒くなっている。


 胸に手を当て、しゃがみ込む。自分の目に力が入り、先程までより見開いているのが感じる。きっと実際に起こったらその精神的なダメージは今の想像よりも酷くなる。




 その秋、隣家のお爺さんが死んだ。




 子供の頃からよく遊んでもらったお爺さんだ。
 いつも椅子に座り話を聞き村を見ながら笑っていた。果物などを分けてもらって喜ぶと嬉しそうにし、転んで泣いたときに大丈夫といい優しく撫でるお爺さん。




 今は冷たくすこしも動かない。




 あ……ぁあ゛あ゛あ゛




 いくら思い出を積み上げようがその分失った時の反動が大きくなって私に帰ってくる。




 もう嫌だ。




 もう誰も失いたくない。


 思い出が胸に突き刺さってくる。


 

 




 ……どうせみんな居なくなる。


 母も、父も、兄も、友人も
 今まで知り合ってきたすべての人が


 どうせいなくなる。
  

 ならこんな思い出なんか要らない。


 …………だから私は心にフィルターを作ることにした。


 死を前提に考え、もう二度と親しい人など作らず、自分の心を壊さないように生きると。




 そう決意した時、私は帝国研究員として働かせてもらおうと帝国にある研究所施設に行き申請した。


 幸い私は10歳の時に行われる帝国の魔法適性審査で闇系統魔法の適性が異常に高かった。
 闇系統は死体やら死霊を扱うため不人気で万年人が足りていないらしかったのであっさりとその研究員になれた。


 魔法の種類は
 火、風、水、地、そして光と闇


 研究員になるにあたっての条件が出されたがどれも大したことではなかった。


 死なせない方法を探す、死ななければ失われない。たとえ見つからなくとも私にはもう失う思い出はない。


 私はしばらくしてから来た兵士たちに目隠しをされ、洞窟のような研究所に連れてかれた




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 中はうす暗く、出入り口も一つしかなかった。その出入り口も看守がつねに一人ずっとおり、自由に外に出してはくれない。ここの部屋にあるものと言えば手枷てかせが付いている作業台と壁にある無数の手枷ぐらいだろう。


 手枷しかないな……


 だがふと出入口の脇を見ると魔法の本が置いてあり、中身は魔法陣とその中の意味やルール。その延長線上にある同化などの説明が書かれていた。


 なるほど、これを見て学べばいいのか。
 私はとりあえず一週間ほどそれを見ながら魔法の練習をした。




 ある程度闇の魔法が使えるようになった時だった初めて看守から食べ物以外の物が送られた。


 エルフだった。


 太陽の下ならば綺麗な薄緑の髪が煌めき、すらりとした細長い体が実に美しいと思わせたであろう。年齢は人間とは成長スピードも全く違うから分からないがかなり若い方と思う。


 彼女は手錠と目隠しをされた状態で魔法が使えないようにされ、眠らされていた。そのままの方が私にとっても都合が良かったし、そのまま彼女を作業台の上に横たわらせて手錠を手枷に替え両手両足を固定する。


……邪魔だな。このまま何をするにしても彼女の服は必要ないだろう。
 私は魔法陣を出して闇の槍を作り彼女の着ていたエルフの服を切りさき全裸にした。


 あ……服のついでに肉まで切ってしまった。


 「縺ゥ縺凪€ヲ窶ヲ縺薙%縺ゥ縺薙↑縺ョ�溘€€縺ェ繧薙〒謇玖カウ縺悟崋螳壹&繧後※繧九��溘€€繧�□縲∵€悶>諤悶>窶ヲ窶ヲ隱ー縺九€∬ェー縺句勧縺代※蜉ゥ縺代※縲∝勧縺代※��シ�」


 その痛みで目を覚ましたようで、小声で何かつぶやいたのかと思ったら大声で叫び始めた。エルフ語なのか私には何を話しているのか全く分からないが助けでも求めているのだろう。


「縺�◆縺�>縺溘>縺�◆縺�>縺溘>縺�◆縺�シ�シ�」


 エルフ……そういえばそのの肉を食べると長寿になるという噂を村で聞いたことある。


 噂は噂でしかないが万が一がある……


 ……食べる、食べる?


 手枷を付けられた彼女が身をよじって暴れ、私は自分の手を見たが小刻みに勝手に震えていた。


 食べるのか……?


 人を……


 彼女の姿がつるし上げられた鶏と重なる――嗚呼、そうだな。


 私は魔法陣をいじり槍をさらに尖らせ、そのまま彼女のお腹を引き裂いた。


「――――――――」


 血が溢れ、彼女の中の臓器が鼓動に合わせて激しく蠢く。


 ああ、かわいそ――ダメだ余計なことを考えるな。切り捨てろ。いずれ死ぬんだ。遅かれ早かれ死ぬことは変わらない。彼女がより他人と仲良くなる前に殺してあげるのも優しさだ。


 ――別れがよりつらくなる前に。


 切り取った彼女のお腹の肉を口の中に入れよく噛もうとしたが筋が多くうまく噛み切れない。それでも無理やり噛み、飲み込む。


 ああ、鉄臭い生臭い臭い臭い臭い臭い吐きたい吐き出したい。胃が受け付けないとでも文句を言うように胃酸をこみ上げらせる。


 「――お゛え゛」


 ダメだ、飲み込め。今までの鶏肉が食えて何故エルフ肉が食えないというのか? 同じ命だ。そうだ、同じ命だ。そこに大きいも小さいもない。


 口までこみ上げてきた肉を手で押さえ込みもう一度よく噛んで飲み込む。


 落ち着いたあと、もう一度作業台の上の彼女に目を向ける。切り開けたお腹の中に血が溜まっている。


 私はそれを両手ですくい口に流し込む。何度も何度も流し込む。


 「――」


彼女はろくに声も出ないのか小さな呼吸音が聞こえるだけだった。そしてある程度飲み終わるころには彼女の目隠しの布は水が滴り落ち、息が絶えていた。



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