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何で死ぬのに生きてるのですか〜ネズミに転生した最強闇魔法使い、銀髪の少女のペットになる〜

にくまも

2.RNA、全ての始まりの物語



 雲が風に流され一つまた一つと、日差しが差し込む。




 快晴になった空。




 そこから溢れ出る心地よい太陽の日差し




 これを両手を広げて浴び……はぁ




 私は、私は、私は何のために生きているのだろうか。




 そう思った瞬間。


 甲高い音が聞こえ、体に激痛が走ったのを感じた。 


 魔力を使いすぎたか? いや、魂の秤は魂だけでなく死体から魔力までも吸収するはず。この私が魔力で疲労することなどありえない。


 ではなぜ……




 そして私は気がついた。




 体中に光の柱が刺さり、体が宙に浮いてることに、鳥籠のように私を丸い球体の中に閉じ込められていることに。




 その鳥籠の外側に白いローブを着た人達が次から次に光のように現れることに




 私の口からは血が吹きこぼれ呼吸しようとポコポコ音を鳴らしている。




 光か……


 熟練の私が影を操るのならば彼らは当然光を操り、同化することもできるってことか……


 不覚……光の魔法陣がない時点で警戒するべきだった。こいつらは今までは雲の上にでも身を隠していたのだろう。


「帝国所属闇系統最高責任者、ラルク。貴方は隣国や帝国から数々の老若男女、エルフやドワーフ、魔族を誘拐。身勝手にも魔術の実験を数々行っていました。その数は1万を超えています。バルリ帝国や隣国各国の協力により討伐組織が結成。今、目的を達成しました」


 秘書のようなエルフが分厚い報告書を読みながらそう喋った。


 「コポぅ、グァぁー」


 試しに喋ろうとしてもやはり声にもなりはしないし、痛みが増すばかりだ。


 周りにいるローブの奴らは心なしか笑っているようだ。


 よく見てみるとその中にはエルフや人間、魔族なんかも集まっていやがる。


「私たちは光系統のスペシャリストのため、貴方が闇に逃げ逃亡される恐れがあるのも完璧に考慮しました。だから作ったのです。このわずかな暗闇すら作らぬ光の鳥籠を」




 ……悪いのは全て私か? 


 誘拐も私? 


 違う、私は欲しいものを伝えただけだ。




 手引きをしたのは帝国のはずだ。 なのに私だけが悪なのか?




 ふっ、ふふふふ。笑いがこみ上げてくる。


 だが、そんなことはもうどうでもよかった。私はあることに気がついてしまった。


「……貴方何を笑っているのですか?」




 何を笑っている? 


 ははっ、もう笑うしか無いだろう。


 これを最後に死のうとしたのに最後の最後で最高の実験の場を見つけてしまったのだから


 前から私は魔力の圧縮をしようと考えていた。


 私の影に囚われた魂と魔力を一点に集める。


 だが、実際にそれをやろうとしたがどうしても自分の力では半径5cm以下にしたところで魔力が溢れたり、私の体の中に魔力が逃げ出してしまう。




 ……だから諦めた。




 だが、今私は光の球体の中にいる。これでは圧縮しようとし、逃げていた魔力でさえ逃げ場はなくなる。このまま光の球体が私の体の中に逃げていくであろう魔力ごと圧縮してくれれば自分では到達できなかった最高の結果になるだろう。


 ニヤリと口角が上がるのを感じる。


「もういいです。皆さん、鳥籠を最高出力のまま閉じてください。彼には肉片になる価値すらありません」




 私の入っている球体が急速に狭くなっていく。




 体中の骨が悲鳴を上げながら折れていく音が聞こえる。


 折れ曲がった足が自分の肺に突き刺さる




 背骨も折れ、腕もあられもない方向に曲がる。




 骨が次から次に体に刺さり壊れていくのを感じる。




 ついに首からも音が聞こえ始めた。




 もう、意識を保つのも精一杯だ。


 ……ここでただ一つ残念なことがあるとしたらこの圧縮の結果を私が見ることができないことだ。




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 光の球体は先程まで人の入っているサイズとは思えないほどの3cmサイズの小さな球になった。


 そこまでいってやっと草原で白いローブを着た人達は安堵した。


 数々の同胞たちを誘拐し、拷問まがいなことをした悪党を殺せた。




「やりましたね。隊ちょ――




 ――そこにローブの人たちはいない。




 死体が転がっている草原もない。




 空を飛ぶ鳥もさえ、さえずりで心地よい歌を醸しかも出しながら一瞬で塵と化す




 そこにあるのは光の球体から発せられた逃げ場を失った魔力が引き起こした爆発によるクレーターだけ。
 全てを飲み込み、焼却するほどの熱量を持った爆発の半径は30km。




 魔法界の歴史に名を残すには十分な爆発。




 砂時計の砂は落ち始める。


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 交わるはずのない世界へと




 ――痛い


 ――痛い……


 ――痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い




 「――――!」




 声にすらならない叫び声を上げる




 「キー、キィー」




 はぁ……はぁ…………はぁ




 やっと落ち着いたが、体中にガラス片が散りばめられているかのように動かすたびに痛みが走る。




 「キィ、キー」


 私は、


 私は、


 あれ、私はなぜ思考できているのだ?




 っていうか私は圧縮されて死んだはず……




 「ッキィ、キィ」




 さっきから聴こえてくる泣き声に重たいまぶたを開けると




 大きく動く物体が目の前にいる。




 私は瞬時に立ち上がり、距離を取ろうとしたが、うまく立ち上がれず再び倒れこみ、また痛みが突き抜ける。




 そして倒れた瞬間に気がついた。


 私の体が全身毛だらけであることに。


 しかも遠くのものがよく見えない。生前も目は良くなかったがよりひどくなっている。


 生前も使っていた視力を補う用に作った魔法陣を頭の中で思い浮かべ、それを眼球の後ろに設置した。よし、これで意識しなくても視力は補強されるようになる。




 そしてゆっくりと視点の真ん中に向かって鮮明に見え行く中、気づいた。


 鼻が異様に前の方に見えることに。


 色までもが変わっている……


 そのことに疑問に思いながら痛みに耐えながら自分の手を目の前に持っていった。


 1本


 2本


 3本


 4本




 ……毛深い




 4本指でしかも毛深い手がそこにあった。




 これは何の生物なのだろうか




 …………私は一体どうしたのだろうか。

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