有名野球エリートが甲子園常連校に入学し、血の滲む努力で仲間を引っ張る話

かじ

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いっちにっ!!!いっちに!!

いっちにっ!!!いっちに!!





都営球場には、元気の良い球児たちの合唱が響き渡る。
この日は東京都春季大会1回戦、安室高校対藤井高校が午前10:00から行われる。

安室高校にとって東京都の大会は優勝義務であり、負ける事はあってはならない。
藤井高校は特別強いチームというわけでもないので尚更、勝たなければならない。
その事がレギュラー陣の多大なるプレッシャーを与え、緊張感は観客席の1年生たちにも伝わっていた。








「おいみんな!今日は絶対勝つぞ!!!」









「ウッス!!!!!」








円陣の中にただ1人混じっている1年生は、金串だ。石原のスタメン発表から、金串と高杉は切磋琢磨して過ごしてきた。高杉と金串の両方のモチベーションを焚き付けるという意味で、石原による早期のスタメン発表は大いに意味があったといえる。


そのため、金串にとってのプレッシャーは、負けるわけにはいかないという事と、試合でミスをして、レギュラーを高杉に再奪取されることはあってはならないのだという事で、二重に降りかかっているはずだが、相変わらずマイペースな金串は、いつも通りのテンションで、張り切って声出しに勤しんでいた。










「おい、金串」










「はい?御木本キャプテン」









「今日はお前にとって初めての公式戦だ。まぁ、お前の事だから全く気にしてないだろうが、思い切ってプレーしようぜ、な!」










「はい!!!!!」







藤井高校のノック中に、御木本からアドバイスを受けた金串は俄然やる気になった。
御木本キャプテンは気が利く人だ、なんて思いながら、自分の活躍する姿を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれる。
金串巌、案外単純な男である。











「いや〜今日は金串の勇姿が見られるわけか」









「しつこいようだけど、1年生でベンチ入りってやっぱりすごいよな」









「よし!俺たちに出来ることは応援だ!今日は精一杯応援しようぜ!」









応援席の1年生たちも盛り上がっている。
都営球場の観客席は春季大会であるにもか変わらず超満員だ。
そんな熱気の渦がまくグラウンドで、いよいよ、東京都春季大会第1回戦、藤井高校対安室高校が開始される。


さあ、いよいよプレイボールだ。





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