きみのとなり

佳川鈴奈

エピローグ

「おいっ、氷夢華……待たせたな」


そういって花嫁仕度を終えて真っ白なウェディングドレスに身を包んで、
オレの前に現れたアイツを、着慣れないタキシードを身に着けて迎える。



氷夢華の隣にはモーニングと黒留袖姿のアイツの両親と正装した弟。




「おめでとう。嵩継」



式場前に姿を見せたオレたちを祝福する仲間たちの声と共に、
雄矢院長の姿があった。



そして雄矢院長の傍には、
水谷さんが黒留袖を身に着けてオレに微笑んでくれた。




氷夢華にプロポーズした後も何度か体を重ねながら、
一度も身ごもらせてないのは奇跡としか思えない。

普段は必死に理性で押さえながらも時折、
その本性を見せながらも、一年と八か月の月日が過ぎて、
ようやく晴れの日を迎えた。




今日からオレたちは家族なる。





アイツがくれた、ずっと欲しかった最高のプレゼント。





神様と大勢の仲間たちに祝福されながら、
オレたちは、最良の一日を過ごした。












昔も今も、
ふとした、アイツの仕草にドキッとする。


六歳年下のアイツは今日も小悪魔度全開で、
オレの望み通りにいい女で居続ける。




オレの現在も過去も未来も、
多分、あの愛すべき天然小悪魔が笑って満たされ続けるんだ。








『なぁ、オレだけの天然小悪で居てくれ』





照れくさくて、結婚してくれなんて言えなかったオレの、
変なプロポーズにも、アイツは笑って受け止めてくれた。






オレがようやく手に入れた大切な家族。






氷夢華……これからはもっと幸せになろう。
家族を増やして共にこの命が尽きる瞬間まで。







オレだけは……きみのとなりで……抱き続ける。







The End




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