Over the time ~時を見る~
The lost girl
この世界から彼女は見放された。
それはつまり彼女の存在意義が失われ、必要性も消えたのと同然である。
「知らないよ」
「そんな人いた?」
「中学の時、同級生だったよ」
クラス、学校中において彼女の存在を知っているだろう場所まで走り回った。
だが、どれも返事は変わらない。ただ知らないという言葉のみだった。
斎藤からの言葉で自分が置かれている状況を知った俺は、ただひたすらに彼女を知っている人を探すことに没頭していた。
だが知っている人は一向に現れることはなかった。
「っちくしょう……斎藤の次はお前かよ」
今回は助言をしてくれる人がいない。つまり自分でなんとかしなければならないという暗示でもあった。つまり、ここで彼女の記憶があるのが俺だけに限定されていることこそがその証明である。
授業の内容が頭に入らないまま放課後を迎えた。自分以外はもう帰宅したらしいのか鞄は一切無く一人取り残されたまま机の上に突っ伏していた。
「何でなんだろうな……」
授業中、何度も居眠りをし時間を変えようと試みた。
だが、過去に戻ったところでその先の世界にも彼女はいないことになっていた。
彼女が座っていた席を眺める。俺からは右斜め前の廊下に近い場所。
そこに座っていたはずだった。だが今は空席。誰も座っていないことになっていた。
「こんな時に使えないって、ホントに使えないよな」
能力よりも自分に対して情けなさをぶつける。
彼女が座っている姿が脳裏に浮かぶことで、無意識のうちに彼女を見ていたことに気がつく。それは不条理で不合理で、どうも現実的な残酷感が残った。
太陽からの日差しを強く浴びるこの席は俺の座る方を明るく照らし、彼女の方はより暗くなる。
窓を開けているこの教室に仄かな風が入り込み、彼女の机上に睡蓮の花弁が一枚舞い落ちる。
俺は佐藤瀬名を連れ戻す。そう決意を新たにしたのだった。
救う。なんて簡単な言葉なのだろう。口だけで言えば二文字で済むことなのに、行動に移せば一日、一週間はかかる。かなわないことだってある。
俺は解決にもっとも近い方法、彼女の過去の場所を訪れることにした。
近いのかどうかは自分の独断として、これしか頼れる場所が無かった。
「なあ、今日暇か?」
俺がそう問いかけた相手は、友人オブ友人である斎藤優人。
一人だけで行動するよりかは二人で行動を共にした方がいい。今までの出来事を回想した結論がまさにこれだった。
「ああ、平気だぞ?何か用事があるのか?」
ということで、俺と斎藤とで彼女と訪れた各地を回ることになった。
それはつまり彼女の存在意義が失われ、必要性も消えたのと同然である。
「知らないよ」
「そんな人いた?」
「中学の時、同級生だったよ」
クラス、学校中において彼女の存在を知っているだろう場所まで走り回った。
だが、どれも返事は変わらない。ただ知らないという言葉のみだった。
斎藤からの言葉で自分が置かれている状況を知った俺は、ただひたすらに彼女を知っている人を探すことに没頭していた。
だが知っている人は一向に現れることはなかった。
「っちくしょう……斎藤の次はお前かよ」
今回は助言をしてくれる人がいない。つまり自分でなんとかしなければならないという暗示でもあった。つまり、ここで彼女の記憶があるのが俺だけに限定されていることこそがその証明である。
授業の内容が頭に入らないまま放課後を迎えた。自分以外はもう帰宅したらしいのか鞄は一切無く一人取り残されたまま机の上に突っ伏していた。
「何でなんだろうな……」
授業中、何度も居眠りをし時間を変えようと試みた。
だが、過去に戻ったところでその先の世界にも彼女はいないことになっていた。
彼女が座っていた席を眺める。俺からは右斜め前の廊下に近い場所。
そこに座っていたはずだった。だが今は空席。誰も座っていないことになっていた。
「こんな時に使えないって、ホントに使えないよな」
能力よりも自分に対して情けなさをぶつける。
彼女が座っている姿が脳裏に浮かぶことで、無意識のうちに彼女を見ていたことに気がつく。それは不条理で不合理で、どうも現実的な残酷感が残った。
太陽からの日差しを強く浴びるこの席は俺の座る方を明るく照らし、彼女の方はより暗くなる。
窓を開けているこの教室に仄かな風が入り込み、彼女の机上に睡蓮の花弁が一枚舞い落ちる。
俺は佐藤瀬名を連れ戻す。そう決意を新たにしたのだった。
救う。なんて簡単な言葉なのだろう。口だけで言えば二文字で済むことなのに、行動に移せば一日、一週間はかかる。かなわないことだってある。
俺は解決にもっとも近い方法、彼女の過去の場所を訪れることにした。
近いのかどうかは自分の独断として、これしか頼れる場所が無かった。
「なあ、今日暇か?」
俺がそう問いかけた相手は、友人オブ友人である斎藤優人。
一人だけで行動するよりかは二人で行動を共にした方がいい。今までの出来事を回想した結論がまさにこれだった。
「ああ、平気だぞ?何か用事があるのか?」
ということで、俺と斎藤とで彼女と訪れた各地を回ることになった。
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