Over the time ~時を見る~
Over the test
時間とは過ぎ去って消えてくものだと思っていた。
この日本という国は事細かに時間に手厳しいらしい。例えば学校や会議や何やらは一分遅れただけで遅刻とみなされ処罰される。中にはそれで職を失う者までいる。だが、そういった現実社会は自分にとってはそれほど苦じゃなくなった。なにせ、慣れというものがあるからな。
とまあ、こう思考するのは日常茶飯事でこんなことをしている間にも学校に到着しているのだ。
「よっ、沢田、今日も遅刻ギリギリだな」
「あぁ、寝れる限界時間まで寝るのが俺のモットーだからな」
俺――沢田時斗はその辺の男子高校生と何ひとつ変わらない一般人だ。
そして、教室で毎日初回会話を吹っ掛けてくるのは中学からの友人っぽい友人である斎藤優人だ。
大概は昨夜進めたゲームの話、観たアニメの話等、オタクらしい会話をするが今日はそうはいかなかった。電車の件があったのだ。
「そういや今日は良くないことが起きた」
「なんだ?よくないことって、寝落ちしたのか?」
「そうじゃない。リアルで人が目の前で死んだんだよ」
「……はぁ!?現実でか?」
斎藤の言葉の言い直しに何も違和感なく答えた。だがあまり大事にしたくはなかったので小さく囁く。
「あーそうだよ。人身事故だったんだ」
「っても、よく平気でいられるな。お前目の前で人が死んだんだろ?」
「ん?ああ、別に。全く知らない赤の他人だったからな」
自分で発言した言葉なのに結構薄情なことを言っているのはさておき、
「そういうものなのか?」
改めて考え直してみると印象深い出来事だったのだと思い返す。
そこでクラス担任がSHRで教室に入ってきた。
「よーし、みんな席に座れ。ショート始めるぞ」
入室したそうそう見た感じからして気が強そうなその女教師は告げた。
「今日はテストだ。それだけだ。くれぐれも不正行為だけはするんじゃないぞ」
そういや、今日はテストだったんだ。すっかり忘れていた。
隣に座っているさっきまで話していた斎藤の様子を窺うと相変わらず変わらない態度だった。
「俺はNO勉」
高校生がよく使う言葉ランキングの上位を争う言葉を吐かれ聞いてないふりをする。
仕方ない。対策していなら実力勝負でいこう。自慢じゃないが学力は中の上ぐらいだからなんとかなるだろう、そう思ってテストに臨んだ。
「終わった…………」
テストが全て解き終わったという意味ではない。テストがそもそも問題から分からないのだ。今の科目は数学。公式さえ覚えていればなんとかなる科目なのだが……
授業は寝てたので全くといって良いほど分からない。テストの前日に一夜漬けをしていることの重要さが身に染みて感じる。
だが、脳の中枢から伝達された電気信号で、今まで得てこなかったある知識を思い出す。それを目をつむりながら脳裏に焼き付ける。
数字と記号が羅列したいかにも公式と思われるそれを忘れないようにすかさずテストの空白に書き込む。
「これはこの問題で使うんじゃないか」
公式を問題番号の横に書き込むことで解答する過程を考察する。
そうこうするうちにテストが終わった。
結局テストの基本問題といわれる部分は完答した。
緊張した時間も終わりクラスの雰囲気も安堵に包まれた気がした。
その中には部分的にそうじゃないものもいて、その一人が俺に話しかけてきた。
「おい、沢田、今回のテストは絶対おかしい!なんで授業でやってない範囲まで出てるんだよ。俺はこれでも対策したんだぞ」
斎藤だった。いきなりの嘘発言は置いといて。
「そうなのか?俺は半分は解けたぞ」
「そいつはおかしい。お前は授業でしか勉強しないはずだ」
おいおい、俺でも自主学習はするぞ。…………たまにだが……
「でも分かったぞ。ひらめく感じでな」
「天才か」
斎藤とのしょうもない会話をしているのをよそにクラスで一、二位の学力王者を争う二人が話しているのが聞こえた。
『1番ってクラメルの法則?』
『ああそうだよ。3もそうだよね』
公式を黒板に書きながら議論しあっている二人をよそに話し合う。
「あいつらは予習組だな。そうと考えなきゃおかしい」
「本当に授業でやってなかったか?」
寝ていたこともあった自分の態度を見直し、◯◯に今までの授業の内容を聞き返す。
「やってない」
この日本という国は事細かに時間に手厳しいらしい。例えば学校や会議や何やらは一分遅れただけで遅刻とみなされ処罰される。中にはそれで職を失う者までいる。だが、そういった現実社会は自分にとってはそれほど苦じゃなくなった。なにせ、慣れというものがあるからな。
とまあ、こう思考するのは日常茶飯事でこんなことをしている間にも学校に到着しているのだ。
「よっ、沢田、今日も遅刻ギリギリだな」
「あぁ、寝れる限界時間まで寝るのが俺のモットーだからな」
俺――沢田時斗はその辺の男子高校生と何ひとつ変わらない一般人だ。
そして、教室で毎日初回会話を吹っ掛けてくるのは中学からの友人っぽい友人である斎藤優人だ。
大概は昨夜進めたゲームの話、観たアニメの話等、オタクらしい会話をするが今日はそうはいかなかった。電車の件があったのだ。
「そういや今日は良くないことが起きた」
「なんだ?よくないことって、寝落ちしたのか?」
「そうじゃない。リアルで人が目の前で死んだんだよ」
「……はぁ!?現実でか?」
斎藤の言葉の言い直しに何も違和感なく答えた。だがあまり大事にしたくはなかったので小さく囁く。
「あーそうだよ。人身事故だったんだ」
「っても、よく平気でいられるな。お前目の前で人が死んだんだろ?」
「ん?ああ、別に。全く知らない赤の他人だったからな」
自分で発言した言葉なのに結構薄情なことを言っているのはさておき、
「そういうものなのか?」
改めて考え直してみると印象深い出来事だったのだと思い返す。
そこでクラス担任がSHRで教室に入ってきた。
「よーし、みんな席に座れ。ショート始めるぞ」
入室したそうそう見た感じからして気が強そうなその女教師は告げた。
「今日はテストだ。それだけだ。くれぐれも不正行為だけはするんじゃないぞ」
そういや、今日はテストだったんだ。すっかり忘れていた。
隣に座っているさっきまで話していた斎藤の様子を窺うと相変わらず変わらない態度だった。
「俺はNO勉」
高校生がよく使う言葉ランキングの上位を争う言葉を吐かれ聞いてないふりをする。
仕方ない。対策していなら実力勝負でいこう。自慢じゃないが学力は中の上ぐらいだからなんとかなるだろう、そう思ってテストに臨んだ。
「終わった…………」
テストが全て解き終わったという意味ではない。テストがそもそも問題から分からないのだ。今の科目は数学。公式さえ覚えていればなんとかなる科目なのだが……
授業は寝てたので全くといって良いほど分からない。テストの前日に一夜漬けをしていることの重要さが身に染みて感じる。
だが、脳の中枢から伝達された電気信号で、今まで得てこなかったある知識を思い出す。それを目をつむりながら脳裏に焼き付ける。
数字と記号が羅列したいかにも公式と思われるそれを忘れないようにすかさずテストの空白に書き込む。
「これはこの問題で使うんじゃないか」
公式を問題番号の横に書き込むことで解答する過程を考察する。
そうこうするうちにテストが終わった。
結局テストの基本問題といわれる部分は完答した。
緊張した時間も終わりクラスの雰囲気も安堵に包まれた気がした。
その中には部分的にそうじゃないものもいて、その一人が俺に話しかけてきた。
「おい、沢田、今回のテストは絶対おかしい!なんで授業でやってない範囲まで出てるんだよ。俺はこれでも対策したんだぞ」
斎藤だった。いきなりの嘘発言は置いといて。
「そうなのか?俺は半分は解けたぞ」
「そいつはおかしい。お前は授業でしか勉強しないはずだ」
おいおい、俺でも自主学習はするぞ。…………たまにだが……
「でも分かったぞ。ひらめく感じでな」
「天才か」
斎藤とのしょうもない会話をしているのをよそにクラスで一、二位の学力王者を争う二人が話しているのが聞こえた。
『1番ってクラメルの法則?』
『ああそうだよ。3もそうだよね』
公式を黒板に書きながら議論しあっている二人をよそに話し合う。
「あいつらは予習組だな。そうと考えなきゃおかしい」
「本当に授業でやってなかったか?」
寝ていたこともあった自分の態度を見直し、◯◯に今までの授業の内容を聞き返す。
「やってない」
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