俺の恋愛を妬んで邪魔するアンチどもをぶっ◯すマンが俺って話

カイガ

19話:勝って得しない決闘なんか受けるわけねーだろ



 放課後、藍野さんと放課後デートをしていた時のこと。

 「ここにおられましたか藍野さん!」

 2人で商店街を歩いていると前方から「藍野さん」と、俺が呼んでる名称で藍野さんを呼ぶ男が現れた。
 俺と同じ黒の短髪で顔はイケメン寄り、身長も俺より少し高く見える。見た目だけなら向こうが上だと認めざるを得ない。

 「この男は?」

 藍野さんに尋ねると彼女は気まずげな反応を示していた。

 「彼は久保田辰雄《くぼたたつお》………私の、将来の婚約相手よ。………一応は」
 「将来の」

 ふと脳裏に浮かんだのは、先日藍野さんの親父、玄達さんと話した時のことだ。
 彼女には許婚相手がいること、その際俺が彼女の意思をしっかり汲んでやること、玄達さんは分かったと言ってくれたこと…。
 しかし今の藍野さんを見る限りでは、どうも彼女望んでいる展開ではない様子。許婚に対して難色を示しているように見える。

 同時に前世と似た状況を思い出して嫌な気持ちになる。あの時…前世で付き合った彼女も、許婚結婚には反対の意を表明していた。

 ひょっとすると藍野さんも…。

 「藍野さん。今すぐその男から離れて下さい。その男は危険です。あなたにもいつ牙を向けることか」

 久保田は俺を指さしていきなりそんなことを言い出した。

 「会って早々随失礼な奴だな?なんで俺が藍野さんに牙を向けることになってるんだよ、馬鹿馬鹿しい」
 
 久保田は俺に鋭い眼光を向けながら低い声音で言葉を吐く。

 「貴様……玄達さんから聞いたぞ!貴様は学校のクラスメイトに過激な暴行をはたらいたとか。彼らは今も入院していて、退院した後は退学するそうじゃないか!
 理由はどうあれ、そんな暴力で解決しようとする輩は、藍野さんの傍にいるべきじゃない!
 すぐに藍野さんから離れるんだ!」

 なるほど。やっぱり玄達さん……あのクソ親父が絡んでたか。
 俺を……藍野さんから遠ざける、いなくさせるつもりらしい。前世と同じように…。

 「一つ、間違いを正そうか。
 《《あれ》》は俺の一方的な暴力なんかじゃない。《《粛正》》だ」
 「何だと…!?」
 「あいつらが俺と藍野さんとのお付き合いについて意味不明な難癖をつけたり、醜い嫉妬を向けてきたり、挙句は手を出してまでしやがったものだから、俺はそれらに対する制裁を下しただけだ。
 多少過激だったのは認める。けどそこに俺だけ間違ってるとかの理屈は存在しないはずだぞ?
 元はと言えばあいつらが悪かったんだからな」

 俺は自分は悪くないと主張してやった。それに何の正当性など無いことは分かっている。だがそんなの知るか。
 俺は俺の恋仲アンチどもを潰す為ならどれだけ過激になろうが構わないのだからな。

 「それでもだ!俺は貴様を許さない認めない!粗暴であることに変わりはないのだから!
 そもそも藍野さんには許婚であるこの俺がいるんだぞ!?それなのに彼女の傍にいるとはどういうつもりだ!?ふざけるなよ庶民の分際で!!」

 「はぁ。出たよ、そうやって身分の違いを指摘して相応しくないだのと抜かすパターン。庶民だから何?知るかよ、お前らの都合だろそんなの。
 藍野さん、聞くけど俺は君の傍にいるべき人間じゃないのだろうか」

 久保田の怒りを無視して藍野さんに問いかける。

 「そんなことないわ。秀征さんは一緒にいて楽しい人。友達としても慕ってる。
 正直に言うけど、私…あなたとは結ばれたくないって最近強く思うようになったわ」
 「な…!?」
 「元々許婚のことはお父さんが勝手に決めてたことだったし、私は良くは思ってなかったわ。
 今私の傍にいてくれている秀征さんの方が、結ばれて良いって思ってるわ」

 藍野さんの言葉に、久保田は顔を絶望させていた。が、すぐに気を持ち直して俺に再度指を突きつける。

 「吾妻秀征!俺は貴様を絶対に認めてなるものか!俺と決闘しろ!
 俺が勝てば貴様は藍野さんの傍から消えてもらい、二度と関わらないことを誓え」

 などとまた意味不明なことをほざきやがった。

 「は?勝手に何話進めてんの?仮にそれを受けたとして、俺が勝てばお前はどうするつもりだ?」
 「ふん、万が一貴様が勝てば今まで通り藍野さんと付き合えばいい。許婚の件は消えない以上俺は将来には藍野さんと結ばれることに変わりないからな」

 こいつ頭おかしいわ。

 「馬鹿じゃねーの?それって俺に何の得があるわけ?勝っても何も得ないじゃん。
 勝って何も得ない決闘なんか受けるわけねーだろ、下らねー。誰が受けるかよ死ね」
 
 行こう藍野さん、と彼女に声をかけてその場を去ろうとする。
 しかし俺たちの周りを黒服の男どもが突然囲んだ。

 「どういうつもりだ?」
 「決闘を受けないならそれでも良い。お前が俺の部下たちに消されて終わるだけだ。元々そうするつもりだったからな。玄達さんの命令だ。
 俺は譲歩してるのだぞ?決闘を受けさえすればこいつらには手を出させない。お前は今後も五体満足で学生生活を送ることが出来る。さぁ受けるか、ここで消されるか、どっちを選ぶのが良いか分かるよな?」

 つまりは脅しているつもりらしい。こんな決闘受ける価値無いし、こいつらも余裕で蹴散らせる。
 しかし俺は我慢ならなかった。
 許婚と名乗ってるあの野郎が気に入らねー、潰したいと思わずにはいられなかった。

 「良いぜ、用はお前をここで再起不能にしてやれば良いんだろ?
 やってやるよ、決闘」

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