Fランク冒険者なのに、最強すぎませんか❓ 世界最強の魔王は、自分をFランク冒険者だと思い込んでいる⁉️
2-9.剥ぎ取り
「やるじゃない、レイっ」
「こりゃ驚いたな。これをコワッパがやってのけたとは」
駆けつけてきたアリルとピピに、ノウノが状況説明をした。説明と言っても、「お師匠さまが魔法でやっつけた」の一言だった。
「でも、ミノタウロスのときと同じで、オレはまったく覚えてないんだけどね」
と、説明を付け加えておいた。
そこがイチバン肝要なところだ。自在に魔法を使えるのだと勘違いされては困る。
「大切なのは結果よ。レイは2度も私たちを助けたんだから」
周囲に散乱しているアラクネの脚部を斬り取ることにした。
冒険者はふつう、モンスターの素材剥ぎに慣れているものだが、Fランクのオレはあまり経験がなかった。
「アラクネの場合、商品になるのは脚部よ。鎧の材料にされたり、アクセサリーに加工されたりするから」
「硬い脚をしてるもんな」
「間接のところから斬ったら、意外と簡単に取れるわよ」
と、アリルは剥ぎ取り用のナイフで、アラクネの脚の関節を切り落としていた。たしかに簡単そうに取っている。
「すごいな。アラクネと戦ったことがあるのか?」
「まさか。Fランク冒険者の私が、アラクネに勝てると思ってるわけ?」
「でも、手慣れてるから」
「よくお父さんの戦うところを見ていたからね。こういうのは知ってるのよ」
アリルに手取り足取り教えてもらいながら、やってみると意外と簡単に脚を取ることが出来た。
コツをつかむと意外と楽しい。モンスターの脚を斬りおとすのが楽しいというのもヤバいに思われるかもしれないが、これが冒険者というものだ。
「お父さんって勇者なんだよな?」
「そうよ」
「アリルが冒険者になることは、反対されなかったのか?」
「反対されたわよ。大反対」
洞窟内には、ポキッ……ポキッ……とアラクネの脚を斬りおとしていく音がひびいていた。ノウノとピピも剥ぎ取り作業をおこなっている。
「でも、冒険者になるつもりなのか? 女の子が冒険者になるっていうのは、親として賛成できないと思うんだけど」
魔法や射手ならともかく、アリルは剣士としてやっていこうというのだ。
「仕方ないじゃない。ずっとお父さんの背中を見て育ったのに、他のことなんて出来ないわ。私は勇者の娘であることを誇りに思っている。だからこそ、お父さんに恥じない冒険者になりたいのよ」
「そっか」
アリルにはアリルなりの決意があるのだろう。それをとやかく言う筋合いは、オレにはないな、と思った。
アリルは勇者の娘という矜持のために、そしてノウノは教皇に復讐するために、こうして冒険者をやっている――というわけだ。するとピピにも何か冒険者になる動機があるのかもしれない。
気にはなったが、あまりセンサクするのも無神経かもしれないので、やめておいた。
「よしっ。これぐらい回収できれば良いでしょっ」
と、アリルは布袋にアラクネの脚部を大量に詰め込んでいた。布袋の口からは、アラクネの脚が跳びだしていた。まるでイソギンチャクのようだ。
「オレのほうも、こんなもんかな」
「お師匠さま。私が持つ」
と、レイがかかえている分を、ノウノが持とうとしてきた。しかし、ノウノも自分の分をかかえている。このなかでイチバン小柄なノウノに荷物を押し付けるのは、申し訳がない。
「大丈夫だよ」
と、自分で持つことにした。
「へぇー。ノウノが自分から荷物を持とうなんてめずらしいわね」
と、アリルがノウノを揶揄するように言った。
「レイは私のお師匠さまだから。出来ることはなんでもする」
「まぁ、レイの凄まじい魔力を見ちゃったら、そうなるのもムリはないわね。良かったわね。良いお師匠さまが見つかって」
「うん」
と、ノウノはうなずいていた。
「……」
オレは口をはさむ余地がなかった。その凄まじい魔法とやらを、オレは見ていないのだ。お師匠さまと言われても困る。
「じゃあ、一度、地上に戻りましょう」
と、アリルが言った。
「こりゃ驚いたな。これをコワッパがやってのけたとは」
駆けつけてきたアリルとピピに、ノウノが状況説明をした。説明と言っても、「お師匠さまが魔法でやっつけた」の一言だった。
「でも、ミノタウロスのときと同じで、オレはまったく覚えてないんだけどね」
と、説明を付け加えておいた。
そこがイチバン肝要なところだ。自在に魔法を使えるのだと勘違いされては困る。
「大切なのは結果よ。レイは2度も私たちを助けたんだから」
周囲に散乱しているアラクネの脚部を斬り取ることにした。
冒険者はふつう、モンスターの素材剥ぎに慣れているものだが、Fランクのオレはあまり経験がなかった。
「アラクネの場合、商品になるのは脚部よ。鎧の材料にされたり、アクセサリーに加工されたりするから」
「硬い脚をしてるもんな」
「間接のところから斬ったら、意外と簡単に取れるわよ」
と、アリルは剥ぎ取り用のナイフで、アラクネの脚の関節を切り落としていた。たしかに簡単そうに取っている。
「すごいな。アラクネと戦ったことがあるのか?」
「まさか。Fランク冒険者の私が、アラクネに勝てると思ってるわけ?」
「でも、手慣れてるから」
「よくお父さんの戦うところを見ていたからね。こういうのは知ってるのよ」
アリルに手取り足取り教えてもらいながら、やってみると意外と簡単に脚を取ることが出来た。
コツをつかむと意外と楽しい。モンスターの脚を斬りおとすのが楽しいというのもヤバいに思われるかもしれないが、これが冒険者というものだ。
「お父さんって勇者なんだよな?」
「そうよ」
「アリルが冒険者になることは、反対されなかったのか?」
「反対されたわよ。大反対」
洞窟内には、ポキッ……ポキッ……とアラクネの脚を斬りおとしていく音がひびいていた。ノウノとピピも剥ぎ取り作業をおこなっている。
「でも、冒険者になるつもりなのか? 女の子が冒険者になるっていうのは、親として賛成できないと思うんだけど」
魔法や射手ならともかく、アリルは剣士としてやっていこうというのだ。
「仕方ないじゃない。ずっとお父さんの背中を見て育ったのに、他のことなんて出来ないわ。私は勇者の娘であることを誇りに思っている。だからこそ、お父さんに恥じない冒険者になりたいのよ」
「そっか」
アリルにはアリルなりの決意があるのだろう。それをとやかく言う筋合いは、オレにはないな、と思った。
アリルは勇者の娘という矜持のために、そしてノウノは教皇に復讐するために、こうして冒険者をやっている――というわけだ。するとピピにも何か冒険者になる動機があるのかもしれない。
気にはなったが、あまりセンサクするのも無神経かもしれないので、やめておいた。
「よしっ。これぐらい回収できれば良いでしょっ」
と、アリルは布袋にアラクネの脚部を大量に詰め込んでいた。布袋の口からは、アラクネの脚が跳びだしていた。まるでイソギンチャクのようだ。
「オレのほうも、こんなもんかな」
「お師匠さま。私が持つ」
と、レイがかかえている分を、ノウノが持とうとしてきた。しかし、ノウノも自分の分をかかえている。このなかでイチバン小柄なノウノに荷物を押し付けるのは、申し訳がない。
「大丈夫だよ」
と、自分で持つことにした。
「へぇー。ノウノが自分から荷物を持とうなんてめずらしいわね」
と、アリルがノウノを揶揄するように言った。
「レイは私のお師匠さまだから。出来ることはなんでもする」
「まぁ、レイの凄まじい魔力を見ちゃったら、そうなるのもムリはないわね。良かったわね。良いお師匠さまが見つかって」
「うん」
と、ノウノはうなずいていた。
「……」
オレは口をはさむ余地がなかった。その凄まじい魔法とやらを、オレは見ていないのだ。お師匠さまと言われても困る。
「じゃあ、一度、地上に戻りましょう」
と、アリルが言った。
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