Fランク冒険者なのに、最強すぎませんか❓ 世界最強の魔王は、自分をFランク冒険者だと思い込んでいる⁉️
2-3.勇者の恥さらし
「勇者の恥さらしめ」
そうアリルに声をかけてきたのは、スキンヘッドの大男だった。森で出会ったミノタウロスを彷彿とさせられる。カラダが大きいからだろうか。巨大な盾――タワーシールドと呼ばれるもの――をかついでいる。その後ろには、身の丈ほどもある大槌をかついだ少女が付いていた。
「なによ」
と、アリルがツッケンドンに応じていた。
「パーティを追放されたくせに、なんで『新狩祭』に来ているんだ。オレたちのパーティに戻してくださいって、頭を下げに来たのか?」
「残念ながら違うわ。私は自分でパーティを立ち上げることにしたのよ」
と、アリルはニオウダチになって、その男の前に立ち向かっていた。すごい体格差だった。大男の影にアリルは呑み込まれてしまっている。
「なんだ。もう一度、頭を下げるならチャンスをやろうと思っていたんだがな」
「けっこうよ。私にももう仲間が見つかったんだから」
「見たところザコばかりだな。全員Fランク冒険者とは、アリルにお似合いのパーティじゃないか」
大男はわざとらしく笑った。
その後ろに控えていた大槌をかかえていた少女も、クスクスと笑っている。アリルもさすがに赤面を隠しきれていなかった。
「そんな余裕の笑みを浮かべてられるのは今のうちよ。この『新狩祭』で優勝して見せるんだから」
「えらくおおきく出たもんだな。なら、賭けでもするか。もしもオレらのパーティよりも成績が悪かったら、裸踊りでもしてもらおうか」
「品のない男ね。私のパーティが勝ったら、なにをしてくれるわけ?」
「何もしてやらねェよ。お前のパーティが勝つなんて、そんなことあるはずないしな」
「もしも私が勝ったら謝ってもらうわ。私のことを勇者の恥さらしなんて呼んだこと。ゼッタイに許さないんだから」
「なにも間違えちゃいねェだろ。父親が最強の冒険者といわれた勇者のくせに、その娘がこんなザコじゃなぁ。勇者さまがカワイソウだぜ」
はははッ――とスキンヘッドの大男は腹をかかえると、わざとらしく笑っていた。
「今のうちにせいぜい吠えておくと良いわ」
見ているかぎり、アリルはその大男となにか因縁があるのだろう。オレはその内情を知らない。そのため下手に口を出せなかった。
だが、アリルが侮辱されるのは、何故か胸糞がわるかった。心臓のあたりにムカデが這いまわるような不愉快な感覚があった。
もしも、自分が強ければアリルへの侮辱を取り消すことが出来たのだろうと思うと、自分が情けなくなる。こっちはFランク冒険者だ。対して、大男の腰にぶらさがっている金色のカギは、Dランク冒険者のそれだ。
大男の足元に矢が1本突きたてられた。
「あんまり人をバカにしたようなことを言うておると、男の品格が下がるぞ。ハゲボウズ」
そう言ったのはピピだ。
どこから手に入れたのか、リンゴ飴をナめしゃぶっていた。
「ちッ。まぁ良いさ。『新狩祭』が楽しみだな。オレが勝ったらマジで裸踊りをしてもらうからな。覚悟しとけよ」
と、大男は立ち去って行った。
大男が消えるまでアリルはニオウダチをつづけていた。しかし不意に振り向くと、
「ピピ。やる気になってくれたのねッ」
と、歓喜の声をあげていた。
「バカを言え。ただあの男が気に食わんかっただけじゃ。ヤル気などなっておらん。ワッチは祭りを楽しむんじゃ」
「私たちも参加の受付に行くわよ。……あれ? ノウノはどこに行ったのよ」
「ノウノなら、パン屋の屋台のほうに行っておったぞ」
「また勝手にっ」
ノウノが連れ戻された時には右手に砂糖パンを、左手にはソーセージを挟み込んだパンを持っていた。そして口がパンパンにふくらんでいた。
そうアリルに声をかけてきたのは、スキンヘッドの大男だった。森で出会ったミノタウロスを彷彿とさせられる。カラダが大きいからだろうか。巨大な盾――タワーシールドと呼ばれるもの――をかついでいる。その後ろには、身の丈ほどもある大槌をかついだ少女が付いていた。
「なによ」
と、アリルがツッケンドンに応じていた。
「パーティを追放されたくせに、なんで『新狩祭』に来ているんだ。オレたちのパーティに戻してくださいって、頭を下げに来たのか?」
「残念ながら違うわ。私は自分でパーティを立ち上げることにしたのよ」
と、アリルはニオウダチになって、その男の前に立ち向かっていた。すごい体格差だった。大男の影にアリルは呑み込まれてしまっている。
「なんだ。もう一度、頭を下げるならチャンスをやろうと思っていたんだがな」
「けっこうよ。私にももう仲間が見つかったんだから」
「見たところザコばかりだな。全員Fランク冒険者とは、アリルにお似合いのパーティじゃないか」
大男はわざとらしく笑った。
その後ろに控えていた大槌をかかえていた少女も、クスクスと笑っている。アリルもさすがに赤面を隠しきれていなかった。
「そんな余裕の笑みを浮かべてられるのは今のうちよ。この『新狩祭』で優勝して見せるんだから」
「えらくおおきく出たもんだな。なら、賭けでもするか。もしもオレらのパーティよりも成績が悪かったら、裸踊りでもしてもらおうか」
「品のない男ね。私のパーティが勝ったら、なにをしてくれるわけ?」
「何もしてやらねェよ。お前のパーティが勝つなんて、そんなことあるはずないしな」
「もしも私が勝ったら謝ってもらうわ。私のことを勇者の恥さらしなんて呼んだこと。ゼッタイに許さないんだから」
「なにも間違えちゃいねェだろ。父親が最強の冒険者といわれた勇者のくせに、その娘がこんなザコじゃなぁ。勇者さまがカワイソウだぜ」
はははッ――とスキンヘッドの大男は腹をかかえると、わざとらしく笑っていた。
「今のうちにせいぜい吠えておくと良いわ」
見ているかぎり、アリルはその大男となにか因縁があるのだろう。オレはその内情を知らない。そのため下手に口を出せなかった。
だが、アリルが侮辱されるのは、何故か胸糞がわるかった。心臓のあたりにムカデが這いまわるような不愉快な感覚があった。
もしも、自分が強ければアリルへの侮辱を取り消すことが出来たのだろうと思うと、自分が情けなくなる。こっちはFランク冒険者だ。対して、大男の腰にぶらさがっている金色のカギは、Dランク冒険者のそれだ。
大男の足元に矢が1本突きたてられた。
「あんまり人をバカにしたようなことを言うておると、男の品格が下がるぞ。ハゲボウズ」
そう言ったのはピピだ。
どこから手に入れたのか、リンゴ飴をナめしゃぶっていた。
「ちッ。まぁ良いさ。『新狩祭』が楽しみだな。オレが勝ったらマジで裸踊りをしてもらうからな。覚悟しとけよ」
と、大男は立ち去って行った。
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「ピピ。やる気になってくれたのねッ」
と、歓喜の声をあげていた。
「バカを言え。ただあの男が気に食わんかっただけじゃ。ヤル気などなっておらん。ワッチは祭りを楽しむんじゃ」
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