傷痕~想い出に変わるまで~
嫉妬 3
「あの……全然覚えてないんだけど……ごめん……」
「めちゃくちゃ傷付いた。絶対許さん」
「えぇっ……」
どうしよう……。
どうしていいのかわからず黙り込むと、門倉は私を抱きしめながら耳元で小さく笑った。
「バーカ」
「……え?」
「ムカつくしショックなのはホントだけどな。おまえにあたってもしょうがねぇし……今回だけは許してやる」
門倉は笑いながら頭の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
良かった……いつもの門倉だ。
「けどその代わり……」
え、その代わりって何?!
とんでもない無茶な要求をされたらどうしよう……。
「篠宮」
「ん?」
名前を呼ばれて顔を上げると、クイッと顎を掴まれた。
頭は反対側の手でがっちりホールドされている。
「お詫びにキスさせろ」
「えっ?!」
「あいつとしてたキスよりめちゃくちゃ濃厚なやつ」
「えぇっ?!」
光としてたキスよりって何?!
「それ……嫉妬?」
「言ったな……?息できなくなるくらい激しいのしてやる。覚悟しろ」
門倉の顔がゆっくりと近付いてくる。
逃れようにも身動きも取れず、あともう少しで唇が触れそうになった瞬間、観念してギュッと目を閉じた。
やや間があって、額に柔らかいものが微かに触れた。
ん……?
おそるおそる目を開けると、門倉は笑みを浮かべて私の頭を撫でた。
「また眠れなくなったら困るから、今日は勘弁してやる。ゆっくり寝ろよ」
「う……うん……」
「眠れなかったら電話しろ。腕枕で添い寝してやる」
「それは要らないよ、バカ……」
門倉は笑いながら私に背を向けて手を振った。
「じゃあな、おやすみ」
「おやすみ……」
ドアが閉まった途端、急激に体の力が抜けて玄関に座り込んだ。
ホントにめちゃくちゃ濃厚なやつされるのかと思った……。
強引なくせに優しいんだもんな。
また門倉にドキドキさせられた……。
門倉は余裕なのに私ばっかりドキドキさせられて、なんだか悔しい。
でも……そうか、門倉も嫉妬なんかするんだ。
光としてたよりも激しいキスさせろとか……。
「あ……」
そうだ、私はまだ光に返事をしていない。
光とのことを迷っているうちに門倉からも好きだと言われて、もう何がなんだか……。
目を閉じて腕組みをしてかんがえていると、睡魔がやって来て頭がカクンと落ちそうになる。
ダメだ、今日は難しいこと考えている余裕なんてない。
とりあえずシャワーを浴びてさっさと寝よう。
なんとかシャワーを済ませてベッドに倒れ込むと同時に、枕元に置いたスマホがメールの受信を知らせた。
メールか……眠いな……どうしようか。
内容を確認して、急ぎの用件でなければ返信は明日にしよう。
眠さを堪えながら確認すると、メールは光からだった。
【お疲れ様。また仕事忙しいのかな。
次はいつ会える?少しでもいいから会いたい】
なんだか光に責められているような気がした。
昨日はやむを得ない状況だったとは言え光との約束を守れなかったし、光の顔をまともに見られる自信がなくて、次に会う約束をしなかった。
門倉との間にあったことはとても言えない。
光の気持ちに応えたいと思っていても、どうしても不安が拭い去れないのは確かだし、一緒にいると昔のことばかり思い出して、今はもう昔とは違うと改めて思うことも多い。
あんなに好きだったのにな。
5年前の傷は今もまだ癒えることなくズキズキと痛んで、つらかった記憶を呼び覚ます。
光との別れを想い出と呼ぶにはまだ早すぎる。
それなのに私の心は……。
「めちゃくちゃ傷付いた。絶対許さん」
「えぇっ……」
どうしよう……。
どうしていいのかわからず黙り込むと、門倉は私を抱きしめながら耳元で小さく笑った。
「バーカ」
「……え?」
「ムカつくしショックなのはホントだけどな。おまえにあたってもしょうがねぇし……今回だけは許してやる」
門倉は笑いながら頭の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
良かった……いつもの門倉だ。
「けどその代わり……」
え、その代わりって何?!
とんでもない無茶な要求をされたらどうしよう……。
「篠宮」
「ん?」
名前を呼ばれて顔を上げると、クイッと顎を掴まれた。
頭は反対側の手でがっちりホールドされている。
「お詫びにキスさせろ」
「えっ?!」
「あいつとしてたキスよりめちゃくちゃ濃厚なやつ」
「えぇっ?!」
光としてたキスよりって何?!
「それ……嫉妬?」
「言ったな……?息できなくなるくらい激しいのしてやる。覚悟しろ」
門倉の顔がゆっくりと近付いてくる。
逃れようにも身動きも取れず、あともう少しで唇が触れそうになった瞬間、観念してギュッと目を閉じた。
やや間があって、額に柔らかいものが微かに触れた。
ん……?
おそるおそる目を開けると、門倉は笑みを浮かべて私の頭を撫でた。
「また眠れなくなったら困るから、今日は勘弁してやる。ゆっくり寝ろよ」
「う……うん……」
「眠れなかったら電話しろ。腕枕で添い寝してやる」
「それは要らないよ、バカ……」
門倉は笑いながら私に背を向けて手を振った。
「じゃあな、おやすみ」
「おやすみ……」
ドアが閉まった途端、急激に体の力が抜けて玄関に座り込んだ。
ホントにめちゃくちゃ濃厚なやつされるのかと思った……。
強引なくせに優しいんだもんな。
また門倉にドキドキさせられた……。
門倉は余裕なのに私ばっかりドキドキさせられて、なんだか悔しい。
でも……そうか、門倉も嫉妬なんかするんだ。
光としてたよりも激しいキスさせろとか……。
「あ……」
そうだ、私はまだ光に返事をしていない。
光とのことを迷っているうちに門倉からも好きだと言われて、もう何がなんだか……。
目を閉じて腕組みをしてかんがえていると、睡魔がやって来て頭がカクンと落ちそうになる。
ダメだ、今日は難しいこと考えている余裕なんてない。
とりあえずシャワーを浴びてさっさと寝よう。
なんとかシャワーを済ませてベッドに倒れ込むと同時に、枕元に置いたスマホがメールの受信を知らせた。
メールか……眠いな……どうしようか。
内容を確認して、急ぎの用件でなければ返信は明日にしよう。
眠さを堪えながら確認すると、メールは光からだった。
【お疲れ様。また仕事忙しいのかな。
次はいつ会える?少しでもいいから会いたい】
なんだか光に責められているような気がした。
昨日はやむを得ない状況だったとは言え光との約束を守れなかったし、光の顔をまともに見られる自信がなくて、次に会う約束をしなかった。
門倉との間にあったことはとても言えない。
光の気持ちに応えたいと思っていても、どうしても不安が拭い去れないのは確かだし、一緒にいると昔のことばかり思い出して、今はもう昔とは違うと改めて思うことも多い。
あんなに好きだったのにな。
5年前の傷は今もまだ癒えることなくズキズキと痛んで、つらかった記憶を呼び覚ます。
光との別れを想い出と呼ぶにはまだ早すぎる。
それなのに私の心は……。
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