王が住む教室

文戸玲

理性



「分かってくれよ。おれだって健全な男の子なんだ。なあ,お前なら分かってくれるだろ? 見てたんだろうし」
「猿じゃないんだから,強い意志で理性を保ってよね」

 いつにも増して言い方がきつい。相当怒っている。この話をいつまでも続けていても許してくれそうにはないし,話題を変えることにした。

「そういえば,原稿だけど方向が定まってきたぞ。やっぱりあいつは使える」

 しまった,また常友に触れてしまったと後悔したが,大介もそれ以上は突っ込んでこなかった。まあ終わったことなんだ。過去は変えられない,未来を見ていこうぜ,と明るい表情で大介を見たが,あいつはまだ考え込んだような表情をしていた。


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