王が住む教室
あの日の記憶
「大介とおれが初めて出会ったのは,おれが意識不明で入院をしていた時だったよな・・・・・・」
声に出して呟いてみると,考えが次から次へと浮かんできた。大介の身体を借りているから,頭の回転も多少は良くなっているのかもしれない。
あの日,何があったんだっけ。何もやることがなくふらふらしていると,公園で何人かの中学生が集まっていて,いや,高校生ぐらいのやつもいた。日が沈んで街灯であたりが照らされるだけの薄暗い時間で,顔の表情ははっきりとは見えなかった。ただ,嫌な雰囲気だったのは見ていてすぐに察した。そういうことに対する嗅覚は人一倍強い自信がある。くだらないことを考えていたり,だれかを傷つけてやろうとするやつはそれだけで独特な,軽いんだけどまとわりつくような深いな雰囲気を持っている。
忘れかけていた記憶を,糸を手繰り寄せるようにゆっくりと思い起こしていると,そのときいた連中の顔があの時の情景とともに脳裏に照らし出された。
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