スクールカースト最下層がイケメンに魔改造されたけど、恋愛スキルを誰かください。

真曽木トウル

第50話 求む、上手なカラオケの逃げ出し方。



   ◇ ◇ ◇




「…………ひっさしぶりー!!!
 神宮寺くん!! ちょっとやけたね?」


「やっほー! サキは元気だった!?
 すっかりこっちの子と仲良くなったんだね!?」


「えっ、ちょ、新橋くん!?
 なにこのイケメン、どうしたの!?」




「……………………」




 さて、ここでみんなを呼ぶっていったら、普通、僕たちが所属しているサークルの子たちを呼ぶって思いますよね?
 まさか、なぜかこの間実施した合コンの女子メンバーが呼ばれるとか、まさか思いませんよね?
 ………そのまさかをやってくれる新橋さんなのでした。




「このイケメンは、うちの後輩で鈴鹿尋斗。
 二浪なんで俺と同じ歳なんだけど、よろしく!」


「すごいねぇ、神宮寺くんといい、どうしちゃったの新橋くんのとこ」


「日頃の行いがいいからね!」それは後輩として全力で否定させていただきたい。




 久しぶりに会った、サキさんと同じ大学の3人は、普段サークルで接する女の子たちよりも、一段華やかな印象だ。
 美醜の問題というよりも、女子力の高さがにじみ出ているというか、サキさんとおなじく、何となく『猛者もさ』な感じ。
 僕のような最底辺から見れば、そのまま前にいるだけで、内心バカにされているんじゃないかとほのかな被害妄想を抱いてしまいそうになるほどの。




(そういうこと、考えちゃダメだな)




 ―――カラオケボックスの狭い部屋のなか、鈴鹿くんを前にしてさえ、彼女たちはガッつかず、悠然としている。最初は、


(え、鈴鹿くんの神通力が通じない!?)


 とか、一瞬思ってしまった僕だけど、いやいや、その考えがおかしかったと、おもいなおした。
 24時間恋愛のことを考えている人間ばかりより、鈴鹿くんを見ても男としてじゃなく人として接することができる人間もいるほうが、希望が持てるじゃないか。
 それは、僕のような最底辺からしても嬉しいことじゃないか。


 僕は僕で、和顔愛語。優しく、親切にしないと。




   ◇ ◇ ◇




 ―――とか、言ってる余裕なくなってきたぞ!?


「………やっぱりサキ、神だわ上手いわ最高!!」
「わかる。私、サキの歌聴きに来たもん。
 歌手になればよかったのに!!!」


「新橋くんの声、いい~~!!
 どんな喉してるの!?」
「やばい、鳥肌たった!!!」


 どうしよう。ここまで歌った人、みんな上手いぞ!?


 手の中に、じんわり冷や汗が浮かんできた。
 いや、確かに、サキさんの透明感ある歌声は聞いていてめちゃめちゃ心地よくて素敵だったし、新橋さんが意外とロックな歌声がカッコよくて、お金とれるレベルだと思った。
 ほかの女性陣も歌がうまくて聞き惚れる。
 聴き手としては、全然この場にいるの満足なんです。
 聴いてるだけで満足なので、どうか、場違いすぎる僕はスルーしていただきたい。


 のだけど、主催者が新橋さんである以上、おそらくそれはありえない。どうしたら。


「……ええっと、次神宮寺ね!
 いまの歌が終わるまでに、いれて!!」


 ――――万事休す。
 この場面から、僕はいったいどうやって逃れるべきか。


 

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