スクールカースト最下層がイケメンに魔改造されたけど、恋愛スキルを誰かください。

真曽木トウル

第42話 よいこは真似してはいけません。





(何が起きた!?)




 僕は見たものが理解できず、混乱した。
 パチリ、と金具を外す音がする。




「……ああ、もう……
 こういうの、ほんと、勘弁してほしい……」




 橋元サキさんが、その綺麗な足の先を包んだベルトを外して、片足ずつ脱いでいく。
 ミュールなのかサンダルなのかパンプスと呼べばいいのか僕にはわからない、夏仕様のハイヒールが床に置かれ。
 柔らかい素足が、決してきれいとは言えない居酒屋の廊下の床を踏みしめる。


 彼女の顔に髪がかかって、表情はよくわからない。




「……橋元さん、逃げて!」




 僕が叫んだのと同時に、同級生のひとりが橋元さんに飛びかかる。
 彼女の足は逆に逃げるのとは逆に踏み込み。
 相手の顔面に、まっすぐ掌底を叩き込んだ……?


(…………!?!??)


 そのまま橋元さんは相手を掴むと、


「わぁっ!? こら、な、!??」


自分の体重を載せるように、鋭い足払いとともに背中から落とした。相手は床に叩きつけられ、声もなく、くちをパクパクさせる。橋元さんはすばやく起き上がった。




 一瞬呆けてた自分に気づいた僕は、あわてて、橋元さんの前に出る。背中で橋元さんをかばいながら、僕は改めて状況を見つめ直していた。足元に、投げられた男。持久走を走りきったあとみたいに、ひゅー、ひゅー、と、呼吸している。一方で、廊下の先で胃のあたりを押さえてうずくまる男も。




「なに、これ……」
「あ、えーと、その……」えへへ、と後ろで橋元さんがごまかし笑いしている。


 格闘技経験者?
 一度もそれらしいそぶりを見せなかったけど。
 それにしたって、今の投げ技。
 空中で相手の体を落として、地面に背中を叩きつけるような。危険すぎる。
 格闘技で、こんな危険な技、使う……?


 それでも、残る同級生はひとりだけ。
 とにかく撤収してもらわなくては。
 そう思った僕が話しかけようとしたそのとき。




「ち、く、しょう……!!!
 おい、お前ら、来い!!!!」




 のこりひとりの同級生が大声をはりあげて誰かを呼んだ。




「!!??」




 彼の声に呼応して?
 廊下の端々で、若い男女が姿を見せた。
 見覚えがある。全員、名前を知ってる。
 僕の高校の同級生たちだ。




「この、クソ女、、、、」


「……お店の人は、どうしたの。。。。」




 思わず嘆きの言葉が口から漏れてきた。
 そしてそれは、すぐに答えがわかった。
 店員さんが、止めに入ろうとしてきているのだけど、それを僕の同級生たちが拘束してる。
 なんで?
 警察沙汰になるけど、この人たち一体何してるの。




「…………なに、え、なにこれ」




 さらに、事態を混乱させる気しかしないことに。
 またひとり、廊下に出てきた人が、あっけにとられて僕の同級生たちを見ている。




「……明王寺さん、警察、呼んで!!」


「え。……いや、あの、なんで?
 キミたち何をしてるの!?」




 明王寺まほろさんの目が泳いでいる。
「だって、キミたちの役目は、そゆうんじゃなくて、橋元サキの秘密の………」


「秘密? 役目?」


 明王寺さんが、あっ、という顔をして自分の口をふさいだ。




「明王寺さん、まさか………」


 こんな、こんなときに、彼女は明後日の方を向いた。
 都合悪いことはだんまり&目をそらす癖。
 だけど、なにも、こんなときにしなくても………!!!




「僕の同級生たち、明王寺さんが呼んだんだね……!?」




 

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