スクールカースト最下層がイケメンに魔改造されたけど、恋愛スキルを誰かください。
第25話 デートとは一体どこでなにをすればいいのでしょうか?
◇ ◇ ◇
「大文字山トレイルラン!!??」
次のサークルの開始時間前に、得意顔の新橋さんからその言葉を聞いたとき、僕の目の前がぐるぐる回った。
「そうそう。トレイルランー。
百万遍から、大文字山の『大』の字の交点まで競争するの。で、別エントリーした中で一番になったら、賞品として鈴鹿と神宮寺とデートに行けます☆的な。
時期的に祇園祭とかいいんじゃない?
でさ、ほら、優勝ってことにしちゃうと、男子も多いし、女子には三条もいるし、ハードル高いかなーって」
「新橋さん………
それ、よく鈴鹿くんに提案しようと思いましたね?」
「うん。最初に言ったときは、けんもほろろに断られた!」
「…………………」
ということは、あとから鈴鹿くんがOKしたと?
そのまま断っておいてくれて良かったんだよ?
「これで、しばらくは女子が全力でトレーニングがんばること間違いなし!
ということで、よろしくね!」
よくわからない謎の上機嫌で新橋さんがつつっと向こうに行ってしまうのを見て、僕は鈴鹿くんの袖を引っ張った。
「……あのね?
いったい、どういうことか、説明してくれるかな?」
「説明するまでもないと思ったが。言っただろう、明王寺まほろに対する牽制だと。
あいつがトレイルランで最下位以外の順位を取るところが想像できるか?」
「うぐっ……いや、確かに、あの人、体力ないけど……!!」
「ついでにやる気もないからな。
これで多少は奮起するなら見直してやってもいいが、たぶんあいつには無理だろう」
「……………」
鈴鹿くん、もしかして僕のためというより、やる気ない人が嫌いなだけでは?
そういえば、明王寺まほろさんが鈴鹿くんのこと嫌いだって言ってたけど、お互いに嫌いあっていたとは。こういうの何て言うの?相嫌相憎とか?
いや、しかし、だ。そもそもの問題。
ラーメンを一緒に食べる、とかなら、まだいい。
女の子と、『デート』という名目ででかけるだと?
またしても、僕の目の前がぐるぐるする。
「……デートってさ……。
いったい、どんな格好して、どこに行って、なにをすればいいの?」
「心配するな。俺もしたことはない」
「そこはむしろやってて欲しかったけどね!?」
一体だれが来るんだろう。僕は、脳内で、サークルの中で運動の得意な女の子の顔を思い浮かべた。
筆頭は2回生の三条さんだけど、たぶんこんなふざけたイベントへの参加は嫌がるだろう。
水上さんも…運動はそこそこ得意だったと思うけど、うん、ダメだ、参加しなさそう。
他に運動神経が良かった子は……?
「あ」
「どうした?」
「そういえば、最近、橋元サキさん、来てない」
「…………ああ、そうだな」
ポーカーフェイスの鈴鹿くんが、ほんのり、奥歯にものが挟まった口調になった。
あれ? 鈴鹿くんは、橋元さんを認識していたのか?
「えっとね。橋元さんって、鈴鹿くんが来はじめた頃から、来なくなっちゃった子なんだけど……何か知ってる?」
「……知っていなくはないが、お前、自分で連絡とれるんじゃないのか?」
「え」
自分から連絡。
という発想がそもそもなかった自分に、いま気がついた。
「まさか女子に自分から連絡をしたことがないのか?」
とどめをさしてきた。
鈴鹿くん、図星。
おもいっきり図星です。
そうか……そんな受け身野郎だったのか、僕は……
真のイケメンが登場したか登場してないかに関係なく、女の子に飽きられて当然だ。。。
――――その後、結局、大文字山競争のデートのプランは新橋さんが考えてくれることになり。
トレイルラン企画で女の子たちはめちゃくちゃ燃えて、ついでに、その日のサークルはなかなか、活気がすごかったけど。
僕はといえば、反省と不安が交互に波でやってきて、ずっと使い物にならなかった。
◇ ◇ ◇
モヤモヤ悩んだあげく、僕は決めた。
好意があるわけではない。
でも、一度は僕に優しくしてくれた人だ。
優しさに、優しい言葉を返すのは、たぶん、間違ってはいないはず……。
嫌がられるかもしれないけど、なに勘違いしてんの?とか思われるかもしれないけど、一度、僕から、連絡をとってみよう。橋元サキさんに。
◇ ◇ ◇
「大文字山トレイルラン!!??」
次のサークルの開始時間前に、得意顔の新橋さんからその言葉を聞いたとき、僕の目の前がぐるぐる回った。
「そうそう。トレイルランー。
百万遍から、大文字山の『大』の字の交点まで競争するの。で、別エントリーした中で一番になったら、賞品として鈴鹿と神宮寺とデートに行けます☆的な。
時期的に祇園祭とかいいんじゃない?
でさ、ほら、優勝ってことにしちゃうと、男子も多いし、女子には三条もいるし、ハードル高いかなーって」
「新橋さん………
それ、よく鈴鹿くんに提案しようと思いましたね?」
「うん。最初に言ったときは、けんもほろろに断られた!」
「…………………」
ということは、あとから鈴鹿くんがOKしたと?
そのまま断っておいてくれて良かったんだよ?
「これで、しばらくは女子が全力でトレーニングがんばること間違いなし!
ということで、よろしくね!」
よくわからない謎の上機嫌で新橋さんがつつっと向こうに行ってしまうのを見て、僕は鈴鹿くんの袖を引っ張った。
「……あのね?
いったい、どういうことか、説明してくれるかな?」
「説明するまでもないと思ったが。言っただろう、明王寺まほろに対する牽制だと。
あいつがトレイルランで最下位以外の順位を取るところが想像できるか?」
「うぐっ……いや、確かに、あの人、体力ないけど……!!」
「ついでにやる気もないからな。
これで多少は奮起するなら見直してやってもいいが、たぶんあいつには無理だろう」
「……………」
鈴鹿くん、もしかして僕のためというより、やる気ない人が嫌いなだけでは?
そういえば、明王寺まほろさんが鈴鹿くんのこと嫌いだって言ってたけど、お互いに嫌いあっていたとは。こういうの何て言うの?相嫌相憎とか?
いや、しかし、だ。そもそもの問題。
ラーメンを一緒に食べる、とかなら、まだいい。
女の子と、『デート』という名目ででかけるだと?
またしても、僕の目の前がぐるぐるする。
「……デートってさ……。
いったい、どんな格好して、どこに行って、なにをすればいいの?」
「心配するな。俺もしたことはない」
「そこはむしろやってて欲しかったけどね!?」
一体だれが来るんだろう。僕は、脳内で、サークルの中で運動の得意な女の子の顔を思い浮かべた。
筆頭は2回生の三条さんだけど、たぶんこんなふざけたイベントへの参加は嫌がるだろう。
水上さんも…運動はそこそこ得意だったと思うけど、うん、ダメだ、参加しなさそう。
他に運動神経が良かった子は……?
「あ」
「どうした?」
「そういえば、最近、橋元サキさん、来てない」
「…………ああ、そうだな」
ポーカーフェイスの鈴鹿くんが、ほんのり、奥歯にものが挟まった口調になった。
あれ? 鈴鹿くんは、橋元さんを認識していたのか?
「えっとね。橋元さんって、鈴鹿くんが来はじめた頃から、来なくなっちゃった子なんだけど……何か知ってる?」
「……知っていなくはないが、お前、自分で連絡とれるんじゃないのか?」
「え」
自分から連絡。
という発想がそもそもなかった自分に、いま気がついた。
「まさか女子に自分から連絡をしたことがないのか?」
とどめをさしてきた。
鈴鹿くん、図星。
おもいっきり図星です。
そうか……そんな受け身野郎だったのか、僕は……
真のイケメンが登場したか登場してないかに関係なく、女の子に飽きられて当然だ。。。
――――その後、結局、大文字山競争のデートのプランは新橋さんが考えてくれることになり。
トレイルラン企画で女の子たちはめちゃくちゃ燃えて、ついでに、その日のサークルはなかなか、活気がすごかったけど。
僕はといえば、反省と不安が交互に波でやってきて、ずっと使い物にならなかった。
◇ ◇ ◇
モヤモヤ悩んだあげく、僕は決めた。
好意があるわけではない。
でも、一度は僕に優しくしてくれた人だ。
優しさに、優しい言葉を返すのは、たぶん、間違ってはいないはず……。
嫌がられるかもしれないけど、なに勘違いしてんの?とか思われるかもしれないけど、一度、僕から、連絡をとってみよう。橋元サキさんに。
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