Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す
(9)年上の女たち
「…………気遣ってくれたことには感謝するけど、転校した貴方が気にすることじゃないわ。
アンチになんて慣れてるし」
『そう?
和久さんにとって、大したことじゃないのならいいけど…。
もし、あたしがそんな風に、悪意のある人に知らないところで色々動かれてたら怖いから』
「私は貴方と同じ人間ではないでしょう?」
『いや、そうだけど……』
「用件はそれだけ?」
『えっと……うん……』
「じゃあ切るわよ」
言うなり電話を切ると、早那子にスマートフォンを返した。
「……ねぇ、ゆっちゃん。
『ありがとう』がないよ?」
「え?
ああ、スマホありがとうございました?」
珍しく咎めるようなことを言う早那子を意外に思った。
「違うよ、美湖ちゃんに対して」
「はぁ…」
そっちか。感謝はするけど、とは言ったはずだが、早那子基準でそれは『ありがとう』に達していないらしい。
「ゆっちゃん、普段、中学のみんなから情報色々集めてるじゃない。
自分の予期しないところからだって、好意からなんだし感謝はしないと」
「…好意さえあれば、なんでも感謝しないといけないんですか?」
「そうは言わないけど…次から同じことをしてくれなくなるよ?」
「そう言われても、実際私はそんな情報、求めてもいないわけですし、役に立つものでもなかったわけですし」
続けて早那子に言い返す。
「必要な情報はあれば、私が指定します。
いらない材料が増えればそれだけ判断が遅くなりますから」
自分はあくまで明瞭に答えたつもりなのに。
早那子は、ん?と、首をかしげて、うーん、と考える。
この早那子のテンポが、いつも自分に合わない。
「でもこれ、正直ピンチじゃないの?
向こうはこちらを知っててこちらは向こうを知らないの。仲間もいるかもしれない。
そこに、一人で立ち向かって、大丈夫なの?」
心配されると、責められているように感じてしまう。やや、神経質にわざと聞こえるように。
「私が求めない、無駄な助けなんか、いらないです。
私が言う通り動く駒さえあれば」
「弓名」
すると、さらに神経質な声がかぶせられてくる。りえるから。
「あんたはそういうとこが『仕事がデキル“風”』だって言ってんだ」
「…………どういう意味ですか?」
「そのままの意味。モラルとか礼儀の問題じゃない。
そんなカッコつけ、結局自分の持ってる枠や、自分の想定の範囲内の仕事しかできないってことだ。
シュウの仕事を少しでも手伝えば、すぐにわかるじゃん」
「………………!!」
何気ない言葉の中で、りえるは、一番痛いところを突いてきた。
学校の中で自由にやらせてもらってはいるが……シュウの仕事に関わらせてもらったことなど、一度もない。
同じ中学3年生の木暮美湖でさえ、AV業者から26人もの子供たちを助け出すのを朝まで手伝ったのに。
絶対、自分が関われば、他の女たちより役に立つのに。
「りーちゃん。
そこまで言うと、社会人レベルのことでしょ?
まだ中学生なんだし。
相手の気持ちを考えなきゃダメ、モラルとして、ダメなことはダメって学んだ方が良くないかな?」
「いや、中学生だからだって。
『どうして人を殺してはいけないの』とか突っ込めば大人をやり込められるとか勘違いしちゃう歳なんだよ。
感情も未成熟だし、相手の立場に立って考えるにも経験が足りない。
だから、実際に、それがどういう風に自分に返ってくるのかを考えて、ルールの意味付けを自分の中でしていけば……」
(……………………)
何やら、早那子とりえるが自分の教育方針について熱く話し合っているようだが。
……確かにこの二人が、一番、シュウとの絆が強いのだけど。
だからこそ、この二人には教わりたくない。淡々とパソコンのスイッチを落として、リビングを出ていった。
◇ ◇ ◇
アンチになんて慣れてるし」
『そう?
和久さんにとって、大したことじゃないのならいいけど…。
もし、あたしがそんな風に、悪意のある人に知らないところで色々動かれてたら怖いから』
「私は貴方と同じ人間ではないでしょう?」
『いや、そうだけど……』
「用件はそれだけ?」
『えっと……うん……』
「じゃあ切るわよ」
言うなり電話を切ると、早那子にスマートフォンを返した。
「……ねぇ、ゆっちゃん。
『ありがとう』がないよ?」
「え?
ああ、スマホありがとうございました?」
珍しく咎めるようなことを言う早那子を意外に思った。
「違うよ、美湖ちゃんに対して」
「はぁ…」
そっちか。感謝はするけど、とは言ったはずだが、早那子基準でそれは『ありがとう』に達していないらしい。
「ゆっちゃん、普段、中学のみんなから情報色々集めてるじゃない。
自分の予期しないところからだって、好意からなんだし感謝はしないと」
「…好意さえあれば、なんでも感謝しないといけないんですか?」
「そうは言わないけど…次から同じことをしてくれなくなるよ?」
「そう言われても、実際私はそんな情報、求めてもいないわけですし、役に立つものでもなかったわけですし」
続けて早那子に言い返す。
「必要な情報はあれば、私が指定します。
いらない材料が増えればそれだけ判断が遅くなりますから」
自分はあくまで明瞭に答えたつもりなのに。
早那子は、ん?と、首をかしげて、うーん、と考える。
この早那子のテンポが、いつも自分に合わない。
「でもこれ、正直ピンチじゃないの?
向こうはこちらを知っててこちらは向こうを知らないの。仲間もいるかもしれない。
そこに、一人で立ち向かって、大丈夫なの?」
心配されると、責められているように感じてしまう。やや、神経質にわざと聞こえるように。
「私が求めない、無駄な助けなんか、いらないです。
私が言う通り動く駒さえあれば」
「弓名」
すると、さらに神経質な声がかぶせられてくる。りえるから。
「あんたはそういうとこが『仕事がデキル“風”』だって言ってんだ」
「…………どういう意味ですか?」
「そのままの意味。モラルとか礼儀の問題じゃない。
そんなカッコつけ、結局自分の持ってる枠や、自分の想定の範囲内の仕事しかできないってことだ。
シュウの仕事を少しでも手伝えば、すぐにわかるじゃん」
「………………!!」
何気ない言葉の中で、りえるは、一番痛いところを突いてきた。
学校の中で自由にやらせてもらってはいるが……シュウの仕事に関わらせてもらったことなど、一度もない。
同じ中学3年生の木暮美湖でさえ、AV業者から26人もの子供たちを助け出すのを朝まで手伝ったのに。
絶対、自分が関われば、他の女たちより役に立つのに。
「りーちゃん。
そこまで言うと、社会人レベルのことでしょ?
まだ中学生なんだし。
相手の気持ちを考えなきゃダメ、モラルとして、ダメなことはダメって学んだ方が良くないかな?」
「いや、中学生だからだって。
『どうして人を殺してはいけないの』とか突っ込めば大人をやり込められるとか勘違いしちゃう歳なんだよ。
感情も未成熟だし、相手の立場に立って考えるにも経験が足りない。
だから、実際に、それがどういう風に自分に返ってくるのかを考えて、ルールの意味付けを自分の中でしていけば……」
(……………………)
何やら、早那子とりえるが自分の教育方針について熱く話し合っているようだが。
……確かにこの二人が、一番、シュウとの絆が強いのだけど。
だからこそ、この二人には教わりたくない。淡々とパソコンのスイッチを落として、リビングを出ていった。
◇ ◇ ◇
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