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Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(7)おまえらは一体なにがしたいの?

「…………は?」


 一瞬呆気にとられた『せーちゃん』だったが、いやいや、と首を横に振る。


「うちの中学の先輩なんでしょ!?
 死んだとか、あったら、学校で連絡回るはずじゃん??」


「転校の後に事故で死んだ。トラックはねられて、すごいエグいことになって。
 もと同じクラスの人とサッカー部にだけ連絡きて、みんなで通夜と葬式行ってきた。
 メチャメチャになったからって、顔も見せてもらえなかったかんね。
 ちなみに携帯もその時一緒に粉砕されたから、写真のデータも残ってない」


「………マジで?」


「その人以外の、会長をいじめてた仲間って……わかんないの?」


「ま、その人の友達調べりゃわかるんじゃん?」


「……教えてよ。その亡くなったの、なんて先輩なの?」


 『せーちゃん』は、じっと元カレを見つめた。
 元カレの言葉はしばしば、本気か冗談かわからないときがあった。
 だが、たとえ気まぐれで信頼できなくても、その先輩について教えてさえもらえれば、こちらで調べることができるはずだ。




「……お前らは、さ」


 ふと、元カレは、『せーちゃん』たちを見回して言う。


「一体、最終的に何がしたいの?」


「は?」


「別にさ、警察に捕まってもいいから会長殺したいとかじゃないんでしょ?
 会長がムカつくから嫌がらせしたいの?
 それとも、今やってるいじめの、邪魔をされないようにしたいの?」


「…………?
 そんなん、どうだって……!!」


「そもそも石神井さん、だっけ?いじめてどうしたいん?
 転校させたいの?
 自殺させたいの?
 都合よくずっと自分のサンドバッグになってて欲しいの?
 なんかのきっかけでニュースになったら、今どきあっという間にいじめのリーダーって名前と顔と住所ネットに晒し上げられて、完全に人生終わるじゃん?
 お前、それぐらい、想像つかない?
 自殺させない対策でも練ってんの?
 会長、石神井さんちに時々見舞いに行ってるらしいよ。
 お前ある意味、会長に助けてもらってるかもって、考えないのかよ」


「……あんた、どっちの味方なんだよ……?」


「じゃあおまえだけに訊く。おまえは、なにがしたいの?」


「……………」


 『せーちゃん』はしばし、考え込み。
 元カレは、それを辛抱強く待った。
 しびれを切らした友達たちが『せーちゃん』に話しかけようとしても、元カレはそれを目で制した。


「……………」


 それを感じ、じりじりと焦りながら、『せーちゃん』は考えて考えて、ようやく顔を上げた。


「あんたに……会長を……」


「ん?」


「……いや、会長に、この学校からいなくなって欲しい」


「えっ………ちょっと、そんなおおごとに!?」
「止めなよ、生徒会の仕事誰がすんの!?」


 取り巻きたちは慌てるが、元カレは平然と、『せーちゃん』の希望を受け止めた


「なるほど、それは、無傷で転校するってのもありなんだな?」


「うん、あり。とにかく、会長がいなくなることが一番」


「ふーん…わかった。
 じゃあ、やることとしては……」


「けど」


 腑に落ちていない顔で、『せーちゃん』は問う。


「あんたは会長狙ってんのに、転校しちゃっていいの?」


「ん?
 転校で弱ってるとこ俺が口説きにいけばいいんじゃないの?」


「…………そう?」


「うん、そうじゃん?」


「だったら、いーけど」


「…うーん。じゃ、とにかく、会長の身辺と昔を調べる感じだな?」


「う…ん。
 とにかく、アイツの弱味を握る。
 で、脅して転校…?」


「公立なんだし転校させるんなら親動かさないと無理だろ? そこはどうすんの?」


「ああ、そうか……」


 置いていかれている取り巻きたちは、不安げに顔を見合わせている。


 そもそも、彼女たちは、自分がいじめられないようにより強い者にくっついて身を守りたかっただけだし。


 ついでに毎日まいにちたまっていくストレスをちょっとでも解消したかっただけだ。


 部室棟の裏で画策された、こんな大それた企みがうまくいくとも思えない。


 攻撃するターゲットは自分たちより弱い者に限るのに……。






「生徒会長の弱味を知りたいの?」


 背後から、涼やかな女の声がかかった。


「!?」


 こえに皆が振り返る。


 いつの間に現れたのか。
 そこには、一人の美しい少女が立っていた。


「……誰、あんた」


 『せーちゃん』が上ずった声をあげた。


 明らかにここの中学の生徒ではない。
 高校生ぐらいだろうか?
 少女は優しげに微笑んでいるのに、どこか気圧されるものがある。


 長い黒髪に眉のあたりで切り揃えた前髪。黒目がちで長いまつげの目。
 ぬけるように白い肌。すらりと細い手足。


 どこかの制服のような白いカッターシャツにプリーツスカート。
 そう、完璧な清純派アイドルのようだ。いかにもな記号で埋められすぎているところが。


「…あんたが、知ってるっていうの?」


「ええ」


 胡散臭いんじゃないかコイツ、という目線を向ける元カレを尻目に、『せーちゃん』はしばらく考えた。


「わかった、すこし話を聞かせてよ」
「いいわよ、私ね………」


 悠然と美しい笑みを浮かべながら、美少女は名乗った。


「六角一果、っていうの」




   ◇ ◇ ◇

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