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Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(5)仰せのままに、王子様。

   ◇ ◇ ◇


「『和久弓名呪殺会』?
 ああ、最近、できたスマホサイトでしょう?」




 目の前で事も無げに言う生徒会長に、最早眼鏡を外したシュウは、呆れた視線を向ける。




「存在を知ってたのか」


「そうね、情報提供者には事欠かないから。
 私に恨みを持つ、うちの中学のコが作ったんでしょうね。
 たしかに最近、ダミーの携帯宛に、イタ電と嫌がらせメールが増えたわね」


 図書館などではなく。
 九鬼邸マンションの2階にあるこじゃれたカフェで、シュウと生徒会長はコーヒーを飲んでいる。彼女もまた、九鬼邸の住人だった。


 一緒に住んでいるのだから、確かに家で話すのが最も安心なのだが、それでも同居人たちに聞かれたくないこともある。




「それは、俺に報告すべき案件じゃないのか?」




 シュウの言葉に、こちらを責めるニュアンスを感じ、会長はシュウの無表情を観察した。




「……どうして?
 別に貴方は私の主人や上司ではないでしょう?」




 会長は、慎重に言葉を選びながら拒否する。




「生徒会活動や、おまえ個人でやっているいじめ対策は知らない。
 だが、おまえへの嫌がらせが探りを入れてくる方向に進めば、俺たち全員にとって面倒なことになる」


「私、そんなヘマしないわよ」


「おまえの能力がどうかはともかく、ヒューマンエラーは起きる前提で対策を練るものだ。ただでさえ、おまえは敵が多い。万一のためにきっちり情報共有しろ」


「………………仰せのままに、王子様」




 自分こそ、好きで首を突っ込んでヤクザや武装集団と戦ってるくせによく言うわね、と、心の中でため息をつく。
 それ以上何も言えないのは、惚れた弱みというやつだ。




「ただ、どちらかというと私よりも危ないのは貴方かも」


「え?」


「……たまにいるのよね。
 九鬼くんと付き合ってるの、九鬼くん彼女いるの、ってしつこく聞いてくる女子」


「俺の女関係がどうだろうと、興味を持つやつがいるのか?」


「……ええほんと。
 なんで需要があるのか不思議だわ」




 確かに、顔は悪くないかも知れないが、性格の悪さが普通の女の子の許容範囲を越えている。
 少女マンガに出てくるのだという意地悪男子キャラと違って、こちらに恋してはくれないし。


 そんな男に恋して、せいぜい当て馬どまりの言動でうっとうしく確認してくる同級生女子たちが、哀れでならない。
 まぁ自分も同じなのだけど。
 どうしてこんな相手に恋をして、一緒に住んでいるのにその感情は冷めてくれないのか。自分でも持て余す。ずっとこの距離で顔を見つめていたい。




「盗聴する奴の心当たりは?
 呪殺会か……今お前が調べているいじめの関係は?
 まだ首謀者が掴めないのか?」


「それが……テニス部2年生が起点になっているのはわかったんだけど、……加担している人が多すぎて。
 まだ誰がリーダーなのか絞り込めていないのよね」


「全員潰したら1個クラスがなくなるような状態……か?」


「人数的にはまさにそんな感じね。
 私は最悪それでもいいんだけど、レイリさんが、それはいじめられてる子が普通の学校生活に戻れなくなる、余計につらい思いをするかも……って言うから 」


「まぁ、レイリは職場いじめとセクハラ問題のエキスパートだからな」


「それなら、いじめのリーダーをスケープゴートにして排除して」


と、ほうきで掃くように手を動かしながら会長はつづける。


「それで、いじめを収めるのが一番でしょ。
 ゴールが見えていることだし、リーダーが突き止められれば早いから。そこまではやらせてくれないかしら?」


「……了解。じゃあ、この話はこれで終わる。頃合いを見て、授業中の時間に盗聴機は外させておくから、ともかく『呪殺会』メンバーの動きには注意しておけ」


「大丈夫。いざというときはトカゲの尻尾みたいに切っていただいて結構よ」




 自分自身をあっさりと突き放した会長に、シュウはこの上なく冷たい目線を投げて、立ち上がった。


 先に家に帰ってしまうのかと思いきや、まだ座っている会長を見下ろして。




「……俺は、他に真似できないスタンドプレイで高い成果をあげている女性を一人、知っているけれど。
 おまえには彼女に比べて、足りないものが多すぎる」




と一言、投げた。


 ぴくり、と、会長の眉が動いたのを知ってか知らずか、その時にはシュウはきびすを返して歩き出していた。


   ◇ ◇ ◇

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