Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す
(4)キモい方向には信用できる情報源
◇ ◇ ◇
「……あの能面女……」
神楽坂中学校、テニス部の部室。
二つくくりのお下げ髪の少女『せーちゃん』が、イヤホンに手を当てながら舌打ちする。どうやらその髪型は、部活に合わせてのものらしい。
「なに?
盗聴器、なんかいいネタ拾えた?」
「生徒会室で彼氏とエロいことしてたとか…」
期待をこめてこちらを見る取り巻きたちに、『せーちゃん』は強く首を振ってみせた。
「違う。全然違う!
あの能面ビッチが、勉強をエサに九鬼先輩に近づいてるだけだから」
「九鬼先輩?って?」
「ほら、3年の帰国子女かなんかの眼鏡の…」
「ああ、意外と小さい…」
『せーちゃん』ににらまれて、少女たちは口をつぐんだ。
生徒会長と同じクラスの九鬼修弥が一緒にいたとか、付き合っているらしいという噂は、去年辺りから時々、現れては消えていた。
成績は不動の学年一位の上、すらりとスタイルのいい、美人の生徒会長と、きつい眼差しながらミステリアスで密かにファンも多い九鬼修弥とは、お似合いに見えたのだろう。
そして『せーちゃん』はそれを、生徒会長が九鬼修弥に無理矢理近づいているのだと主張しつづけていた。
「……ところで、会長がいついじめられてたか、調べられたの?」
「うん、それが、同じクラスだったことある先輩は結構いたよ。でも、ずっと今みたいな女王様だったらしいんだよね」
「え?」
『せーちゃん』は首をかしげた。
「1年の頭にちょっと孤立しかけたけど、夏休み明けに九鬼さんが転校してきてから、なくなったって」
「何人かのセンパイに聞いたから、あってるはず。会長がそんなにひどくいじめられてたって、どこ情報?」
「元カレ」
「どの?」
「一番最近の」
「そいつ、信用できるの?
振ったあとも復縁したがってキモかったって言ってたじゃん」
「キモいよ? キモいけど、キモい方向には信用できるっていうか…」
「なにそれ?」
「アイツ、和久が副会長だった時から大ファン公言しててさ。
元々私、それにムカついたから、気のあるふりして落としてやったんだよ。
そしたら、色々と白状してきて」
「なんて?」
「和久が気になりだしたきっかけ。
前に、ある男子のセンパイに、こっそり打ち明けられたんだって。
そのセンパイは、昔、仲間と和久会長いじめてて、それが、どんどんエロい方に加速して、毎日毎日エロいことしてたんだって。
アイツは、その『証拠』写真も見せてもらったし、和久がそんな目に遭ってるのを想像してオカズにしてたって」
「……キモ!」「キモイ!究極にキモイ!!」
「……じゃあ、
その元カレに詳細聞いたらいいんじゃないの?
それで、『証拠』が手に入るんなら、和久会長の弱み握れるよね?」
「アイツに?私が聞くの? やだよあんな変態……!」
『せーちゃん』はいきなり身震いして首もぶんぶん横に振る。
どうも、人はゴリゴリ傷つけても、自分が身を削る覚悟はないらしい。
「……じゃあ、元カレの言ってたセンパイだけでも予想できないの? この辺かなって」
「えー……知ってる人いないし」
「じゃ、元カレに聞くしかないんじゃない?」
「…………う」
『せーちゃん』は顔をしかめ、しばらく逡巡していたが、そのうち覚悟を決めたように口を開いた。
「……誰か、ついてきてくれる?」
◇ ◇ ◇
「……あの能面女……」
神楽坂中学校、テニス部の部室。
二つくくりのお下げ髪の少女『せーちゃん』が、イヤホンに手を当てながら舌打ちする。どうやらその髪型は、部活に合わせてのものらしい。
「なに?
盗聴器、なんかいいネタ拾えた?」
「生徒会室で彼氏とエロいことしてたとか…」
期待をこめてこちらを見る取り巻きたちに、『せーちゃん』は強く首を振ってみせた。
「違う。全然違う!
あの能面ビッチが、勉強をエサに九鬼先輩に近づいてるだけだから」
「九鬼先輩?って?」
「ほら、3年の帰国子女かなんかの眼鏡の…」
「ああ、意外と小さい…」
『せーちゃん』ににらまれて、少女たちは口をつぐんだ。
生徒会長と同じクラスの九鬼修弥が一緒にいたとか、付き合っているらしいという噂は、去年辺りから時々、現れては消えていた。
成績は不動の学年一位の上、すらりとスタイルのいい、美人の生徒会長と、きつい眼差しながらミステリアスで密かにファンも多い九鬼修弥とは、お似合いに見えたのだろう。
そして『せーちゃん』はそれを、生徒会長が九鬼修弥に無理矢理近づいているのだと主張しつづけていた。
「……ところで、会長がいついじめられてたか、調べられたの?」
「うん、それが、同じクラスだったことある先輩は結構いたよ。でも、ずっと今みたいな女王様だったらしいんだよね」
「え?」
『せーちゃん』は首をかしげた。
「1年の頭にちょっと孤立しかけたけど、夏休み明けに九鬼さんが転校してきてから、なくなったって」
「何人かのセンパイに聞いたから、あってるはず。会長がそんなにひどくいじめられてたって、どこ情報?」
「元カレ」
「どの?」
「一番最近の」
「そいつ、信用できるの?
振ったあとも復縁したがってキモかったって言ってたじゃん」
「キモいよ? キモいけど、キモい方向には信用できるっていうか…」
「なにそれ?」
「アイツ、和久が副会長だった時から大ファン公言しててさ。
元々私、それにムカついたから、気のあるふりして落としてやったんだよ。
そしたら、色々と白状してきて」
「なんて?」
「和久が気になりだしたきっかけ。
前に、ある男子のセンパイに、こっそり打ち明けられたんだって。
そのセンパイは、昔、仲間と和久会長いじめてて、それが、どんどんエロい方に加速して、毎日毎日エロいことしてたんだって。
アイツは、その『証拠』写真も見せてもらったし、和久がそんな目に遭ってるのを想像してオカズにしてたって」
「……キモ!」「キモイ!究極にキモイ!!」
「……じゃあ、
その元カレに詳細聞いたらいいんじゃないの?
それで、『証拠』が手に入るんなら、和久会長の弱み握れるよね?」
「アイツに?私が聞くの? やだよあんな変態……!」
『せーちゃん』はいきなり身震いして首もぶんぶん横に振る。
どうも、人はゴリゴリ傷つけても、自分が身を削る覚悟はないらしい。
「……じゃあ、元カレの言ってたセンパイだけでも予想できないの? この辺かなって」
「えー……知ってる人いないし」
「じゃ、元カレに聞くしかないんじゃない?」
「…………う」
『せーちゃん』は顔をしかめ、しばらく逡巡していたが、そのうち覚悟を決めたように口を開いた。
「……誰か、ついてきてくれる?」
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