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Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(15)必ず終わりにしてみせる。

(まぁ、これでまたひとつ……人身売買に関わる組織を潰せたのか)


 冷酷無慈悲の上、言動に優しさがまるでないあの少年がやってのける“正義”……というか“成果”は覇華も否定できなかった。


(相当危なっかしいけど…)


 それだけが唯一の彼への信頼か。


「あ、そう言えば、あの女子高生……無罪放免になったらしいですよ」


「…………え?」


「彼女が黙秘している間に、六角組の組員たちがことごとく彼女の関与を否定したらしいです」


 がばり、と覇華は跳ね起きる。


「奴らは口をそろえて言ったんだそうです。
 いくら組長の血を引くといっても、女を頭にいただくことなどあり得ないと。
 都合が良かったので、子供の世話をさせていたに過ぎないと」


「ちょっと待って。
 どうして、それを皆が信じたの?」


「普段牧ノ瀬警視は極道を相手にしていないので、感覚が掴みにくいと思いますが……
 極道に、親父や兄貴と呼ばれる者はいても、お袋や姉貴はいないでしょう。
 その絆は血の繋がりにさえ、たとえられるけれど、女はそこには入れてはもらえないんです。
 極道の常識として、女が上に立つなんてあり得ない。ましてや女子高生を頭に頂くなんて。
 警察の中でも極道に慣れてる連中は、そう判断したんでしょうね」


 どこか苛立たしげに松山は舌を打ちながら言った。


 コワモテぞろいの組対課の中で、一人だけ女の自分はどうしたって一人前として扱われないのだと愚痴を言っていたことがある。


 自分の立ち位置に、重ねているのかもしれない。


(だからって…………)


 そう。だからと言って、彼女の罪が裁かれないことなど、あってはいけない。


 逮捕された人間が、また捕まるとわかっていて何度も何度も手を出してしまうほどに、実写児童ポルノという“商品”は儲かってしまう。


 “殺人犯より死刑にしてほしい”


 量刑的には無理なのはわかっている。
 だが、危険すぎる。
 こどもの性をくいものにする人間を野に解き放つのは、危険すぎる。




『子供にだって、体を売って働く権利はありますよ』




 しれっと、恐ろしい言葉を残していった彼女が、再びこの世界に戻ってこないとは限らない。
 いや、戻ってくる気がする。
 なかばそれがこどもたちのためだと自分でも考えているように、覇華には見えた。


 それに、六角一果は、九鬼修弥を深く恨み、命を狙った。
 資金と人員さえそろえば、またシュウを狙ってくるのではないか。




「それで……彼女は、どうなったの?」


「静岡の親戚のところに一旦預けられるそうです。その先はまだ……」


「…………そう」


 一見高校生には遠い距離に思えるけど、新幹線を使わなくても簡単に東京に出られる場所である。


「――――――絶対に、逃さない」


 知らず拳を握り、覇華はつぶやいていた。


「何度戻ってこようと、何回でも捕まえて、必ず終わりにしてみせる」








 それが私が、警察官になった理由だから。








第三章 了

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