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Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(14)14歳の決断

   ◇ ◇ ◇


「……つまり、牧ノ瀬警視のおかげで、どこぞの放蕩ボンボンらしい精子脳男の魔の手から、子供たちは救い出されたわけですね?」


「んー。なんか、重大な事実誤認がある気がするんだけど……」


「そんなこと言っていられる場合ですか! 小学校入るまえの子供がハーレム入りなんて、冗談じゃ済まされないですよっ! イスラム圏でもありえないんじゃないですか!?」


「……だから、いわゆるイスラム文化の『ハレム』はもともとは、単なる女性と子供の住む空間てことで……」


 7日後。


 合同捜査本部の置かれた埼玉県警本部の休憩室で、靴を履いたままソファに横たわって仮眠をとりかけの覇華は。


 手伝いとしてやってきている、西東京署の松山刑事に眠りを邪魔するがごとく話しかけられて、明瞭に答えられずむにゃむにゃとしていた。


「……大体、女子中学生を既にハーレムに入れてるし。ぜったい相当なロリコンエロ親父ですよね!?」


「……松山さんは、その、協力者には会わなかったんだ?」


「会ってない……と思いますよ。会っていたら横っ面張り倒していると思います」


「ま、まあまあ……」(会わなくてよかった、ホント)と心中、覇華はつぶやいた。


「木暮美湖ちゃんは今回の件で、妹たちと一緒に住めるように、今まで拒んでいた祖父母と和解してそっちと住むようになったんだから、まぁ落ち着くところに落ち着いた、ような」


「ほんと、いたいけな女子中学生を騙すなんて、最悪ですよね……」


 松山が話を聞いちゃいねぇ。
 ため息をつきながら、覇華は、美湖が数日前に見せた笑顔を思い出していた。


 六角組の元組員たちの摘発後、すぐに両親は見つかったものの、監禁のために薬物を打たれており、美湖の妹弟たちを育てられる状態ではなかった。


 それを知った美湖は、すぐさまシュウを介して祖父母に連絡をとった。


 一緒に住むことを打診されながらも、反発して拒んでいた相手である。母親に美湖との縁を切らせたという恨みもあったらしい。


 なのに、妹弟たちをその背に負い、美湖は、そんな自分の恨みつらみなどまるで卑小なことだと腹をくくったようだ。


 祖父母に会いに行き、散々、罵倒やら嫌味やらを言われた挙げ句に、それでもまるまる2日とにかく粘って、最終的にはみなきょうだいそろって引き取ることを認めさせたのだ。


 美湖の母が再婚した先で子供が産まれず、他に孫と言える存在がいなかったこともこの際プラスに作用したのであろうか。


 お世話になりました。


 きょうだいたちと一緒に祖父母のもとに発つ前に、美湖は警視庁にあいさつにきて、覇華に深々とお辞儀をした。


 正直覇華には、美湖の祖父母が子供たちを引き取るのに適切な人々であるとは思えなくて。


 警察のほうで、施設なんかを探すこともできるし、都内でも一緒に住めるかもしれないのに、お祖父さんたちのところでいいの?


 そう、問いかけてみた。


 美湖は静かに微笑んで、言った。


『もちろん、きょうだいたちのためには、世間にわかりやすく説明できる、血縁や親族っていう身元で育つべきだって判断したのもあります。
 おじいちゃん、おばあちゃんには……絶対、認めさせてみせます。
 みんな一緒なら負けずに闘えるから』


『それに……気づいたんです。
 シュウくんが、あたしなんかには到底理解できないほど先を走っていることと、今はシュウくんにとってお荷物でしかない自分に。
 これじゃシュウくんの前に、対等な存在として立つことは何年たってもできないって』


『大それた望みかもしれないけど、あたしは、いつかシュウくんが惚れてくれるような女性になりたいです。
 あのマンションのなか、もうみんないなくなって、二人だけで住んで、あたしだけを見てくれるような、そんな存在に。
 ただシュウくんのそばでシュウくんと同じものを見て体験して生きているだけじゃ、シュウくんに何か与えられる人にはならないじゃないですか。
 それじゃ、早那子おねえちゃんやりえるさんや、あそこにいるたくさんの女の人たちには絶対勝てない。
 ……だから。
 シュウくんから離れるんです。
 祖父母のもとで、シュウくんが知らないものを見て、シュウくんが知らないことを学んで。
 その時間に、望みを賭けるんです』


 そう言う美湖に、自分の連絡先は渡し、何かあれば必ず連絡をしてほしいと念を押した覇華だったが………何度も考えてしまう。
 愛しているから今は離れる、という選択は、若さゆえなのか、覇華が想像もつかないほどの覚悟なのか。
 そう、美湖が考えてしまうほどに、女性を惑わせ惹きつける魅力が、シュウにはあるのだろうか?

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