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Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(10)壊れかけの美少女

「では、木暮莉乃の両親はどこに?」




 すぐに感情を顔の中に隠してしまったシュウが問いかけた。少女は虚を突かれたような表情になったが、すぐにまた取り繕うような笑みを浮かべる。




「さぁ?私には……」


「木暮莉乃の写真に『美湖』の名前をつけたのは、両親ですか?」


「さ、さぁ…」声が一瞬震えた気がした。


「違いますね」シュウは畳みかける。


「そもそも木暮美湖の両親は、本人に対して後ろ暗いところがある。己の罪を忘れたい、あるいは逃げたい。だから、わざわざそれを蒸し返すような名前を使う理由がない。
 では誰が、木暮莉乃の姉の名を知っていたのか?
 どうしてわざわざ姉の名をつけ、撮影からたった7日で、一介の男子中学生が見つけ出す程に広めたのか?
 なぜファイルの作成者名にまでその名字を入れたのか?」


 言葉をきって、シュウは少女を見据える。


「……よほど、おびきだしたかったんでしょうね。木暮美湖と、その庇護者を」


「あの。何のことをおっしゃっているのか…?」


「この俺が関係者の顔ぐらい覚えてないと思いましたか?
 元・六角組組長の娘、六角一果さん?」


 ガタっ、と音を立て、目の前の少女が立ち上がった。
 うってかわって、シュウを鋭い目で睨み付けている。ついさっきまで作りもののように綺麗な笑顔だった人が、一瞬で、まるで別人に変わったみたいだ。




(六角組……って?)




 そういえば、シュウの家にきて少したったときに聞いた。
 美湖を海外に売ろうとした人身売買業者の後ろには、六角組という名の小さな暴力団がいて、摘発とともに壊滅したと。


 組長はじめ主だった幹部はもう捕まっているはずだと。




(この綺麗な人が、そこの組長の娘さん?)




「拉致した女性たちはともかく、借金負わせて買った女性たちについては、あなた方の手元に名前と身元のリストぐらいあったんでしょう?
 この建物や子供たちは顔見知りの業者のものといったところで。
 本当なら俺たちが、木暮の妹の捜索を開始した動きを突き止め、もっと有利な場所で、もっと人員を確保して、俺たちを拘束するつもりだったとかでしょうか」


「……この建物と子供たちは、この間捕まった、うちの提携業者が副業でやっていた派遣業のものよ」


 髪をかきあげ、低い声で六角一果が言う。


「名目はジュニアアイドルの芸能事務所、別の住所が登録されていた。
 その関わっていた大人たちがみんな捕まって、…罪を重たくしたくなかったんでしょうね、誰一人ここのことを警察に言わなかったのよ。
 私たちが見つけたときには、子供たち、まるでブリーダーに捨てられて檻の中で死んでいく犬たちみたいに山奥で干からびかけてたわ。
 あんたのせいでね」


「そうですか。よく言われます」


 シュウはまるで動揺もせず言う。


「なるほど……だから、大人もいないのに子供たちがみんな従順にあなたに従っているんですね。
 あたかもあなたが言った、『本人の意思』のように見える」


「『本人の意思』よ。
 ……それにしても、私がおびきだしたかったって言ったわね。
 じゃあ、私が、あんたをおびきだしてどうしようとしてたっていうわけ?」


「だからいま、あなたはさりげなく、与太話で俺たちを引き留めているのでは?」


 はっ、と、少女が目を見開く。


「俺たちが邪魔ならばなんとか追い返すでしょう。
 一番簡単な方法は木暮の妹弟を俺たちに返して、俺たちが警察に駆け込むであろう間に姿をくらますとか。
 やりようはいくらでもある」


「……………」


「六角組が潰れて、やはり人員不足なんでしょうね。
 ここに常駐しているかつての六角組の組員はいなくて、おそらく、先ほどあなたがこの部屋に入ってくる前に召集をかけた」


「そうね。その通りよ。
 私はあんたに制裁を加えたい。
 私もヤクザの娘だから、残酷な殺し方なんていくらでも思い浮かぶけど。人はいるに越したことはないもの。
 けれど、そこまで読んでいて、なんであんたは、女の子を連れて、まだここに留まっているのかしら?」


「もちろん、交渉をしたいからです」


「………………バカじゃないの!」


 一果が急にヒステリックに叫んだ。

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