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Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(7)真夜中のこどもたち

   ◇ ◇ ◇


「……既に結構な深夜だけど……、大丈夫?」


「さすがにそろそろ来ますね」


「……ん……」




 張り込みで寝ないことには慣れている覇華に対して、中学生二人はそろそろ、車の後部座席でうつらうつらし始めている。


 覇華の部下の手を借り、首都圏の廃校のなかから外観・背景の似ているものをピックアップしてもらった。
 そこまではよかったものの、都心に近い順から既に三件あたって、まだそれらしい場所には当たらなかった。


 二人は中学生なので、車の運転はずっと覇華がやっているけれど、それでも何時間も乗り続けていれば、かなり疲れるに違いない。




「九鬼くんのお友達の皆さんからも連絡はまだないね」


 ……ちなみに、何人かの九鬼邸の女性たちや、シュウの部下にあたる者たちも、それぞれ手分けして都心から放射線状に、怪しい廃校を当たっていっている、という。


「もっと廃校の外観がネットでわかればいいんだけどね。
 次で一旦今日は終わりにしようか」




「そんな、まだまだ行けるもん!終わりになんてしないで!」




 目を見開いて覇華にくってかかろうとする美湖に、


「お前の運転でか?」


とシュウが冷や水のような一言をぶっかける。


「…………!!」


「車の運転は神経も気力も使う。休憩なしでずっと走ってきた牧ノ瀬さんに、これ以上無理させるわけにはいかないだろう?」


 冷静にさせようとしての一言なのだろうけど、美湖の顔から血の気が引き、次には真っ赤になり、今にも泣きそうな顔になった。
 ……シュウの、正しいのだけど追い詰める口調は何ともきつい。


「次で終わりね」


 覇華は言った。


 嫌われるのも警察官の仕事である。業務に支障が出ないうちは。
 だが往々にして現場では、警察官への反発が事態を悪化させることがある。


「美湖ちゃん」


 運転中なので目を見ては話せないけれど。覇華は続ける。


「……話、したよね。たとえもし業者の施設を突き止めたとしても、そこで決して相手に気取られることはしてはいけないって。
 子供たちの身の安全を確保しない限りは、危険すぎる。連れ去られたり、殺されたりもありうるから」


「……はい」


「確認しだい所轄に連絡とって人員回してもらおうと思うけど、人が足りなければ、人員のそろう朝まで待つこと。
 それは納得してくれるね?」


「…………はい」


 妹(もし一緒にいれば弟たちも)を危険にさらさないため、ということはわかってくれたようだ。


「次の学校はそろそろなんだけど……
 なんか、あの電気がついているところかな……」


 上り坂の暗い夜道を上がっていくと、山とも言えそうな丘の上に、開けたところにある学校らしい建物が見えてきたところで、覇華は車を止めた。


 エンジンを切ってライトも消してしまう。


 校門まで、数十メートル。
 闇に目が慣れたところで、身を隠せるルートを確認する。


「……ずいぶん、遠くない?」


 美湖が不安そうな声を上げた。
 覇華はそれには答えない。


 この深夜に電気がついている上に、今まで回った学校のなかで一番、動画のなかに出てきた学校に似ている。


 今までの学校は可能性を潰していくだけだったが、今回は非常に有力だ。


「……二人は、ここで待機してもらえる?」


「え……」


「わかりました。確認できましたら携帯にご連絡いただければ」


 なにも言わなくてもあっさりシュウは察したようで。


 覇華は美湖をシュウに任せて車を出た。


 既に着替えていて、いつもの防刃加工の革パンツに防刃ウェアを着込んでいる。戦闘仕様の格好だ。


 監視カメラなどがないか目を配りながら、校舎の周りの塀を確認し、校舎にいるであろう人間の死角になる角度から裏へと走り込む。


 本当なら警官の相棒が居れば良かったのだが、もう一人いれば、確実にシュウと美湖は帰されていただろう。いや本来なら二人は帰すべきなのだけど。


 覇華は裏の塀に懸垂のごとくぶら下がりながら、左右目を走らせる。


 間もなく建物のなかに、子供たちの姿をとらえた。




(………………?)




 覇華は内心首をかしげた。


 子供たちはまるで合宿のように……教室とおぼしい場所に布団を敷いて。


 見張りのような、少数の子供を除いて、煌々とした明かりの下で、行儀よく眠りについている。


 子供たちは男女半々ぐらいで……小さい子は3歳ぐらいから、大きい子は中学生ぐらいまでが、居る。


 …………そして。
 最も、覇華の予想と食い違ったのは、大人がいない、ということだった。




   ◇ ◇ ◇

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