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Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(6)手がかりは“学校”

「…でも、うちのお父さんや奥さんが関わってるとは限らないよ?
 ちゃんとしたビデオカメラを買うようなお金はなかったはずだし。
 撮影日時も、これ、わたしがシュウのところにくる結構前だから」




 こちらは驚くほど冷静に、美湖は言った。
 親に対しては、もはや感情が凍りついているのらしい。




「他も見てみるか?」




 シュウは、パタパタといくつかディスクを入れ替えてみる。


 結果として、日付等のデータがすべて消されているものと消されていないものが混在し、撮影場所はいずれも入っていなかった。


 作成者"kogure"の名前のものはもうふたつあり、いずれも、美湖の妹の画像を特典として配信していたのと同じ業者だった。


 「とりあえずディスクをうちの班の刑事に渡して手分けして解析…」




 シュウの手がSFみたいなスピードでキーボードの上を走っていたことに気付いて、思わず言葉が止まってしまった。
 何か音がしていたのはわかっていたのに、あまり速くてキーボードの音だと気づかなかった。いつから弄っていたのだろうか?




「とりあえず撮影場所はわかりませんでしたが、各ディスクの加工したPCの機種型番、それに所在はわかりました」


「……九鬼くんて、プログラマーかハッカーなの?」


「趣味でかじった程度です。
 さて、ちょっと木暮はこっち見るなよ」




 シュウの言葉には素直に従う美湖がずずい、と後ろの方にさがった。


 覇華が覗きこんだところで、ノートパソコンに何かの操作をすると、画面が16分割されて、


 ぶわっ、


と画像が一覧で並んだ。


「これは…ディスクの動画の内容…?」




 最初の方だからか、建物や、背景がか
なり映りこんでいる。
 ……小学校らしい建物が見えた。




「全部通しで見る時間はないですからね。
 映像のなかで、建物や何か場所を特定できそうな箇所がうつりこんでいるものを抜き出します」




 シュウがノートパソコンを触らないでいるのに、自動的に画面上で様々な場面の画像が抜き出されて保存されていくのが見える。
 プログラミング?
 AIで抜き出している?
 仕組みはよくわからない。ただ、驚くほど速い。


 進むごとに襲われている子供の画像も出てきて、枠いっぱいに裸の色であふれ始め、思わず目を背けそうになる覇華。


 けれども間もなく。
「このディスクは終わりました」
そう言ってシュウはディスクを入れ替える。


 ここから最寄りの警察署に行くほどの時間で、すべての枚数を見終えてしまうのは明白だった。


   ◇ ◇ ◇


「……九鬼くん、これ……」


「そうですね…」




 その場にあったディスクから目ぼしい背景を抜き出すのは瞬く間だった。
 通学路の看板、校門、校庭、校舎、そしてプールに体育館…。
 いずれも、そこそこの大きさの小学校と、その周辺の情景である。


 そして更には、それがいずれも同じ学校らしいとわかるのも、すぐだったのだ。




「校門の学校名にモザイクはかかっているけど……
 こんなに堂々と、学校を、児童ポルノの撮影場所に……?」


「そうですね。そうそう無断で使える場所でもないですし。
 例えば廃校を借りたとしても、地域福祉に役立つ活動かどうか等の査定は入りますよね」


「……ねぇ、九鬼くん。
 例のAV業者がさ、配信している動画のほうには、学校を舞台にしたものってなかったよね……」




「そうですね。
 さっき言った、撮影時のハードルの高さもあるんでしょうけど」




「でも、実際こうして堂々と撮影できる学校は確保しているわけでしょう。
 にもかかわらず、配信でより手広く稼ごうとせずに、通販限定にして、極端に目に触れる人を絞っている。
 それって……警察の手が延びてきたときに、学校を手がかりにされたくない、あるいは学校をイメージされたくないからじゃないかな?」




 シュウが覇華に顔を向け、まじまじと見つめてきた。




「だから逆に考えれば、彼らは、学校の近くとか。もしくは……」


「学校そのものにいると?」


「飛躍かもしれないけど、これだけ堂々と撮影しているのなら……
 もしかしてこの学校は、借りているんじゃなくて、買ったんじゃないかな? 廃校を」


「買った?
 これだけの大きさの学校を査定なしでですか?」




「例えば、児童福祉施設として事情のある子供たちを預かる……みたいな名目で安くひきとったとしたならどうだろう?
 そして、映像業者から要望があった際は撮影場所としても貸しているとか…。
 23区内だと値段的にも人の目的にも難しいかもしれないけど、23区外か近郊の県なら出来ると思う」




 我ながらかなりの飛躍だと思ったが、それでも調べてみる価値はあるような気がした。
 少なくとも、スピーディーな解決のためには、何かに目星をつけて照準を絞らなくてはならない。




「動くなら、あちらがまだまだ自分たちには到達しないだろうと油断しているうちですね。
 とりあえず、廃校を手分けして探してもらいますか?」




 シュウも覇華の考えに乗ったらしい。




「牧ノ瀬さんの部下の方にこの画像を、まとめて送りますね」


   ◇ ◇ ◇

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