話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す

真曽木トウル

(8)再会

(そういえば……)




 この娘はシャツワンピースだが、ほかの女たちも、それぞれに部屋着みたいな服やジーンズやスカート。
 およそ、戦闘向けの格好ではない。
 あたかも、ついさっきまでそれぞれ日常を過ごしていて、覇華という侵入者ゆえに、急遽臨戦態勢に入ったかのようだ。


 何だろう。
 監視カメラでもついているのか?
 それとも変なところから誰かが入ってきたら、室内で警報音でも鳴るんだろうか??


 いや、そういえば。
 住人に警察の来訪を知らせると、コンシェルジュが言っていたような。。。


 それはともかく。目の前の強敵だ。
 娘の薙刀は競技用のものではなく、刃つき。
 それで息も乱さず大きく大胆に振りかざす。
 剣や他の武器なら身を低くして避けることもできるだろうが、薙刀は、足元の攻撃も大得意。
 さっきから覇華は、避けるというよりただ距離をとるように下がらざるを得なくなっていた。


 「さなこ」は手練れというだけではなく本当に自在に薙刀を扱えるのらしい。
 縦横無尽に振っているように見えて、倒れている仲間たちには一度も切っ先も柄も触れさせていない。


 そんな場合じゃないのはわかってるけど、感嘆する。
 すごいって思っちゃう。
 ワクワクする。
 さあ、何をためそう?って。


 覇華はふと思いつく。
 女の子の一人が、倒れたまま手首に絡めて握っている長い鎖分銅。
 その一方を引き抜き、薙刀に向かって投げる。




「きゃっ…」




 薙刀の先が鎖に取られ、びいんと動きを止めた瞬間。
 覇華は相手の至近距離に飛び込み、薙刀を持つ手を掴むと、




「痛っ…」




 なんなくはずして、『さなこ』を、そのまま、後ろ手に拘束した。




「ねぇねぇ。
 ちょっと平和に自己紹介させてもらえないかな?」


「……薙刀に」


「ん?」




 拘束した、さなこと呼ばれた薙刀娘の口からこぼれた呟きに、思わず反応した。




「薙刀相手に、素手で闘うなんて……」




 悔しいとかでなく、ただ、純粋に驚いているような彼女の口調と表情に、覇華はくすりと笑った。
 確かに、薙刀といえば、最強武道説もある武器のひとつだ。




「薙刀してるなら、直心影流の園部秀雄そのべひでおをしってるでしょ?
 生涯二回だけ負けたうちの一回は確か、鎖分銅だったなぁと思って」




 園部秀雄といえば、近代最高の薙刀の名人とされ、数百回とも千回ともいわれる異種試合を、男性相手にほぼすべて勝ち続けた人物だ。
 ちなみに女性である。




「そんな理由…?」


「……まぁ、それはいいとして、まだ他の娘たちも片付けないとかな」




 地味に覇華の手を逃れようと身をよじる薙刀女子の拘束に苦労しながら。
 まだ手に手に武器を持って現れる若い娘たちに眉をひそめつつ、覇華は顔をあげた。


 ……が。


 唐突に奥の部屋から、声が響く。




「…………何しよん、お前ら」




 男、にしては高い声が。




(……関西弁? いや、もっと西?)




 聞き覚えがある声だと思ったら、部屋の奥からあきれた顔で姿を現したのは、件の、ヘリに乗って消えた少年だった。




   ◇ ◇ ◇

「Crazy Prince ハーレムの王子は鉄槌を下す」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く